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S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2022年 1月
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SAMeとは何ですか?

S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)は人体、主に肝臓において自然に産生される化学物質です。また、合成のサプリメントが製造されています。

サプリメントの概要も参照のこと。)

SAMeについてどのような効能が主張されていますか?

S-アデノシル-L-メチオニンはうつ病変形性関節症、胆嚢や肝臓の病気の治療に有効といわれています。変形性関節症の患者の機能改善に役立つ可能性があります。また、SAMeは注意欠如・多動症(ADHD)や線維筋痛症の治療に役立つと主張する人もいます。

SAMeには効果がありますか?

これまでの科学的研究では、SAMeについて主張されているほとんどの便益は明確に確認されておらず、さらなる研究が必要です。

しかしながら、2002年の分析でレビューされた2つの研究では、SAMeは変形性関節症の治療において非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)と同じくらい効果的ですが、NSAID使用によくみられる副作用はないことが示されました。

一部の研究では、SAMeと抗うつ薬の併用は、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による治療で緩和しなかったうつ病の患者に有用でしたが、この効果は後の研究では確認されませんでした。

SAMeの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?

重篤な副作用の報告はありません。双極性障害の患者では、躁病エピソードが起こりうるため、S-アデノシル-L-メチオニンは使用してはいけません。

あまり重篤ではない副作用としては、消化器症状のほか、口腔乾燥、頭痛、めまい、皮膚の発疹などが報告されています。

SAMeにはどのような薬物相互作用がありますか?

クロミプラミンなどの特定の抗うつ薬をSAMeと併用すると、セロトニン濃度が上昇することがあり、その結果、発熱、錯乱、心拍数の増加、不安、振戦、その他の症状を特徴とする重篤な疾患であるセロトニン症候群を引き起こすことがあります。SAMeはレボドパの濃度(パーキンソン病の患者において欠乏)を低下させることもあるため、レボドパの濃度を上昇させることによるパーキンソン病治療を目的とする薬剤の有効性を低下させることがあります。

推奨事項

SAMeは変形性関節症の治療に有用とみられ、抑うつの緩和に役立つ可能性があります。米国精神医学会は、自然療法を好む人ではSAMeを選択肢の1つとしています。カナダの気分/不安治療ネットワーク(Canadian Network for Mood and Anxiety Treats)は、SAMeを軽度から中等度のうつ病に対する第1選択または第2選択の治療とみなしてよいとしています。主張されているその他の便益については、確認のためにはより多くの科学的根拠が必要です。

SAMeをクロミプラミンなどの特定の抗うつ薬と併用する予定の人は、セロトニン濃度が上昇してセロトニン症候群を来す可能性があるため、そのリスクについて主治医に相談すべきです。SAMeはパーキンソン病の治療に使用される特定の薬剤の効果を低下させうるため、パーキンソン病の人はSAMeを避けるべきです。全体として、SAMeはほとんどの人にとって安全なようです。

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