医師は普通は生後24時間以内に、新生児を総合的に診察します。診察は、まず 体重 体重 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む 、 身長 体長と身長 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む 、 頭囲 頭囲 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む などの測定から始めます。新生児の平均出生体重は約3200グラム、平均出生身長は約51センチメートルですが、正常と考えられる範囲には大きな幅があります。それから新生児の皮膚、頭頸部、心臓と肺、腹部と性器を調べ、神経系と反射を評価します。また、身体診察では見つけられない異常を見つけるため、通常、スクリーニング検査を行います(新生児スクリーニング検査 新生児スクリーニング検査 出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もしばしば追加されます。 典型的なスクリーニング検査には以下のものがあります。... さらに読む )。
皮膚
医師は皮膚を調べ、特に皮膚の色に注意を払います。新生児の皮膚は普通赤みを帯びていますが、手や足の指は最初の数時間は血行が不十分なため青みがかっていることが一般的です。分娩中に強く圧迫された部分に赤紫色の斑点(点状出血)がときにみられます。しかし、体全体にみられる点状出血は、何かの病気の徴候である可能性があり、医師の診察を受ける必要があります。数日のうちに、乾燥や落屑(らくせつ)が生じることが多く、特に手首や足首のしわの部分によくみられます。
多くの新生児で、生後約24時間に発疹が現れます。この発疹は中毒性紅斑といい、平たく赤い斑点で通常、にきびに似た白い隆起が中央にあります。中毒性紅斑は害がなく、7日から14日で消えます。
頭頸部
(顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。 顔面および四肢の先天異常はかなり多くみられます。体の特定の部分、例えば口( 口唇裂または 口蓋裂[こうがいれつ])や足( 内反足)だけが侵されることがあります。多くの異常を伴う遺伝性症候群の一部である場合も... さらに読む も参照のこと。)
医師は新生児の頭頸部と顔を診察して何か異常がないか探します。 分娩中に起こる異常 新生児の分娩損傷 分娩損傷とは、分娩の過程で通常は産道を通る際に物理的な圧力が生じる結果として新生児が受ける損傷のことです。 多くの新生児が出生の際に軽いけがをします。 まれに、神経が損傷したり骨が折れたりします。 ほとんどのけがは、治療をしなくても治ります。 極めて大きな胎児は難産になる場合があり、生まれてくる子どもに損傷のリスクを伴います。胎児が5000グラム(母親が糖尿病の場合は4500グラム)を超えると推定される場合には、... さらに読む もあれば、 先天異常 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。 顔面および四肢の先天異常はかなり多くみられます。体の特定の部分、例えば口( 口唇裂または 口蓋裂[こうがいれつ])や足( 内反足)だけが侵されることがあります。多くの異常を伴う遺伝性症候群の一部である場合も... さらに読む に由来する異常もあります。
正常頭位分娩、つまり頭から先に出た新生児は、数日間は頭の形が少しゆがんでいることがあります。これは頭蓋(とうがい)を形成している骨が重なり合っているためですが、この仕組みにより分娩時に頭が圧縮されても大丈夫なのです。頭皮に腫れや皮下出血もみられることもあります。ときに頭蓋の骨の1つから出血してその上の皮膚に小さいこぶをつくることがありますが、これは数カ月で消えます(頭血腫といいます)。新生児が殿部、性器、脚側から先に生まれた(骨盤位分娩 骨盤位 胎向とは、胎児が後ろ(母親の背中の方)を向いているか、前を向いているか(顔が上向きか)という胎児の向きのことです。 胎位とは、胎児の体のうち最初に産道を通る部分(先進部)を表します。通常、頭が先進しますが、ときに殿部や肩が下になることもあります。 最も一般的で安全な胎向と胎位の組合せは次のような状態です。 頭が下になっている(頭位) 胎児が後ろを向いている さらに読む )場合、通常頭のゆがみはみられません。しかし、殿部、性器、脚に腫れや皮下出血がみられることがあります。今は、骨盤位分娩を避けるようになっています。骨盤位の場合、胎児に及ぶ危険性を最小限にするため、 帝王切開術 骨盤位 胎向とは、胎児が後ろ(母親の背中の方)を向いているか、前を向いているか(顔が上向きか)という胎児の向きのことです。 胎位とは、胎児の体のうち最初に産道を通る部分(先進部)を表します。通常、頭が先進しますが、ときに殿部や肩が下になることもあります。 最も一般的で安全な胎向と胎位の組合せは次のような状態です。 頭が下になっている(頭位) 胎児が後ろを向いている さらに読む (妊婦の腹部と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術)が通常勧められます。
経腟(けいちつ)分娩時に受けた圧迫のために、新生児の顔面に皮下出血ができる場合があります。また、産道を通る際の圧迫で、新生児の顔が最初はゆがんで非対称になっていることもあります。この顔面の非対称は、分娩時に顔面の筋肉を支配している神経の一部が障害を受けたことが原因で起こる場合もあります。これらは、生後数週間のうちに徐々に回復します。
分娩の経過により、新生児の目に 結膜下出血 結膜下出血 結膜下出血は、 結膜(まぶたの裏側と眼の前面を覆う膜)の下に少量の血液がたまることです。白眼部分の全体が真っ赤になることもあれば、一部のみが赤くなることもあります。血液は、眼の表面にある細い血管から出たもので、眼の中から出たものではありません。血液は角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)にかかったり眼の内部に入ったりするわけではないため、視力に影響はありません。 通常、結膜下出血は、眼の軽いけが、いきむ、物を持ち上げる、押す、前かがみにな... さらに読む (眼の表面にある血管の破れ)が起こることもあります。結膜下出血はよくみられ、治療の必要はなく、一般的には2週間以内に消えます。
また、耳を調べ、特に形と位置が正常かに注意を払います。例えば、位置が低い場合や形に異常がある場合は、 遺伝性の病気 染色体異常症と遺伝子疾患の概要 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としては DNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっていま... さらに読む や 難聴 小児の聴覚障害 聴覚障害とは、軽度から重度までの様々な程度の難聴を指し、内耳、中耳、外耳、または聴覚に必要な神経など、耳の一部に問題がある場合に起こる可能性があります。 新生児の聴覚障害は、サイトメガロウイルス感染症または遺伝子異常が原因であることが最も多く、年長児の場合は耳の感染症や耳あかが原因です。 小児が音に反応しなかったり、言葉をうまく話せなかったり、話し始めるのが遅かったりする場合は、聴覚障害が原因である可能性があります。... さらに読む があるかもしれません。
さらに口に異常がないか調べます。まれに、出生時にもう歯が生えていて抜歯しなければいけない場合や、 口唇裂 口唇裂と口蓋裂 裂とは、妊娠中に組織が完全にくっつかない場合に、唇(口唇裂)、口の中の天井部分(口蓋裂)、またはその両方にできることがある開いた部分のことです。口唇裂と口蓋裂は先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。... さらに読む や 口蓋裂 口唇裂と口蓋裂 裂とは、妊娠中に組織が完全にくっつかない場合に、唇(口唇裂)、口の中の天井部分(口蓋裂)、またはその両方にできることがある開いた部分のことです。口唇裂と口蓋裂は先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。... さらに読む がみられる場合があります。新生児にエプーリス(歯肉の良性腫瘍)がないか調べますが、これはエプーリスによって母乳や人工乳を飲みにくくなったり、気道が閉塞されたりすることがあるためです。
頸部に腫れ、かたまりやねじれ、筋肉のけいれんがないか調べます。
心臓と肺
(心臓の先天異常 心臓の異常の概要 約100人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 心臓の先天異常の症状は年齢に応じて変わります。乳児では、努力性呼吸や速い呼吸、哺乳不良、授乳中の発汗または呼吸数の増加、唇または皮膚の青みがかった変色(チアノーゼ)、異... さらに読む も参照のこと。)
医師は聴診器で心臓と肺に異常がないかどうかを調べます。聴診器で心雑音や肺うっ血などの異常な音を聴くことができます。また、新生児の皮膚の色を観察します。顔と体幹の色が青い場合、心臓または肺の先天性の病気の徴候であることがあります。脈拍の数とその強さも調べます。新生児の呼吸状態を観察し、1分間の呼吸回数を数えます。呼吸とともにうめき声が聞こえるもしくは鼻の穴が大きく広がる、また、呼吸が早すぎるもしくは遅すぎるという徴候は、何か問題があることを示すものです。
腹部と性器
(消化管の特定の先天異常 消化管先天異常の概要 消化管の発達が不完全である、または位置が異常であるために通過障害を起こすことがあり、また消化管の筋肉や神経に異常があることもあります。 症状は異常のある部位によって変わってきますが、けいれん性の腹痛、腹部の膨満、嘔吐などがみられます。 診断は通常、画像検査とその他の検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む および 尿路と性器の先天異常 腎臓と尿路の先天異常の概要 体のほかの部分と比べて、腎臓と泌尿器系(尿路)には先天異常が多くみられます。異常は以下の部位で起こります。 腎臓:左右に1つずつあって、血液から老廃物をろ過して尿を作っている臓器 尿管:尿が腎臓から膀胱に送られるときに通過する管 膀胱:拡張して尿を貯めておく筋肉でできた袋状の臓器... さらに読む も参照のこと。)
医師は新生児の腹部全体の形を調べ、同様に、腎臓や肝臓、脾臓などの内臓の大きさ、形、位置もチェックします。腎臓が大きい場合、尿の流出が妨げられている場合があります。
新生児の性器も調べ、尿道がきちんと開いて適当な位置にあるかどうかをみます。 また、男性の性器か女性の性器かはっきりと区別できるか確かめます。男児の場合、精巣が陰嚢の中におさまっていなくてはなりません。女児の場合、陰唇が目立ちますが、これは母親の胎内でホルモンにさらされたために腫れたもので、数週間続きます。腟から血液と粘液を含む分泌物がみられますがこれは正常です。肛門についても位置が正常か、排便のための穴がきちんとあいているかどうかを調べます。
神経系
(脳と脊髄の先天異常 脳と脊髄の先天異常の概要 脳や脊髄の先天異常は、胎児発育の早期または後期に発生します。 典型的な症状としては、知的障害、麻痺、失禁、体の一部の感覚消失などがあります。 診断はCT検査およびMRI検査の結果に基づいて下されます。 妊娠前と妊娠中に葉酸を摂取することで、特定の種類の異常が起きるリスクを減らすことができます。... さらに読む も参照のこと。)
医師は新生児の意識レベル、筋肉の緊張度、腕と脚を左右同じように動かせるかを観察します。左右差のある動きは、神経の異常(神経麻痺)の徴候である可能性があります。
医師は様々な手技で新生児の反射を調べます。新生児にとって最も重要な反射は、モロー反射、探索反射、吸啜(きゅうてつ)反射です。
筋肉と骨
(顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。 顔面および四肢の先天異常はかなり多くみられます。体の特定の部分、例えば口( 口唇裂または 口蓋裂[こうがいれつ])や足( 内反足)だけが侵されることがあります。多くの異常を伴う遺伝性症候群の一部である場合も... さらに読む も参照のこと。)
新生児の腕、脚、股関節の柔軟性と動きを調べ、分娩中に骨折していないか(特に鎖骨)、 四肢の変形や欠損 四肢の欠損または形成不全 出生時に、四肢の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 四肢の形成に異常がみられることがあります。例えば、遺伝的異常のため、手や前腕の骨が欠損していたり( 染色体異常を参照)、ときには手や足の一部または全部が欠損している場合がありま... さらに読む がないか、さらに股関節脱臼がないかどうかも確認します。