(プリオン病の概要 プリオン病の概要 プリオン病は、現在のところ治療法がなく、最終的には死に至る、まれな進行性の脳(およびまれに他の臓器)の変性疾患であり、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な形態に変化することで発生します。 プリオンが発見されるまでは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの海綿状脳症はウイルスが原因と考えられていました。プリオンはウイルスよりはるかに小さく、また、... さらに読む も参照のこと。)
この プリオン病 プリオン病の概要 プリオン病は、現在のところ治療法がなく、最終的には死に至る、まれな進行性の脳(およびまれに他の臓器)の変性疾患であり、プリオンと呼ばれるタンパク質が異常な形態に変化することで発生します。 プリオンが発見されるまでは、クロイツフェルト-ヤコブ病などの海綿状脳症はウイルスが原因と考えられていました。プリオンはウイルスよりはるかに小さく、また、... さらに読む は、2013年に英国のある家系で特定されました。類似の疾患がイタリアのある家系で報告されています。
下痢および自律神経性ニューロパチーを伴うプリオン病は以下の点で他のプリオン病とは異なります。
この病気の原因であるプリオン遺伝子の変異は、他のプリオン病の遺伝子変異とは異なります。
この病気では、血圧などの体内プロセスを調節している神経(自律神経系 自律神経系の概要 自律神経系は、血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。意識的な努力を必要とせず、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。 自律神経系の病気は、体のあらゆる部分とあらゆるプロセスに影響を及ぼす可能性があります。また、自律神経系の病気には、可逆性のものと進行性のものがあります。... さらに読む )など、全身の神経細胞にプリオンが蓄積します。他のプリオン病では、プリオンは脳だけまたは主に脳に蓄積します。
この病気は、下痢などの非常に多様な症状を引き起こします。
この病気はゆっくり進行します。
この病気は30代の人に発生します。長く続く水様性の下痢と腹部の膨満がみられ、体重が減少することもあります。体内プロセスを制御する神経も影響を受けるため、排尿できなくなったり(尿閉 尿閉 尿閉とは、膀胱から尿をまったくまたはほとんど排出できなくなった状態のことです。 排尿後に膀胱内に残尿がみられる人では、同時に頻尿や尿失禁がみられる場合があります。 排尿が可能な場合は、排尿後に膀胱に残った尿の量を測定します。 カテーテルを用いて膀胱内の尿を除去した後、原因に対する治療を行います。 ( 排尿のコントロールも参照のこと。) さらに読む )、膀胱の制御を失う(尿失禁 成人の尿失禁 尿失禁とは、自分では意図せずに尿が漏れることです。 尿失禁は、男女とも年齢を問わず起きる可能性がありますが、女性と高齢者でより多くみられ、高齢女性の約30%、高齢男性の約15%が尿失禁を起こしています。尿失禁は高齢者でより多くみられるものの、加齢に伴う正常な変化の一部ではありません。尿失禁は、利尿効果のある薬を服用した場合のように突然で一時的なこともあれば、長期にわたって持続すること(慢性)もあります。慢性の尿失禁であっても、ときに軽減... さらに読む )ことがあります。立ち上がったときに血圧が下がり、めまいや立ちくらみを起こします(この状態を 起立性低血圧症 立ちくらみ 一部の人、特に高齢者では、上体を起こしたり、立ち上がったりすると、血圧が極度に低下することがあります(起立性低血圧や体位性低血圧と呼ばれます)。立ち上がると(特にベッドで寝ていた後や長時間にわたって座っていた後に)数秒間から数分間にわたって気が遠くなる、ふらつき、めまい、混乱、かすみ目などの症状が起こり、横になるとそれらの症状は速やかに消失します。しかし、なかには転倒や失神、また極めてまれですが短時間のけいれんが起こる場合もあります。こ... さらに読む といいます)。足の感覚が消失することもあります。その後、40代または50代になると、精神機能が悪化し、けいれん発作が起こることがあります。
この病気は数十年にわたり進行します。症状が現れてから最長30年生存できることもあります。
現時点で根治的な治療法はありません。治療では、症状の緩和に重点が置かれます。