(間質性肺疾患の概要 間質性肺疾患の概要 間質性肺疾患は、びまん性実質性肺疾患とも呼ばれ、間質腔が傷害されるいくつかの病気をまとめた総称です。間質腔とは、肺胞(肺にある空気の袋)の壁や、血管と細い気道の周りの空間を指します。間質性肺疾患は、肺組織に炎症細胞が異常に集積する結果、息切れやせきが生じる病気で、それぞれの病気の画像所見は似ていますが、それ以外の点で関連性はありません。間... さらに読む も参照のこと。)
リンパ脈管筋腫症(LAM)はまれです。女性にしか起こらず、通常20~40歳の女性に発生します。原因は不明です。
患者には通常、息切れがみられます。ときに、せき、胸痛、喀血(せきとともに血が出る)がみられることもあります。妊娠中に症状が悪化することがあります。この病気の最初の徴候として、明らかな理由なく肺が虚脱すること(気胸 気胸 気胸とは、2層の胸膜(肺の外側と胸壁の内側を覆っている薄くて透明な膜)の間に空気が入り込むことによって、肺が部分的または完全につぶれてしまう病気です。 症状には、呼吸困難や胸痛などがあります。 診断は胸部X線検査によって下されます。 治療は通常、ドレーンやときに合成樹脂製のカテーテルを胸部に挿入して空気を抜くことです。 ( 胸膜疾患の概要も参照のこと。) さらに読む )がときにあります。肺を覆っている袋(胸膜)に液体がたまることもあります。
この病気はゆっくり進行する傾向がありますが、肺機能は低下し続け、最終的には 呼吸不全 呼吸不全 呼吸不全は、血液中の酸素レベルが危険なほど低くなったり、血液中の二酸化炭素濃度が危険なほど高くなる病気です。 呼吸不全の原因としては、気道をふさぐ病気、肺組織を損傷する病気、呼吸を制御する筋肉を衰えさせる病気、呼吸を促す仕組みが抑制される病気などがあります。 激しい息切れ、皮膚の青みがかった変色、錯乱または眠気などの症状がみられることがあ... さらに読む に陥ります。進行速度は極めて多様ですが、妊娠中に加速することがあります。
リンパ脈管筋腫症の診断
胸部CT検査
血液検査
リンパ脈管筋腫症の診断には通常、胸部X線検査とCT検査が必要です。
血管内皮増殖因子D(VEGF-D)の値を測定する血液検査がしばしば行われます。通常、LAMの女性ではVEGF-D値が上昇します。
画像検査および血液検査で診断がつかない場合、医師は、肺の組織片を採取して顕微鏡で調べる検査(肺生検)を行うことがあります。
リンパ脈管筋腫症の治療
シロリムス
肺移植
シロリムスという薬剤は、通常、腎移植後に免疫系を抑制するために使用されますが、この薬剤はLAM患者における肺機能の低下を遅らせるようです。
さらなる情報
役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
LAM財団(LAM Foundation):研究成果や支援プログラムなどを含む、リンパ脈管筋腫症に関する一般的な情報を提供しています。