気管支カルチノイド

執筆者:Robert L. Keith, MD, Division of Pulmonary Sciences and Critical Care Medicine, University of Colorado School of Medicine
レビュー/改訂 2022年 12月
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気管支カルチノイドは、気道(気管支)の内側から生じる、まれな、増殖速度の遅い腫瘍です。

カルチノイド腫瘍(ときに神経内分泌腫瘍とも呼ばれます)は通常、ホルモンを分泌する小腸の細胞や消化管のその他の部分から発生しますが、肺へと続く気道(気管支)やその他の臓器にも発生します。気管支カルチノイド腫瘍は、他のほとんどの臓器のカルチノイド腫瘍と比べて悪性である可能性が高いですが、ホルモンを活発に生産する可能性は低くなります(カルチノイド症候群を参照)。

気管支カルチノイドは40代~60代の人に最もよくみられます。

気管支カルチノイドの症状

気管支カルチノイドの患者の半数は無症状です。残りの人には、気道の閉塞に関連する症状がみられます。そういった症状には、息切れ、喘鳴、せきなどがあります。反復性肺炎、喀血(せきとともに血を吐くこと)、胸痛もよくみられます。

気管支カルチノイドなどのカルチノイド腫瘍は、腫瘍随伴症候群を引き起こすがんの1つです。腫瘍随伴(がんに伴う)症候群は、がんから生産され血流に放出される物質により、異常な症状が引き起こされることで発生します。症状は、腫瘍とは遠く離れた組織や臓器に発生します。気管支カルチノイドによって引き起こされる最も典型的な症状は以下のものです。

カルチノイド症候群は気管支カルチノイドがある人の3%未満にみられます。

左側の心雑音(セロトニンにより僧帽弁が損傷されるため)は、気管支カルチノイドがある人にまれに起こります。

気管支カルチノイドの診断

  • 気管支鏡検査

気管支カルチノイドの診断は気管支鏡検査に基づいて下されますが、腫瘍が転移しているかどうかを判定するために胸部CT検査核医学検査が行われることもあります。

気管支カルチノイドの治療

  • 手術

  • ときに化学療法または放射線療法

気管支カルチノイドの治療は外科的切除であり、化学療法放射線療法を併用することもあります。

予後は腫瘍の種類によって異なります。

さらなる情報

患者とその介護者に情報とサポートを提供する英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国がん協会(American Cancer Society):予防、検査、治療、がん患者とその介護者向けの情報などあらゆる種類のがんに関する一般的な情報

  2. 米国がん協会:肺カルチノイド(American Cancer Society: Lung Carcinoids):肺カルチノイドの種類、スクリーニング、治療など米国がん協会からの具体的な情報

  3. 米国肺協会(American Lung Association):肺がんや禁煙などあらゆる種類の肺の病気に関する一般的な情報

  4. CancerCare(キャンサーケア):カウンセリングや支援団体向けの資料などあらゆる種類のがんに関する一般的な情報

  5. CancerCare: Lung Cancer(キャンサーケア:肺がん):支援サービスやその他の情報源へのリンクなど肺がん患者に向けたCancer Careからのより具体的な情報

  6. 米国国立がん研究所(National Cancer Institute):最新の研究や臨床試験に関する情報などがんに関する米国政府の資料

  7. 米国国立がん研究所:肺がん(National Cancer Institute: Lung Cancer):主に治療法の進歩と最新の研究結果を含む、米国国立がん研究所からの肺がんに関するより具体的な情報

  8. 全米がんサバイバーシップ連合(National Coalition for Cancer Survivorship):すべてのがん患者への質の高いケアを訴える団体

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