手術部位感染の予防

執筆者:André V Coombs, MBBS, University of South Florida
Reviewed ByDavid A. Spain, MD, Department of Surgery, Stanford University
レビュー/改訂 2024年 6月 | 修正済み 2024年 7月
v1127926_ja
意見 同じトピックページ はこちら

感染関連の合併症を回避するためには手術部位感染の予防が重要である。さらに,手術後に心内膜炎を発症するリスクが高い患者もいる。多くの外科手技は,抗菌薬の予防投与または術後投与を必要としない。しかしながら,予防を行うべきかどうかを決定するためには,患者関連因子および手技関連因子を評価すべきである。

抗菌薬の必要性を示唆する患者側の危険因子としては以下のものがある:

細菌定着の可能性が高い以下の部位が関与する手技ではリスクがより高い

  • 口腔

  • 消化管

  • 気道

  • 泌尿生殖器

いわゆる清潔な(無菌である可能性が高い)手技では,一般に予防投与は,人工材料または器具が挿入されているか,感染の結果が重篤と分かっている(例,冠動脈バイパス術後の縦隔炎)場合にのみ有益である(1, 2)。

抗菌薬の選択は,その手術中に創部を汚染する可能性が最も高い細菌に対する薬剤活性に基づいて判断する(特定の外科手技のための抗菌薬投与の表を参照)。抗菌薬は,外科的切開を加える1時間前(バンコマイシンおよびフルオロキノロン系では2時間前)に投与する。抗菌薬は手技に応じて経口または静注で投与する。大半のセファロスポリン系薬剤は,手技が4時間以上続く場合,追加で再度投与する。清潔処置では追加投与は不要であるが,そうでない場合に追加投与が有益かどうかは定かでない。抗菌薬の投与は,手術中に活動性の感染巣が検出された場合のみ,術後24時間を超えて継続するが,その場合の抗菌薬投与は予防ではなく,治療とみなされる。

疾病予防管理センターの手術部位感染予防ガイドラインでは,局所的な消毒方法や薬剤によらない消毒方法(例,入浴,シーラント,洗浄,人工器官の感染予防)について言及している。

特定の危険因子を有する患者には,手技の種類に応じて,感染性心内膜炎予防のための抗菌薬が必要になることがある。心内膜炎予防のガイドラインはAmerican Heart AssociationおよびEuropean Society of Cardiologyより提供されている。

汚染されているか汚れている創傷に対し,感染を減少させるために手術前に使用する様々な消毒薬の有効性については十分に検討されていない(3)。

表&コラム
表&コラム

参考文献

  1. 1.Mioton LM, Jordan SW, Hanwright PJ, Bilimoria KY, Kim JY: The Relationship between Preoperative Wound Classification and Postoperative Infection: A Multi-Institutional Analysis of 15,289 Patients. Arch Plast Surg.2013;40(5):522-529.doi:10.5999/aps.2013.40.5.522

  2. 2.Levy SM, Holzmann-Pazgal G, Lally KP, Davis K, Kao LS, Tsao K: Quality check of a quality measure: surgical wound classification discrepancies impact risk-stratified surgical site infection rates in pediatric appendicitis. J Am Coll Surg.2013;217(6):969-973.doi:10.1016/j.jamcollsurg.2013.07.398

  3. 3.PREP-IT Investigators: Aqueous skin antisepsis before surgical fixation of open fractures (Aqueous-PREP): a multiple-period, cluster-randomised, crossover trial [published correction appears in Lancet 400(10369):2198, 2023]. Lancet 400(10360):1334-1344, 2022.doi:10.1016/S0140-6736(22)01652-X

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Centers for Disease Control and Prevention Guideline for the Prevention of Surgical Site Infection, 2017

  2. Global Guidelines for the Prevention of Surgical Site Infection. Geneva: World Health Organization; 2018

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID