(骨折の概要 骨折の概要 骨折とは,骨が破損することである。ほとんどの骨折は,正常な骨に単一の大きな力が加わることで生じる。 骨折以外の筋骨格系損傷には以下のものがある: 関節脱臼および亜脱臼(部分的な関節脱臼) 靱帯捻挫,筋挫傷,および腱損傷 筋骨格系の損傷はよくみられる現象であるが,その受傷機転,重症度,および治療法は様々である。四肢,脊椎,骨盤のいずれにも発... さらに読む も参照のこと。)
大腿骨骨幹部骨折の受傷機転は通常,直接的な強い力または屈曲した膝関節への長軸方向の荷重である(典型的には自動車衝突事故または自動車と歩行者の衝突)。したがって,他の重篤な損傷がしばしば存在する。
症状と徴候
骨折により,明らかな腫脹,変形(しばしば短縮を伴う),および不安定性が起こる。各骨折で最大1.5Lの血液が失われる可能性がある。 出血性ショック 循環血液量減少性ショック の可能性がある(特に原因が鈍的外傷で他の損傷がある場合)。
診断
X線
X線前後像および側面像が診断に役立つ。
大きい力による骨折の場合,同側の大腿骨頸部骨折を検索するために常に股関節X線を施行すべきである。膝関節も慎重に評価する必要がある。
治療
迅速な牽引と副子固定
観血的整復内固定術(ORIF)
直ちに行う治療は通常は牽引力をかけた副子固定(Hare牽引またはSager牽引副子など)により,続いてORIFを行う。牽引副子(traction splint)は下腿を牽引するため,患者に脛骨骨折もある場合は使用すべきではない。
要点
大腿骨骨幹部骨折は通常,強い力が加わった結果として生じた病態であり,臨床的に軽微なものではない。
各骨折で最大1.5Lの血液が失われる可能性がある。
大腿骨骨幹部が骨折した場合は股関節X線を施行し膝関節を評価する。
大腿骨骨幹部骨折は可能な限り迅速に副子固定する。