肺挫傷

執筆者:Thomas G. Weiser, MD, MPH, Stanford University School of Medicine
レビュー/改訂 2020年 5月
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肺挫傷は外傷に起因する肺出血および肺水腫で裂傷がないものである。

胸部外傷の概要も参照のこと。)

肺挫傷はよくみられるものであり,重大な鈍的または穿通性胸部外傷による,死に至る可能性のある胸部損傷である。肋骨骨折気胸,またはその他の胸部損傷を伴う場合がある。大きな挫傷は酸素化を障害する可能性がある。晩期合併症は,肺炎およびときに急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などである。

肺挫傷の症状は,疼痛(主に,上にある胸壁への損傷による)およびときに呼吸困難などである。胸壁に圧痛がある;他の身体所見は合併損傷のものである。

診断

  • 画像検査,一般的には胸部X線

胸部外傷後に呼吸窮迫が発生した場合(特に症状が徐々に悪化する場合)は,肺挫傷を疑うべきである。パルスオキシメトリーとともに,一般的には胸部X線を施行する。挫傷により画像検査で患部の肺組織に陰影を認めるが,陰影は時間経過につれて増大するため,24~48時間は明瞭でないことがある。CTは非常に感度が高いが,通常は他の損傷も考慮する場合にのみ施行する。

連続的な臨床的評価およびパルスオキシメトリーで,呼吸不全についてモニタリングすべきである。低酸素血症または呼吸困難を認めた場合は,カプノメトリーまたは動脈血ガス測定が適応となる。

治療

  • 鎮痛薬および酸素投与による支持療法

  • ときに機械的人工換気

深い呼吸を促すために,肺挫傷の患者には必要に応じて鎮痛薬を投与する。軽度の低酸素血症(SaO2 91~94%)に対しては酸素投与を行う。機械的人工換気の通常の適応は,中等度または重度の低酸素血症(通常は室内気下での呼吸でPaO2 65%未満またはSaO2 90%未満)および高炭酸ガス血症である。慢性閉塞性肺疾患(COPD)または慢性腎臓病の患者では,機械的人工換気が必要となるリスクが高い。

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