病気の新生児に対するケア

執筆者:Deborah M. Consolini, MD, Thomas Jefferson University Hospital
レビュー/改訂 2020年 3月
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    病的または未熟な乳児を,疾病のため出生後に家族から引き離さなければならない場合,困難な問題が生じる。重症(critically ill)の児を安定化する間,親は児に面会できない場合があり,別の病院への移送のために児から引き離されることもある。ときに長期にわたる入院および治療のために児が家族と離れている期間が長引く場合もある。専門家は,新生児搬送チームが乳児を専門治療センターへ搬送する前に,親と患児との身体的接触を,その接触により感染リスクが生じない限り,促すよう推奨している。

    多くの病院が,乳児と家族の接触を促すことの重要性を認識している。大抵の病院では親に面会を促し,感染症拡大のリスクを最小限にするための予防措置を講じている。親には面会時間に制限を設けない病院が多い。一部の病院では,親が長期間子どもの近くで過ごせるような場所を設けている。

    大抵の病院では,患児とできるだけ多く交流するよう親に促している。たとえ人工呼吸器管理下であっても,親が面会することも触れることもできないほど重症ということはない。

    パール&ピットフォール

    • たとえ人工呼吸器管理下であっても,親が面会することも触れることもできないほど重症ということはない。

    親はまた,児をよく知り家に連れ帰る準備をするための方法として,直接児の世話をするよう促される。一部の病院では,母子接触(skin-to-skin contact)の奨励により親と早産児または病的新生児との接触の機会を増やしているが,これは自宅での児の世話に対する親の自信を高める上で有用でありうる。母子接触を経験した乳児は,そうしたケアを受けない乳児に比べて,体重増加が速い。また母親は直接母乳を与える,または搾乳して経管栄養で与えることもできる。

    乳児に先天異常がある場合には,その状態にかかわらず,生後できるだけ早く親と乳児の面会を図るべきである。そうでなければ,親は児の外観や病状を実際以上に悪く想像してしまうことがある。親が児の状態と必要な治療を理解し,児を心理的に受け入れられるよう,必要に応じて何度でもカウンセリングを行うなど,親への手厚い支援が不可欠である。異常に関する話題に終始しないように,医師は児の正常な部分と児の将来性を強調すべきである。

    親が面会や接触をすることのないまま新生児が死亡すると,後に親は実際には子どもが存在しなかったかのように感じることがある。そのような親では過剰な空虚感があり,「生身」の子どもを亡くしたことを嘆くことができなかったために長期的な抑うつ症状が出現することがある。一般に,児の生存中に,親が児と面会できた,あるいは児を抱っこできたかどうかにはかかわらず,児の死亡後にもそのようにできれば,長期的にみれば,通常,親は救われる。新生児死亡のあらゆる例において,医師やソーシャルワーカーにとのフォローアップのための面会は,児の疾患や死の状況の再検討に,また,しばしば後から生じる疑問への対応に,さらに罪の意識の評価と軽減に有効である。医師は親の悲嘆の過程を評価し,適切な指導を行い,必要に応じてより広範な支援が受けられる機関に紹介することも可能である。

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