Craniotubular dysplasia

執筆者:Frank Pessler, MD, PhD, Helmholtz Centre for Infection Research
レビュー/改訂 2020年 10月
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    Craniotubular dysplasiaは,軽微な骨硬化症を伴い骨格形成が正常な大理石骨病である。

    大理石骨病は,骨密度の増加および骨格形成異常を特徴とする家族性の疾患である。

    頭蓋骨幹端骨異形成症(craniometaphyseal dysplasia)

    この常染色体優性遺伝疾患は,ANKH遺伝子の突然変異により引き起こされる。乳児期に副鼻腔の隆起が発生し,頭蓋骨と下顎骨の進行性の伸展および肥厚により下顎および顔面に歪みが生じる。侵入する骨が脳神経を絞扼し,機能不全を引き起こす。歯の不正咬合は厄介なことがあり,洞の部分的な閉塞により反復性の鼻呼吸器感染が起こりやすくなる。身長および全身健康状態は正常であるが,進行性の頭蓋内圧亢進がまれで重篤な合併症である。

    頭蓋骨幹端骨異形成症は,ときに上気道感染症への易感染性を伴う典型的な頭蓋顔面異常により疑われて診断され,あるいは頭蓋底での絞扼に起因すると考えられる脳神経障害の原因検索中に診断されることがある。典型例では,単純X線検査が施行される。X線上の変化は年齢に依存するが,通常5歳までに明らかになる。頭蓋骨では硬化が主な特徴である。長管骨には幅の広がった骨幹端がみられ,棍棒状の形を呈する(特に大腿骨遠位部において)。しかし,これらの変化はPyle病における変化よりはるかに軽度である。脊椎および骨盤は侵されない。

    頭蓋骨幹端骨異形成症の治療は絞扼された神経の外科的減圧および重度の骨異常の修復から成るが,再増悪がみられる(ことが多い)。

    前頭骨幹端異形成症(frontometaphyseal dysplasia)

    本症には常染色体優性型およびX連鎖優性型の別個の型があり,FLNAおよびMAP3K7遺伝子の突然変異により生じるが,これらの突然変異は全ての症例で認められるわけではない。

    本症は幼児期に明らかになる。眼窩上隆起が突出し,騎士の面頬に似る。下顎骨が前部の狭小化を伴う低形成となり,歯の異常がよくみられる。骨硬化により内耳孔および中耳が狭小化する,または耳小骨の変形が生じることがあるため,成人期に難聴が発生する。下肢の長管骨が中等度の内反を呈する。指の進行性の拘縮が関節炎に類似することがある。身長および全身の健康状態は正常である。

    上述の骨格異常の特徴がみられる患者に難聴があれば,前頭骨幹端異形成症を疑う。典型的には,単純X線を施行する。X線上では,前頭領域の骨の過成長が明白であり,斑状の硬化像が頭蓋円蓋部にみられる。椎体は形成異常を示すが硬化は示されない。腸骨稜が急激に張り出しており,骨盤上口が歪みを呈する。大腿骨頭骨端が平坦となり,大腿骨頭の拡大および外反股(股関節の変形)を伴う。指の骨は低形成であり,びらんおよび関節裂隙の狭小化を伴う。

    重度の小顎症など外観を重度に損なう変形,または整形外科的問題を引き起こす変形に対しては,矯正手術が適応となる。難聴は補聴器により治療する。

    骨幹端異形成症(Pyle病)

    このまれな常染色体劣性遺伝疾患は,SFRP4遺伝子の異常によって生じる。また,語義上しばしば頭蓋骨幹端骨異形成症(craniometaphyseal dysplasia)と混同される。患者は外反膝を除いて臨床的に正常であるが,脊柱側弯症および骨の脆弱性がときに生じる。

    骨幹端異形成症の診断は通常,他の目的でX線を撮ったときに偶然なされることが多い。X線上の変化は著明である。長管骨は低形成であり,骨皮質は一般に菲薄化している。下肢の管状骨では全体的なエルレンマイヤーフラスコ状の拡がりが認められる(特に大腿骨遠位部において)。骨盤骨および胸郭は拡大している。しかし,頭蓋骨には基本的に異常はない。

    骨幹端異形成症の治療は必要ないことが多いが,歯科異常に対して歯科矯正治療が,または臨床的に重大な骨格変形に対して整形外科手術が必要になることがある。

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