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先天性甲状腺腫

執筆者:

Andrew Calabria

, MD, The Children's Hospital of Philadelphia

レビュー/改訂 2020年 7月
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先天性甲状腺腫は,出生時にすでに存在する,甲状腺のびまん性または結節性腫大である。甲状腺ホルモンの分泌は,減少,増加,または正常でありうる。診断は超音波検査で甲状腺の大きさを確認することによる。治療は,甲状腺機能低下症が原因の場合,甲状腺ホルモン補充療法である。呼吸や嚥下に障害がある場合,手術の適応となる。

病因

先天性甲状腺腫は,内分泌不全(甲状腺ホルモンの異常産生),母体抗体の胎盤通過,または甲状腺腫誘発物質の胎盤通過に起因しうる。先天性甲状腺腫の原因には遺伝性のものもある。

内分泌不全

甲状腺ホルモン産生における遺伝的欠陥は,結果として甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値の上昇を招き,それが先天性甲状腺腫の原因となりうる。甲状腺腫は 先天性甲状腺機能低下症 先天性甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏である。乳児の症状としては,哺乳不良や発育不全などがある;児童および青年の症状は成人の症状と類似するが,それらに加えて発育不全,思春期遅発,またはこの両方もみられる。診断は甲状腺機能の検査(例,血清サイロキシン,甲状腺刺激ホルモン)による。治療は甲状腺ホルモンの補充による。... さらに読む の約15%にみられる。内分泌不全を引き起こす,いくつかの遺伝子異常がある;常染色体劣性遺伝が一般的であり,多くは単一遺伝子の異常である。

内分泌不全により,甲状腺ホルモン生合成のいずれかの段階に障害が生じる:

  • ヨード濃縮障害

  • 甲状腺ペルオキシダーゼまたは過酸化水素生成系での異常に起因するヨード有機化障害

  • サイログロブリンの合成または輸送障害

  • 異常なヨードチロシン脱ヨウ素化酵素活性

母体抗体の胎盤通過

自己免疫性甲状腺疾患の女性が産生する抗体が第3トリメスターに胎盤を通過することがある。疾患の種類により,抗体が甲状腺刺激ホルモン受容体を遮断して甲状腺機能低下を引き起こすか,甲状腺刺激ホルモン受容体を刺激して 甲状腺機能亢進 乳児および小児における甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は,甲状腺ホルモンの過剰産生である。診断は甲状腺機能の検査(例,血清遊離サイロキシン,甲状腺刺激ホルモン)による。治療は,チアマゾール,およびときに放射性ヨードや手術による。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 乳児では甲状腺機能亢進症はまれであるが,生命を脅かす危険性がある。... さらに読む を引き起こす。典型的には,影響を受けた乳児において,ホルモン分泌および関連する甲状腺腫の変化は,3~6カ月以内に自然に消失する。

甲状腺腫誘発物質の胎盤通過

母親が摂取したアミオダロンや抗甲状腺薬(例,プロピルチオウラシル,チアマゾール)などの甲状腺腫誘発物質は,胎盤を通過する可能性があり,ときに甲状腺機能低下症の原因となるほか,まれに甲状腺腫を引き起こす。

症状と徴候

先天性甲状腺腫の最も一般的な病変は,甲状腺の硬く圧痛のない腫大である。腫大はびまん性が最も多いが,結節性の場合もある。出生時に気づくか,または後で発見される。一部の患者では,腫大が直ちに観察できなくとも増大が続くと,気管のずれ,または圧迫をもたらし,呼吸障害や嚥下障害を来すことがある。甲状腺腫の小児の多くは甲状腺機能が正常であるが,一部の小児は甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症を呈する。

診断

治療

  • 圧迫症状を引き起こす腫大の外科的治療

  • ときに甲状腺ホルモン

甲状腺機能低下症は,甲状腺ホルモンで治療する。

呼吸や嚥下の障害をもたらす甲状腺腫は,外科的に治療できる。

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