網膜を侵すがん

執筆者:Sonia Mehta, MD, Vitreoretinal Diseases and Surgery Service, Wills Eye Hospital, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2020年 6月
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    網膜を侵すがんは,通常脈絡膜に原発する。網膜は,その支持を脈絡膜に依存し,血液供給の半分も脈絡膜に依存しているため,がんによる脈絡膜の障害は視覚に影響を及ぼす可能性が高い。

    脈絡膜黒色腫

    脈絡膜黒色腫は脈絡膜のメラノサイトより発生する。脈絡膜黒色腫は,眼に発生するがんで最も頻度が高く,白人の発生率は約2500人に1人である。皮膚の色が濃い人々では,これほど多くない。好発年齢は55~60歳である。限局性であることもあれば,転移して死に至ることもある。

    症状は後期まで出現しない傾向があるが,視力障害および網膜剥離の諸症状などがある。

    診断は眼底検査により行うが,適応があれば,超音波検査,CT,フルオレセイン蛍光眼底造影,および連続写真など,他の検査により補完する。

    小さながんは,レーザー,放射線照射,または放射性インプラントにより治療を行うことで,視力が維持され眼球が温存される場合がある。まれに局所切除術が行われる。大きながんでは,眼球摘出を要する場合がある。

    脈絡膜転移

    脈絡膜は血管が多いため,脈絡膜転移は頻度が高い。最も頻度が高い原発がんは,女性で乳癌,男性で肺癌および前立腺癌である。

    症状は後期まで出現しない傾向があるが,視力障害および網膜剥離の諸症状などがある。

    ルーチンの眼底検査で偶然に診断されることが多い。通常は超音波検査を行い,細針生検により診断を確定する。

    治療は原発がんにより異なり,通常は全身化学療法,放射線療法,またはその両方が必要である。

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