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咽頭痛

執筆者:

Marvin P. Fried

, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine

レビュー/改訂 2020年 4月
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咽頭痛は,咽頭後部の疼痛であり,嚥下に伴って生じる場合も,伴わずに生じる場合もある。疼痛は重度である場合がある;多くの患者が経口摂取を拒絶する。

咽頭痛の病因

咽頭痛は感染に起因する;最も一般的な原因は以下のものである:

  • 扁桃咽頭炎

まれに,膿瘍または喉頭蓋炎を伴う;まれではあるが,これらは気道を障害する場合があるため,特に憂慮される。

扁桃咽頭炎

扁桃咽頭炎は主にウイルス感染症である;細菌により引き起こされる症例は比較的少ない。

呼吸器系ウイルス ウイルス性呼吸器感染症の概要 ウイルス感染症では上気道または下気道がよく侵される。 呼吸器感染症は原因ウイルスで分類することができるが(例, インフルエンザ),一般的には症候群に基づいて臨床的に分類される(例, 感冒, 細気管支炎, クループ, 肺炎)。通常は個々の病原体がそれぞれ特徴的な臨床像を引き起こすが(例,ライノウイルスは典型的には感冒を,... さらに読む (ライノウイルス,アデノウイルス,インフルエンザ,コロナウイルス,RSウイルス)が最も一般的なウイルス性の原因であるが,ときに エプスタイン-バーウイルス 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 EBVは5歳未満の50%の小児が感染するヘルペスウイルスである。成人は90%以上がEBVに対して血清反応... さらに読む 伝染性単核球症 (単核球症の原因), 単純ヘルペス 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 単純ヘルペスウイルス(ヒトヘルペスウイルス1型および2型)は一般的に,皮膚,口腔,口唇,眼,および性器を侵す反復性感染症を引き起こす。頻度の高い重症感染症としては,脳炎,髄膜炎,新生児ヘルペスなどがあり,易感染性患者では播種性感染症もある。皮膚粘膜感染症では,紅斑上に集簇する有痛性の小水疱が生じる。診断は臨床的に行う;培養,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査,直接蛍光抗体法,または血清学的検査により確定診断が可能である。治療は対症療法で... さらに読む 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症 サイトメガロウイルス サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV,ヒトヘルペスウイルス5型)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者,臓器移植レシピエント,およびその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出な... さらに読む ,または 急性HIV感染症(primary HIV infection) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 が関与する。

主な起因菌は,A群β溶血性レンサ球菌(GABHS レンサ球菌感染症 レンサ球菌(streptococcus)は,咽頭炎,肺炎,創傷および皮膚感染症,敗血症,心内膜炎など,多くの疾患を引き起こすグラム陽性好気性細菌である。症状は感染臓器により異なる。A群β溶血性レンサ球菌による感染症の続発症としてリウマチ熱と糸球体腎炎がある。ほとんどの菌株はペニシリンに感受性を示すが,最近になってマクロライド耐性株が出現している。 ( 肺炎球菌感染症, リウマチ熱,および... さらに読む レンサ球菌感染症 )であり,推定には幅があるが,おそらく成人では症例の10%の原因となり,小児ではそれよりもわずかに多い。GABHSは,レンサ球菌感染後の続発症であるリウマチ熱,糸球体腎炎,および膿瘍の可能性があるため,懸念される。まれな細菌性の原因には, 淋菌 淋菌感染症 淋菌感染症は,淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と呼ばれる細菌によって引き起こされる。典型的には,尿道,子宮頸部,直腸,咽頭の上皮,または結膜に感染し,刺激感または疼痛および膿性分泌物を生じさせる。皮膚および関節への播種はまれであるが,皮膚のただれ,発熱,および移動性の多関節炎または少関節型の化膿性関節炎を引き起こす。診断は鏡検,培養,または核酸増幅検査による。いくつかの経口または注射用抗菌薬が使用できるが... さらに読む 淋菌感染症 ジフテリア ジフテリア ジフテリアは,主にグラム陽性桿菌であるジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の毒素産生株,まれに比較的頻度の低い他のCorynebacterium属細菌によって引き起こされる,咽頭または皮膚の急性感染症である。症状は非特異的な皮膚感染症または偽膜性咽頭炎で始まり,それに続いて外毒素による心筋および神経組織の障害がみられる。無症候性保菌者も存在する。診断は臨床的に行い,培養により... さらに読む ジフテリア マイコプラズマ マイコプラズマ マイコプラズマは遍在性の細菌で,細胞壁を欠いているという点で他の原核生物と異なっている。 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)は肺炎,特に 市中肺炎の一般的な原因菌である。 非淋菌性尿道炎症例の一部は性器マイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)またはUreaplasma urealyticumが原因菌であることを示唆したエビデンスが蓄積されている。... さらに読む クラミジア クラミジア Chlamydia属細菌のうち3つの菌種が,ヒトにおいて性感染症や呼吸器感染症などの疾患を引き起こす。いずれもマクロライド系(例,アジスロマイシン),テトラサイクリン系(例,ドキシサイクリン),およびフルオロキノロン系薬剤に感受性を示す。 クラミジアは非運動性の偏性細胞内寄生細菌である。DNA,RNA,およびリボソームをもち... さらに読む などがある。

膿瘍

咽頭領域(扁桃周囲 扁桃周囲膿瘍および蜂窩織炎 扁桃周囲膿瘍および蜂窩織炎は,青年および若年成人で最も頻度が高い急性咽頭感染症である。症状は重度の咽頭痛,開口障害,「熱いポテトが口に入っているような」声("hot potato" voice),および口蓋垂の偏位である。診断には穿刺吸引を必要とする。治療には,広域抗菌薬,膿があれば排膿,水分補給,鎮痛薬,およびときに緊急の扁桃摘出術などを用いる。 膿瘍(扁桃周囲膿瘍)および蜂窩織炎は,扁桃および咽頭の細菌感染が軟部組織に拡大していく,... さらに読む 扁桃周囲膿瘍および蜂窩織炎 副咽頭 副咽頭間隙膿瘍 副咽頭間隙膿瘍は,深頸部の膿瘍である。症状としては,発熱,咽頭痛,嚥下痛,舌骨方向への頸部の腫脹などがある。診断はCTによる。治療は抗菌薬および外科的排膿による。 副咽頭(上顎咽頭[pharyngomaxillary])間隙は,上咽頭収縮筋の外側,翼突筋の内側に位置する。この間隙は,他の主な頸部筋膜間隙全てに接続しており,茎状突起によって前区域と後区域に分けられる。後区域には頸動脈,内頸静脈,および多数の神経が含まれる。歯性感染源および... さらに読む 副咽頭間隙膿瘍 ,および小児では 咽後 咽後膿瘍 咽後膿瘍は幼児に最も頻度が高く,咽頭痛,発熱,項部硬直,および吸気性喘鳴を生じうる。診断には頸部X線(側面像)またはCTが必要である。治療には気管挿管,排膿,および抗菌薬を用いる。 咽後膿瘍は,脊椎に隣接する咽頭後部の咽頭後リンパ節に発生する。咽後膿瘍は咽頭,副鼻腔,アデノイドまたは鼻の感染によって播種しうる。咽頭後リンパ節が4~5歳までに退縮し始めるため,咽後膿瘍は主に1~8歳の小児に発症する。しかしながら,成人では異物の摂取や器具操... さらに読む 咽後膿瘍 )の膿瘍はまれであるが,重大な咽頭痛を引き起こす。通常の起因菌はGABHSである。

喉頭蓋炎

喉頭蓋炎 喉頭蓋炎 喉頭蓋炎は喉頭蓋および周辺組織において急速に進行する細菌感染症であり,突然の気道閉塞および死亡に至ることもある。症状としては,重度の咽頭痛,嚥下困難,高熱,流涎,吸気性喘鳴などがある。診断には声門上部構造の直接観察が必要であるが,これは十分な呼吸補助が可能になるまで行うべきではない。治療には気道の保護および抗菌薬などがある。 喉頭蓋炎はかつては主に小児に発生し,通常,インフルエンザ菌(Haemophilus... さらに読む 喉頭蓋炎 (おそらくは声門上炎[supraglottitis]と称した方がよい)は,かつては主に小児に起こり,通常,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型(HiB)が原因であった。現在では,HiBに対する小児予防接種が広く行われているため,小児では声門上炎/喉頭蓋炎はほとんど根絶されている(成人でより多く発生)。小児および成人での起因菌には,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),無莢膜型インフルエンザ菌(nontypeable H. influenzae),パラインフルエンザ菌(Haemophilus parainfluenzae),β溶血性レンサ球菌,Branhamella catarrhalis,および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)などがある。HiBはいまだに成人およびワクチン未接種の小児における起因菌である。

咽頭痛の評価

病歴

現病歴の聴取では,咽頭痛の持続期間および重症度に注意すべきである。

システムレビュー(review of systems)では,鼻水,咳嗽,および嚥下困難,発声困難,または呼吸困難など,重要な関連症状を検索すべきである。先行する脱力および倦怠感(単核球症を示唆する)の存在および持続期間に注意する。

既往歴の聴取では,単核球症(再発の可能性は非常に低い)のカルテ上の既往歴を探索すべきである。社会歴の聴取では,GABHS感染が確認された個人との濃厚接触,淋菌感染症の伝播の危険因子(例,最近の口腔-性器の性的接触),およびHIV感染の危険因子(例,無防備な性交,複数のセックスパートナー,静注薬物の乱用)について尋ねるべきである。

身体診察

全身状態の観察では,発熱のほか,頻呼吸,呼吸困難,吸気性喘鳴,および小児では前のめりの姿勢(tripod position)(座位になり,前傾して頸部を過伸展し,下顎を前突させる)など,呼吸窮迫の徴候に注意すべきである。

声門上炎/喉頭蓋炎が疑われる場合は,気道の完全閉塞を誘発する可能性があるため,小児では咽頭の診察を行うべきではない。呼吸窮迫がない成人は,診察してもよいが注意しながら行う。扁桃周囲または咽後領域の発赤,滲出液,および腫脹の徴候に注意すべきである。口蓋垂が正中線上にあるか,または片側に押されているように見えるかにも注意すべきである。

腫大して,圧痛を伴うリンパ節がないか頸部を診察する。脾腫がないか腹部を触診する。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見は特に注意が必要である:

  • 吸気性喘鳴または呼吸窮迫の他の徴候

  • 流涎

  • くぐもった,「熱いジャガイモが口に入っているような」声(“hot potato” voice)

  • 咽頭の明らかな隆起

所見の解釈

声門上炎/喉頭蓋炎 喉頭蓋炎 喉頭蓋炎は喉頭蓋および周辺組織において急速に進行する細菌感染症であり,突然の気道閉塞および死亡に至ることもある。症状としては,重度の咽頭痛,嚥下困難,高熱,流涎,吸気性喘鳴などがある。診断には声門上部構造の直接観察が必要であるが,これは十分な呼吸補助が可能になるまで行うべきではない。治療には気道の保護および抗菌薬などがある。 喉頭蓋炎はかつては主に小児に発生し,通常,インフルエンザ菌(Haemophilus... さらに読む 喉頭蓋炎 および 咽頭膿瘍 副咽頭間隙膿瘍 副咽頭間隙膿瘍は,深頸部の膿瘍である。症状としては,発熱,咽頭痛,嚥下痛,舌骨方向への頸部の腫脹などがある。診断はCTによる。治療は抗菌薬および外科的排膿による。 副咽頭(上顎咽頭[pharyngomaxillary])間隙は,上咽頭収縮筋の外側,翼突筋の内側に位置する。この間隙は,他の主な頸部筋膜間隙全てに接続しており,茎状突起によって前区域と後区域に分けられる。後区域には頸動脈,内頸静脈,および多数の神経が含まれる。歯性感染源および... さらに読む 副咽頭間隙膿瘍 は,気道を危機に曝すものであり,単純な 扁桃咽頭炎 扁桃咽頭炎 咽頭痛は,咽頭後部の疼痛であり,嚥下に伴って生じる場合も,伴わずに生じる場合もある。疼痛は重度である場合がある;多くの患者が経口摂取を拒絶する。 咽頭痛は感染に起因する;最も一般的な原因は以下のものである: 扁桃咽頭炎 まれに,膿瘍または喉頭蓋炎を伴う;まれではあるが,これらは気道を障害する場合があるため,特に憂慮される。 扁桃咽頭炎は主にウイルス感染症である;細菌により引き起こされる症例は比較的少ない。 さらに読む  扁桃咽頭炎 (不快であるが非常に危険というわけではない)と鑑別する必要がある。臨床所見はこの鑑別に役立つ。

声門上炎/喉頭蓋炎では,通常は先行するURIの症状を伴わずに,重度の咽頭痛および嚥下困難が突然発現する。小児には,しばしば流涎および毒性の徴候がみられる。ときに(小児ではより多い),頻呼吸,呼吸困難,吸気性喘鳴,および前のめりの姿勢(tripod position)での着座を伴う,呼吸器症状がみられる。診察した場合,咽頭にはほぼいつも著明な所見は認められない。

咽頭膿瘍および扁桃咽頭炎はいずれも,咽頭の発赤,滲出液,またはその両方を引き起こす場合がある。しかし,一部の所見はいずれかの疾患で可能性がより高い:

  • 咽頭膿瘍:くぐもった,「熱いジャガイモが口に入っているような」声(あたかも熱い物が口の中に入っているように話す);咽頭後壁の明らかな局所腫脹(しばしば口蓋垂の偏位を伴う)

  • 扁桃咽頭炎:しばしばURIの症状(例,鼻水,咳嗽)を伴う

  • 扁桃滲出物

  • 圧痛を伴うリンパ節腫脹

  • 発熱(既往を含む)

  • 咳嗽がない

該当する基準が1項目以下の成人は,ウイルス性疾患を有すると合理的に推定できる。該当する基準が2項目以上みられる場合,GABHSの可能性は検査の適応となるほどには高いもののおそらく抗菌薬の適応となるほどには高くないが,この判断は患者毎に下す必要がある(すなわち,検査および治療のための閾値は,糖尿病または易感染状態によるリスクがある患者では低くなる場合がある)。通常,小児では検査を行う。このアプローチは妥当であるが,いつGABHSの検査を行うべきか,およびいつ抗菌薬治療が適応となるかについて,全ての専門医の意見が一致しているわけではない。

扁桃咽頭炎のよりまれな原因に関しては,後頸部または全身のリンパ節腫脹,肝脾腫,ならびに1週間を超える疲労および倦怠感がみられる場合には, 伝染性単核球症 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 EBVは5歳未満の50%の小児が感染するヘルペスウイルスである。成人は90%以上がEBVに対して血清反応... さらに読む 伝染性単核球症 を考慮すべきである。URIの症状はないが,最近の口腔-性器接触がある患者には, 咽頭の淋菌感染症 淋菌感染症 淋菌感染症は,淋菌(Neisseria gonorrhoeae)と呼ばれる細菌によって引き起こされる。典型的には,尿道,子宮頸部,直腸,咽頭の上皮,または結膜に感染し,刺激感または疼痛および膿性分泌物を生じさせる。皮膚および関節への播種はまれであるが,皮膚のただれ,発熱,および移動性の多関節炎または少関節型の化膿性関節炎を引き起こす。診断は鏡検,培養,または核酸増幅検査による。いくつかの経口または注射用抗菌薬が使用できるが... さらに読む 淋菌感染症 がある可能性がある。咽頭後壁に剥離すると出血する暗灰色で厚く丈夫な膜がみられる場合, ジフテリア ジフテリア ジフテリアは,主にグラム陽性桿菌であるジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の毒素産生株,まれに比較的頻度の低い他のCorynebacterium属細菌によって引き起こされる,咽頭または皮膚の急性感染症である。症状は非特異的な皮膚感染症または偽膜性咽頭炎で始まり,それに続いて外毒素による心筋および神経組織の障害がみられる。無症候性保菌者も存在する。診断は臨床的に行い,培養により... さらに読む ジフテリア が示唆される(米国ではまれ)。危険因子のある患者では, HIV ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は,2つの類似したレトロウイルス(HIV-1およびHIV-2)のいずれかにより生じ,これらのウイルスはCD4陽性リンパ球を破壊し,細胞性免疫を障害することで,特定の感染症および悪性腫瘍のリスクを高める。初回感染時には,非特異的な熱性疾患を引き起こすことがある。その後に症候(免疫不全に関連するもの)が現れ... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 感染を考慮すべきである。

検査

評価後に声門上炎/喉頭蓋炎の可能性があるとみなされた場合,検査が必要である。重篤感がなく,呼吸器症状もみられない患者では,浮腫状の喉頭蓋がないか確認するため,頸部の側面単純X線を施行できる。しかし,重篤にみえる小児または吸気性喘鳴もしくは他の呼吸器症状がある小児は,X線装置まで移動すべきではない。こうした患者(およびX線所見が陽性または不明確な患者)には,通常,軟性ファイバースコープによる喉頭鏡検査を施行すべきである。(注意咽頭および喉頭の診察は,小児においては気道の完全閉塞を突然引き起こす可能性があり,咽頭および喉頭は最先端の気道介入が実施できる手術室以外では直接診察すべきではない。)

パール&ピットフォール

  • 喉頭蓋炎を考慮する場合は,気道の完全閉塞のリスクを最小限に抑えるため,手術室でのみ小児の咽頭を直接診察する。

膿瘍の多くは臨床的に管理するが,部位および範囲が不明であれば,直ちに頸部CTを施行すべきである。

扁桃咽頭炎では,咽頭培養が,ウイルス感染症とGABHSを鑑別する唯一の信頼できる手段である。診断の適時性,費用,および精度のバランスをとるため,小児での1つの戦略は,診察室で迅速なレンサ球菌のスクリーニングを行い,陽性であれば治療し,陰性であれば正式な培養にまわすことである。成人では,他の病原細菌が関与する場合があるため,上述の臨床基準に該当する患者に対しては,全ての病原細菌に対する咽頭培養が適切である。

臨床的に疑われた場合にのみ,単核球症,淋菌感染症,またはHIVの検査を実施する。

咽頭痛の治療

特徴的な病態を治療する。扁桃咽頭炎の重度症状がみられる患者には,培養結果が出る前から広域抗菌薬(例,アモキシシリン/クラブラン酸)を開始してもよい。

温塩水による含漱および局所麻酔(例,ベンゾカイン,リドカイン,ジクロニン[dyclonine])などの対症療法は,扁桃咽頭炎の一時的な疼痛緩和に役立つことがある。重度の疼痛(扁桃咽頭炎によるものでも)を有する患者では,オピオイドの短期投与が必要となることがある。

コルチコステロイド(例,デキサメタゾン,10mg,筋肉内投与)がときに用いられ,例えば,気道閉塞のリスクがあると思われる扁桃咽頭炎(例,単核球症による)または非常に重度の扁桃咽頭炎の症状に対して用いる。

咽頭痛の要点

  • 大半の咽頭痛は,ウイルス性の扁桃咽頭炎により引き起こされる。

  • 扁桃咽頭炎のウイルス性の原因と細菌性の原因を臨床的に鑑別するのは困難である。

  • 膿瘍および喉頭蓋炎はまれであるが,重篤な原因である。

  • 咽頭が正常にみえる患者に重症の咽頭痛がある場合は,喉頭蓋炎を疑うべきである。

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