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メトロニダゾールおよびチニダゾール

執筆者:

Brian J. Werth

, PharmD, University of Washington School of Pharmacy

レビュー/改訂 2020年 5月
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薬物動態

メトロニダゾールの経口剤は良好に吸収される。通常,経口投与が不可能な場合は静脈内投与とする。メトロニダゾールは体液中に広く分布し,髄液中にも移行して高濃度となる。

メトロニダゾールは肝臓で代謝されると考えられており,主に尿中に排泄されるが,腎機能不全のある患者でも排泄が低下することはない。ただし,末期腎臓病の患者ではメトロニダゾールの代謝物が蓄積する可能性があるため,それらの患者では,頭痛,痙攣,末梢神経障害(主に四肢のしびれまたは錯感覚)を含む中枢神経系作用など,メトロニダゾールに関連する有害作用についてモニタリングすべきである。

チニダゾールはメトロニダゾールよりも半減期がわずかに長いため,投与回数を減らすことができる。

メトロニダゾールおよびチニダゾールの適応

メトロニダゾールは以下に対して活性を示す:

チニダゾールは,主に上述の原虫に対して使用される。嫌気性細菌による全身性感染症には使用されない。

メトロニダゾールおよびチニダゾールの禁忌

メトロニダゾールおよびチニダゾールは,同薬剤に対するアレルギー反応の既往がある患者では禁忌である。

妊娠中および授乳中の使用

いくつかの動物種を対象としたメトロニダゾールの生殖試験では,発がん活性のリスク増大が認められた。適切な対照を置いた十分な研究で妊婦を対象に実施されたものはない。ヒトを対象としたほとんどの試験では,妊娠中にメトロニダゾールを使用してもがん,先天異常,胎児に対するその他の有害作用のリスク上昇は認められていないが,第1トリメスターにメトロニダゾールを使用した母親の新生児で口唇裂(ときに口蓋裂を合併)を報告した研究もある。米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)の2015 sexually transmitted diseases treatment guidelinesは,トリコモナス症の治療に対し,妊娠のどの段階であれ2gの単回投与が可能としているが,第1トリメスター中にはメトロニダゾールの使用を避けるよう推奨する専門家もいる。

メトロニダゾールは母乳中に移行するため,授乳期間中の使用は推奨されない。

妊娠中のチニダゾールの使用に関するデータは限られているが,動物試験で中等度のリスクが示唆されているため,妊娠中にはチニダゾールは避ける。

メトロニダゾールおよびチニダゾールの有害作用

メトロニダゾールおよびチニダゾールの有害作用としては以下のものがある:

  • 消化管障害

  • 中枢神経系作用および末梢神経障害

  • ジスルフィラム様反応

悪心,嘔吐,頭痛,痙攣発作,失神,その他の中枢神経系作用,および末梢神経障害が生じる可能性があり,また発疹,発熱,および可逆性の好中球減少が報告されている。メトロニダゾールは金属味および濃色尿を引き起こすことがある。使用後7日以内にアルコールを摂取すると,ジスルフィラム様反応(紅潮,頭痛,悪心,嘔吐など)が発生することがある。

チニダゾールの方が消化管障害の発生率がわずかに低い可能性がある。

メトロニダゾールおよびチニダゾールの投与に関する留意事項

メトロニダゾールおよびチニダゾールの用量は,腎不全患者でも減量しない。メトロニダゾールは重大な肝疾患がある患者では通常50%減量するが,チニダゾールは肝疾患を対象とした研究が行われていないため,もし使用するのなら慎重に使用すべきである。

メトロニダゾールおよびチニダゾールはワルファリンの代謝を阻害し,その抗凝固作用を増強する可能性がある。

メトロニダゾールおよびチニダゾールについてのより詳細な情報

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