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菌腫

(マズラ菌症,マズラ足)

執筆者:

Sanjay G. Revankar

, MD, Wayne State University School of Medicine

レビュー/改訂 2019年 7月
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菌腫は,真菌または細菌により引き起こされる慢性かつ進行性の局所感染症であり,足,上肢,または背部が侵される。症状としては腫脹や瘻孔形成などがある。診断は臨床的に行い,滲出液の鏡検および培養で確定する。治療としては,抗菌薬投与と外科的デブリドマンのほか,ときに四肢切断などを行う。

半数以上の症例は細菌(主としてNocardia属とその他の放線菌)が原因である。残りは約20種の真菌によるものである。真菌が原因である場合は,ときに真菌性菌腫と呼ばれる。

菌腫は主として熱帯または亜熱帯地域(米国南部を含む)で発生し,汚染された植物や他の物品を運搬する労働者において,足の素肌や四肢または背部に生じた局所の外傷部位から菌が侵入した場合に生じる。20~40歳の男性が最も多く罹患するが,おそらくは屋外労働中に外傷を負うためと考えられる。

感染は隣接部の皮下組織を通じて拡大し,結果として腫脹を来し,菌の集塊である特徴的な顆粒が滲出する排膿を伴う瘻孔が複数形成される。顕微鏡的な組織反応は,原因菌に応じて,主として化膿性の場合と肉芽腫性の場合がある。感染が進行すると,細菌の重複感染が生じる可能性がある。

菌腫の症状と徴候

菌腫の臨床像

菌腫の初期病変は丘疹,固定性の皮下結節,硬結部の小水疱,または破裂して皮膚表面への瘻孔を形成する皮下膿瘍などである。初期病変の内部や周囲に線維症がよくみられる。圧痛は,急性化膿性細菌性重複感染がない限り,極めて弱い,または全く認められない。

感染は数カ月または数年をかけて緩徐に進行していき,隣接する筋肉,腱,筋膜,および骨へと徐々に拡大して,それらを破壊する。全身性播種は起こらず,汎発性感染の発生を示唆する症状や徴候も認められない。最終的には,筋萎縮,変形,および組織破壊により,侵された四肢が不自由になる。感染が進行した場合,侵された四肢は異様に腫大して,嚢胞から成る棍棒状の腫瘤を形成する。これらの領域に形成される排膿を伴って相互に連絡した複数の瘻孔から,特徴的な白色または黒色の顆粒を含んだ濃厚または漿液血性の滲出液が排出される。

菌腫の診断

  • 滲出液の検査および培養

滲出液に含まれる様々な色調を呈する不整形で0.5~2mm大の顆粒を肉眼および顕微鏡で観察することより,原因菌を推定的に同定することが可能である。これらの顆粒を粉砕して培養すれば,確定的な同定となる。滲出液検体から複数の細菌および真菌が得られることがあり,その一部は重複感染の原因菌である可能性がある。

菌腫の治療

  • 抗菌薬または抗真菌薬

  • ときに手術

菌腫の治療は10年を超えることがある。治療を怠った場合,細菌の重複感染および敗血症で死亡することもある。

真菌による感染症では,可能性のある原因菌の一部は,アムホテリシンB,イトラコナゾール,またはケトコナゾール(米国では利用できない)に対して少なくとも部分的には感受性を示すが,全ての抗真菌薬に耐性を示す原因菌も存在する。抗真菌療法後には大半の症例で再発が起こり,多くの患者は治療中に改善せず,悪化することさえあり,しばしば感染の難治性の性質が示唆される。

外科的なデブリドマンが必要であり,致死性となりうる重度の二次性細菌感染を予防するために四肢切断が必要になる場合もある。

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