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麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合(MMR)ワクチン

執筆者:

Margot L. Savoy

, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University

レビュー/改訂 2022年 10月
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麻疹 麻疹 麻疹は,小児で最も多くみられる感染性の高いウイルス感染症である。発熱,咳嗽,鼻感冒,結膜炎,口腔粘膜の粘膜疹(コプリック斑),および頭尾方向に拡大する斑状丘疹状皮疹を特徴とする。診断は通常,臨床的に行う。治療は支持療法による。予防接種が非常に効果的である。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウイルスについては,... さらに読む 麻疹 ムンプス ムンプス ムンプスは,通常は唾液腺(最も多くは耳下腺)の有痛性腫脹を引き起こす,感染性の強い全身性の急性ウイルス性疾患である。合併症として,精巣炎,髄膜脳炎,膵炎などが起こりうる。診断は通常臨床的に行い,症例は全て速やかに公衆衛生当局に報告する。治療は支持療法による。ワクチン接種が予防に効果的である。 ヒトに感染するウイルスの大半は成人と小児の両方に感染するが,それらについては本マニュアルの別の箇所で考察されている。新生児に特異的な影響を及ぼすウ... さらに読む ムンプス 風疹 風疹 ( Professional.See also page 先天性風疹。) 風疹は,リンパ節腫脹と発疹のほか,ときに全身症状(通常は軽度かつ短期間)を引き起こす,感染性の強いウイルス感染症である。妊娠早期に感染すると,自然流産,死産,または先天性感染症につながる可能性がある。診断は通常臨床的に行う。症例は公衆衛生当局に報告する。通常,治療は不要である。ワクチン接種が予防に効果的である。... さらに読む 風疹 混合(MMR)ワクチンは,3つの感染症全ての予防に効果的である。米国の予防接種スケジュールに従ってMMRワクチンの接種を受ければ,生涯にわたり予防効果が維持されると考えられている。

詳細については,MMR Advisory Committee on Immunization Practices Vaccine Recommendations (Measles, Mumps and Rubella)およびCenters for Disease Control and Prevention (CDC): Measles Mumps, and Rubella (MMR) Vaccinationを参照のこと。2022年版の成人向け予防接種スケジュールに加えられた変更の要約が,ここから入手可能である。

MMRワクチンの製剤

MMRワクチンは,ニワトリ胚細胞培養により産生される麻疹およびムンプスウイルスの弱毒生ウイルスを含有する。さらに,ヒト二倍体肺線維芽細胞で産生される弱毒生風疹ウイルスも含有する。

MMRワクチンの適応

MMRワクチンは,ルーチンの小児予防接種の1つである( Professional.see table 0~6歳を対象とする推奨予防接種スケジュール 0~6歳を対象とする推奨予防接種スケジュール 0~6歳を対象とする推奨予防接種スケジュール )。

1957年以降に生まれた全ての成人は,以下のいずれかに該当しない限り,このワクチンの接種を1回受けるべきである:

  • MMRワクチンによる予防接種の記録が1回でもある

  • これら3疾患に対する免疫の獲得を示す臨床検査所見がある

  • このワクチンに対する禁忌がある

医師による疾患の診断記録のみでは,麻疹,ムンプス,または風疹に対する免疫の成立を示す所見として不十分である。

パール&ピットフォール

  • 医師による疾患の診断記録のみでは,麻疹,ムンプス,または風疹に対する免疫の成立を示す所見として不十分である。

曝露の可能性が高い以下に該当する成人には,MMRワクチンの2回目の接種(あるいは,接種歴がない場合は28日以上の間隔を空けた2回の接種)が推奨される:

  • 大学をはじめとする高校以降の教育機関に通う学生

  • 1957年以降に出生した免疫獲得の証拠がない医療従事者

  • 国際旅行者

  • HIV感染患者で,CD4陽性細胞が15%以上かつCD4陽性細胞数が200/μL以上の状態が6カ月以上継続し,かつ麻疹,ムンプス,または風疹に対する免疫獲得の証拠がない場合

1957年より前に出生した人は一般に免疫があると考えられている。しかしながら,そのような人であっても免疫獲得の証拠がなく医療施設で働いている場合は(患者の治療にあたっているかどうかに関係なく)ワクチンの接種を考慮すべきである。MMRは2回の接種が行われる(風疹の免疫のみが必要な場合は1回)。

ムンプスを含むワクチンの接種歴が2回以下で,ムンプスのアウトブレイク中にムンプスのリスクが高いことが公衆衛生当局によって確認された生後12カ月以上の人には,MMRワクチンを1回接種すべきである。

妊娠中の風疹は,胎児に対して重い悪影響(例,流産,複数の先天異常)を及ぼす可能性があるため,妊娠可能年齢の女性は全員,産まれた年に関係なく,風疹の免疫に関するスクリーニングを受けるべきである。免疫の獲得を示す所見がない場合,妊娠していない女性はワクチン接種を受けるべきである。免疫の獲得を示す所見がない妊婦は,出産が終わってから,医療施設を退院するまでに,ワクチン接種を受けるべきである。

1963年から1967年までに不活化(死菌)麻疹ワクチンまたは種類が不明の麻疹ワクチンの接種を受けた個人は,MMRワクチン2回の再接種を受けるべきである。

1979年以前に,不活化ムンプスワクチンまたは種類が不明のムンプスワクチンの接種を受け,ムンプス曝露のリスクが高い個人には,MMRワクチン2回の再接種を勧めるべきである。

MMRワクチンの禁忌および注意事項

MMRワクチンの禁忌としては以下のものがある:

HIV感染症は,易感染状態が重度の場合(CDCの 易感染状態カテゴリー 13歳未満のHIV感染児における年齢相応のCD4陽性T細胞数の絶対値または全血球数に対する割合に基づく免疫学的カテゴリー(HIV感染症の病期) 13歳未満のHIV感染児における年齢相応のCD4陽性T細胞数の絶対値または全血球数に対する割合に基づく免疫学的カテゴリー(HIV感染症の病期) 3かつCD4陽性細胞 < 15%―またはCD4陽性細胞数 <200/μL)にのみ禁忌となり,易感染状態が重度でなければ,野生型麻疹ウイルスのリスクが生ワクチンからの麻疹感染リスクを上回る。

MMRワクチンの注意事項としては以下のものがある:

  • 発熱の有無にかかわらず,中等度または重度の急性疾患が認められる(消失するまで接種を延期する)

  • 抗体を含有する血液製剤の投与を最近(過去11カ月以内)受けた(具体的な期間は製品毎に異なる)

  • 血小板減少症または血小板減少性紫斑病の既往がある

結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の感染者では,MMRワクチンにより一時的にツベルクリン反応が抑制されることがあり,MMRVワクチンにもその可能性がある。したがって,この検査が必要な場合は,ワクチン接種の前または同時に施行することができる。すでにワクチン接種を受けている場合は,ワクチン接種の4~6週間後まで検査を延期すべきである。

MMRワクチンの用量および用法

MMRワクチンの用量は0.5mLの皮下接種である。MMRワクチンは,生後12~15カ月時に1回および4~6歳時に1回の計2回,ルーチンに接種する。

MMRワクチンの有害作用

このMMRワクチンは,軽度または不顕性の非伝染性感染症を引き起こす。症状として38℃を超える発熱があり,ときに続いて発疹がみられる。中枢神経系の反応は非常にまれであり,このワクチンは 自閉症 自閉スペクトラム症 自閉スペクトラム症とは,社会的交流およびコミュニケーションの障害,反復常同的な行動様式,ならびにしばしば知的能力障害を伴う不均一な知的発達を特徴とする,神経発達障害の1つである。症状は小児期早期に始まる。患児の大部分においてその原因は不明であるが,エビデンスから遺伝的要素の存在が支持されており,また一部の患者では,何らかの内科的病態によって自閉症が引き起こされることもある。診断は発達歴および観察に基づく。治療は行動管理であり,ときに薬物... さらに読む を引き起こさない(MMRワクチンと自閉症 麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合(MMR)ワクチン 米国では,厳格なワクチン安全性システムが整備されているにもかかわらず,依然として一部の親は小児におけるワクチンの使用や予防接種スケジュールの安全性について懸念を抱いている。そのような懸念から,推奨される予防接種の一部しか子どもに受けさせない親や,予防接種を全く受けさせない親もいる。米国では,2006年に1%であった予防接種免除率が2016~2017年には2%まで上昇し( 1),6%の小児が免除を受けたと報告した州もあった。親が医学とは関... さらに読む および ワクチンの安全性 ワクチンの安全性 免疫は以下の形で付与することができる: 抗原を用いる能動免疫(例,ワクチン,トキソイド) 抗体を用いる受動免疫(例,免疫グロブリン,抗毒素) トキソイドは,無害でありながらも抗体産生を刺激できるように修飾が加えられた細菌毒素である。 ワクチンは,病原性を示さないように作製された完全な細菌またはウイルス(生または不活化ワクチン)あるいは細菌... さらに読む を参照)。

成人(通常は女性)ではときに,風疹成分により疼痛を伴う関節腫脹が引き起こされることがある。

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用かもしれない。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

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