麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合(MMR)ワクチン

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
Reviewed ByEva M. Vivian, PharmD, MS, PhD, University of Wisconsin School of Pharmacy
レビュー/改訂 修正済み 2025年 7月
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Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)によると,麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合ワクチン(MMR)は非常に効果的であり,抗体陽転率は麻疹ウイルスで約96%,ムンプスウイルスで93%,風疹ウイルスで98%である(1)。

麻疹,ムンプス,および風疹(特に麻疹はアウトブレイクを引き起こしやすい)の有病率の上昇には,ワクチン忌避や接種の遅れおよび予防接種プログラムの混乱によるワクチン接種率の低下が密接に関連している(2)。過去のデータから,米国の予防接種スケジュールに従ってMMRワクチンの接種を受ければ,生涯にわたって予防効果が維持されると考えられており,したがって,接種を奨励すべきである。

予防接種の概要も参照のこと。)

総論の参考文献

  1. 1.Schenk J, Abrams S, Theeten H, Van Damme P, Beutels P, Hens N.Immunogenicity and persistence of trivalent measles, mumps, and rubella vaccines: a systematic review and meta-analysis. Lancet Infect Dis.2021;21(2):286-295.doi:10.1016/S1473-3099(20)30442-4

  2. 2.Zucker JR, Rosen JB, Iwamoto M, et al.Consequences of Undervaccination - Measles Outbreak, New York City, 2018-2019. N Engl J Med.2020;382(11):1009-1017.doi:10.1056/NEJMoa1912514

MMRワクチンの製剤

麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合ワクチンは,ニワトリ胚細胞培養により産生される麻疹およびムンプスウイルスの弱毒生ウイルスを含有する。さらに,ヒト二倍体肺線維芽細胞で産生される弱毒生風疹ウイルスも含有する。

MMRワクチンと水痘ワクチンは,MMRVワクチン(麻疹ウイルス・ムンプスウイルス・風疹ウイルス・水痘ウイルス混合ワクチン)として使用可能である。

MMRワクチンの適応

MMRワクチンは,ルーチンの小児予防接種に組み込まれている(1)。

1957年より前に出生した人は,1963年に最初のワクチンが導入される前に数年にわたって麻疹の流行を経験しており,免疫があると推定され,調査結果からは,それらの人の95~98%が感染していた可能性が高いことが示唆されている(2)。1957年以降に生まれた全ての成人は,以下のいずれかに該当しない限り,このワクチンの接種を1回受けるべきである(3):

  • MMRワクチンによる予防接種の記録が1回でもある

  • これら3疾患全てについて免疫獲得を示す臨床検査所見がある

  • このワクチンに対する禁忌がある

臨床検査による確認を欠いた医師による疾患の臨床診断のみでは,麻疹,ムンプス,または風疹に対する免疫の成立を示す証拠として不十分である。麻疹に対する免疫を推定できる証拠がなく,MMRおよびMMRVワクチンの禁忌がない国際旅行の予定者(生後6~12カ月の乳児を含む)は,理想的には出発の少なくとも2週間前に,いずれかのワクチンの接種を受けるべきである(4)。

パール&ピットフォール

  • 医師による疾患の臨床診断のみでは,麻疹,ムンプス,風疹に対する免疫の成立を示す証拠として不十分である。

曝露の可能性が高い以下に該当する成人には,MMRワクチンの2回目の接種(あるいは,接種歴がない場合は28日以上の間隔を空けた2回の接種)が推奨される(5):

  • 大学をはじめとする高校以降の教育機関に通う学生

  • 1957年以降に出生した免疫獲得の証拠がない医療従事者

  • アウトブレイクへの曝露が予想される個人または国際旅行をする個人

  • HIV感染患者で,CD4陽性細胞が15%以上かつCD4陽性細胞数が200/μL以上の状態が6カ月以上継続し,かつ麻疹,ムンプス,または風疹に対する免疫獲得の証拠がない場合

1957年より前に出生した人と医療施設で働いている(患者のケアを担当しているかどうかは問わない)人は,免疫獲得の証拠がない場合には,ワクチン接種を考慮すべきである(2)。MMRワクチンは2回接種する(風疹の免疫のみが必要な場合は1回)。

1963年から1967年までに不活化麻疹ワクチンまたは種類が不明の麻疹ワクチンの接種を受けた個人は,MMRワクチン2回の再接種を受けるべきである。

1979年より前に不活化または種類不明のムンプスワクチンの接種を受け,ムンプス曝露のリスクが高い個人には,MMRワクチン2回の再接種を勧めるべきである。

ムンプス成分を含むワクチンの接種歴が2回以下で,ムンプスのアウトブレイク中にムンプスのリスクが高いことが公衆衛生当局によって確認された生後12カ月以上の人には,MMRワクチンを1回接種すべきである。

妊娠中の風疹は,胎児に対して重い悪影響(例,流産,複数の先天異常)を及ぼす可能性があるため,妊娠可能年齢の女性は全員,産まれた年に関係なく,風疹の免疫に関するスクリーニングを受けるべきである。免疫の獲得を示す所見がない場合,妊娠していない女性はワクチン接種を受けるべきである。免疫の獲得を示す所見がない妊婦は,出産が終わってから,医療施設を退院するまでに,ワクチン接種を受けるべきである。

適応に関する参考文献

  1. 1.CDC.Child and Adolescent Immunization Schedule by Age.May 2025.

  2. 2.Immunize.org.Ask the Experts: MMR (Measles, Mumps, and Rubella).Accessed April 18, 2025.

  3. 3.CDC.Adult Immunization Schedule by Age.May 2025.

  4. 4.CDC.Measles (Rubeola).April 2025.

  5. 5.Strebel PM, Orenstein WA. Measles.N Engl J Med.2019;381(4):349-357.doi:10.1056/NEJMcp1905181

MMRワクチンの禁忌および注意事項

MMRワクチンの禁忌としては以下のものがある:

  • 過去の接種後またはワクチン成分に対する重度のアレルギー反応の既往(例,フラジオマイシンに対するアナフィラキシー[遅発型過敏反応ではない],ゼラチンに対するアナフィラキシー)

  • 重度の原発性または後天性免疫不全症(例,白血病,リンパ腫,固形腫瘍,骨髄またはリンパ系を侵す腫瘍,進行したHIV感染症,化学療法,免疫抑制薬の長期使用)が判明している

  • 妊娠(妊娠が終了するまでワクチン接種を延期する)

  • 遺伝性の先天性免疫不全症を有する第1度近親者(両親または同胞)がいる(ワクチン接種者の免疫能が正常であることが判明している場合を除く)

HIV感染症は,易感染状態が重度の場合(CDCの易感染状態カテゴリー3かつCD4陽性細胞 < 15%―またはCD4陽性細胞数 < 200/μL)に限り禁忌となる。易感染状態が重度でなければ,野生型の麻疹(自然発生する疾患)の発生リスクが生ワクチンからの麻疹感染リスクを上回る。

接種を受けた女性は,接種その後少なくとも28日間は妊娠を避けるべきである。このワクチンに含まれるウイルスは,妊娠初期の胎児に対して感染能を有している可能性がある。このワクチンが先天性風疹症候群を引き起こすことはないが,理論的に胎児障害が起こるリスクが考えられる。

MMRワクチンの注意事項としては以下のものがある:

  • 発熱の有無を問わず,中等症または重症の急性疾患(軽快するまで接種を延期する)

  • 抗体を含有する血液製剤の投与を最近(過去11カ月以内)受けた(具体的な期間は製品毎に異なる)

  • 血小板減少症または血小板減少性紫斑病の既往がある

結核菌(Mycobacterium tuberculosisの感染者では,MMRワクチンによってツベルクリン試験やインターフェロンγ遊離試験での反応が一時的に抑制されることがあり,MMRVワクチンにも同様の可能性がある。したがって,これらの検査を必要とする場合は,ワクチンの接種前か接種と同時のタイミングで行うことができる。すでにワクチン接種を受けている場合は,ワクチン接種の4~6週間後まで検査を延期すべきである。

MMRワクチンの用量および用法

MMRワクチンの用量は0.5mLの皮下接種である。

MMRワクチンは,生後12~15カ月時に1回および4~6歳時に1回の計2回,ルーチンに接種する。

MMRワクチンの有害作用

このMMRワクチンは,軽度または不顕性の非伝染性感染症を引き起こす。症状として38℃を超える発熱があり,ときに続いて発疹がみられる。中枢神経系に対するまれな有害作用として,無菌性髄膜炎(接種100万回当たり1~10例)や脳炎(接種100万回当たり1例未満)などがある。このワクチンには,熱性痙攣(3000回に1例)および血栓性血小板減少性紫斑病(30,000回に1例)の小さなリスクとの関連も認められる。アナフィラキシーはまれである(1)。

女性ではときに,風疹成分によって一過性の関節痛や関節炎が引き起こされることがある(2)。

このワクチンは自閉スペクトラム症を引き起こさない(麻疹・ムンプス(流行性耳下腺炎)・風疹混合(MMR)ワクチンおよびワクチンの安全性を参照)。

これらのワクチンの有害作用に関する詳細については,処方情報を参照のこと。

有害作用に関する参考文献

  1. 1.Strebel PM, Orenstein WA.Measles. N Engl J Med.2019;381(4):349-357.doi:10.1056/NEJMcp1905181

  2. 2.Tingle AJ, Mitchell LA, Grace M, et al.Randomised double-blind placebo-controlled study on adverse effects of rubella immunisation in seronegative women. Lancet.1997;349(9061):1277-1281.doi:10.1016/S0140-6736(96)12031-6

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP): ACIP Recommendations: Measles, Mumps and Rubella (MMR) Vaccine

  2. Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Measles, Mumps, and Rubella

  3. ACIP: Changes in the 2025 Adult Immunization Schedule

  4. ACIP: Changes in the 2025 Child and Adolescent Immunization Schedule

  5. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC): Measles: Recommended vaccinations

  6. ECDC: Mumps: Recommended vaccinations

  7. ECDC: Rubella: Recommended vaccinations

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