単球減少症は,血液中の単球数が500/μL(0.5 × 10/L)未満に減少することである。特定の感染症のリスクが増大する。血算と白血球分画により診断する。造血幹細胞移植による治療が必要になることがある。
単球は組織内に移動してマクロファージになり,組織の部位に応じた特異的な特徴を有する。
単球減少症は感染症のリスクを高める可能性があり,そのことからアセトアミノフェンによる肝障害および熱傷の患者では予後不良が示唆される。末梢血の単球減少は,組織中のマクロファージ減少を示唆していることは通常ないが,感染に反応した肉芽腫形成の障害と関連している可能性がある。
単球減少症は以下の原因により生じる:
化学療法による骨髄抑制(他の血球減少症を伴う)
造血細胞におけるGATA2遺伝子の変異
腫瘍性疾患(例,有毛細胞白血病,急性リンパ芽球性白血病,ホジキンリンパ腫)
感染症(例,HIV感染症,エプスタイン-バーウイルス感染症,アデノウイルス感染症,粟粒結核)
コルチコステロイドまたは免疫グロブリン療法
胃または腸管の切除
内毒素血症,血液透析,または周期性好中球減少症によって一過性の単球減少症が生じることがある。
GATA2変異に起因する単球減少症
造血系転写因子遺伝子GATA2が変異している患者に単球の重度欠乏または欠如が生じる可能性がある。樹状細胞が減少し,リンパ球減少症(主にナチュラルキラー細胞およびB細胞)も存在することがある。
循環血中の単球がほぼ欠如しているにもかかわらず,組織中のマクロファージは通常温存される。さらに,通常は循環血中のB細胞が抑制されていても免疫グロブリン濃度は正常である。骨髄は低形成であり,線維化および複数の血球系の異形成を示すことがある。7モノソミーおよび8トリソミーなどの核型異常が存在することがある。
Mycobacterium avium complex(MAC)感染症またはその他の非結核性抗酸菌感染症がよくみられる(MonoMAC症候群)。真菌感染症(ヒストプラズマ症,アスペルギルス症)も典型的にみられる。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症が発生することがあり,続発性の悪性腫瘍に進行するリスクを伴う。血液疾患(骨髄異形成,急性骨髄性白血病,慢性骨髄単球性白血病,リンパ腫)に進行し予後不良に至るリスクが高い。
予防接種を受けていない患者にはHPVワクチンの接種を行うべきである。感染があれば適切な抗菌薬で治療する。症状のある患者には同種造血幹細胞移植を考慮すべきである。