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原発性脳リンパ腫

執筆者:

Steven A. Goldman

, MD, PhD, Sana Biotechnology

レビュー/改訂 2021年 1月
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原発性脳リンパ腫は,原発性中枢神経系リンパ腫の一種であり,神経組織に由来し,通常はB細胞腫瘍である。診断には神経画像検査が必要であり,ときに髄液検査(エプスタイン-バーウイルスのウイルス価を含む)または脳生検も必要となる。治療法としては,コルチコステロイド,化学療法,放射線療法などがある。

原発性脳リンパ腫の発生率は,特に易感染性患者と高齢者において増加している。リンパ腫は,しばしば脳室に隣接した多中心性腫瘤として,びまん性に脳に浸潤する傾向があるが,孤立性の脳内腫瘤として発生することもある。リンパ腫は髄膜,ぶどう膜,または硝子体液に発生することもある。大半はB細胞腫瘍であり,しばしば免疫芽球性である。 エプスタイン-バーウイルス 伝染性単核球症 伝染性単核球症 は,易感染性患者におけるリンパ腫の発生に寄与することがある。大半の患者で全身性リンパ腫の続発はみられない。

原発性脳リンパ腫の診断

  • MRI

  • 髄液検査または生検

MRIでガドリニウムにより造影される場合,または診察で髄膜刺激徴候の所見が検出される場合(特に脳神経障害が検出される場合)は,リンパ腫性髄膜炎を除外するために髄液検査を行う必要がある。易感染性患者では髄液からエプスタイン-バーウイルスDNAが検出されることがある。髄液からリンパ腫細胞もエプスタイン-バーウイルスDNAも検出されない場合には,ガイド下針生検または開頭生検が必要である。初期にはリンパ腫はコルチコステロイドに対する感受性が非常に高いため,生検の直前にこれらの薬剤を投与すると病変が消失し,結果として偽陰性となることがある。したがって,中枢神経系リンパ腫が疑われる患者には,臨床像の急性の悪化のため絶対に必要な場合を除き,診断が確定するまでコルチコステロイドを投与すべきではない。

原発性脳リンパ腫の病期診断では,胸部,腹部,および骨盤の画像検査,眼の細隙灯顕微鏡検査,ならびに腫瘍の進展度を判定するための骨髄生検を行う。

原発性脳リンパ腫の治療

  • コルチコステロイド

  • 化学療法

  • 放射線療法

初期にはコルチコステロイドにより急速な改善が得られるが,反応は持続しない;原発性脳リンパ腫は一般に再発する。ヘルニア形成が切迫している場合を除き,外科的切除に役割はない。高用量のメトトレキサート静注(1g/m2~8g/m2)を含む多剤併用化学療法レジメンでは,長期的な反応が得られる可能性がある。地固め化学療法,地固め全脳照射,または造血幹細胞移植併用大量化学療法を追加すると,生存率が向上する可能性がある。

全脳照射は臨床的に有意な白質脳症を引き起こす可能性があり,特に高齢患者ではそのリスクが高い。この作用はメトトレキサートにより助長されることがある。

若年および中年成人における生存期間中央値は5年以上である。

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