膀胱カテーテル挿入

執筆者:Paul H. Chung, MD, Sidney Kimmel Medical College, Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2020年 5月
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    膀胱カテーテル挿入は以下を目的として行われる:

    • 尿検体の採取

    • 残尿量の測定

    • 尿閉または尿失禁に対する対応

    • 放射線不透過性造影剤または薬剤の膀胱内への直接送達

    • 膀胱の洗浄

    カテーテル挿入は,経尿道的に行う場合と恥骨上穿刺にて行う場合がある。

    カテーテル

    カテーテルには,口径,先端部の構造,ポートの数,バルーンのサイズ,材質の種類,および長さが異なる様々な種類がある。

    口径はフレンチ単位(Fr)(Charrière[Ch]単位としても知られる)で標準化されている。1Frが0.33mmであるため,14Frのカテーテルの直径は4.6mmである。選択するサイズは成人用で12~24Fr,小児用で8~12Frである。細いカテーテルは通常,合併症のない導尿が十分可能であるほか,尿道狭窄および膀胱頸部閉塞にも有用であるが,膀胱洗浄や一部の出血(例,手術後または出血性膀胱炎)および膿尿のある症例など,口径の細いカテーテルでは凝血塊で閉塞を来す可能性がある場合は,太いカテーテルの適応である。

    ほとんどのカテーテルは先端が直線状であり(例,Robinson,ホイッスルチップ),尿道カテーテルによる間欠的導尿(すなわち,膀胱のドレナージ直後にカテーテルを抜去する)に使用される。フォーリーカテーテルの先端部は直線状で,膨らませて膀胱に留置するためのバルーンが付いている。その他の留置型カテーテルとしては,先端部がキノコ型に拡張するもの(dePezzerカテーテル)や,先端部の4つのウイングが側孔を伴ってキノコ型に展開するもの(マレコーカテーテル)があり,これらは恥骨上カテーテル挿入や腎瘻造設に使用されている。チーマンカテーテルは,留置用のバルーンを備えたものもあるが,狭窄部または閉塞部(例,前立腺閉塞)へのカテーテル挿入を容易にするために先端部が弯曲している。

    ポートとしては,持続的に尿を排出するためのものが,全てのカテーテルに備わっている。また多くのカテーテルには,バルーン展開用のポート,洗浄用のポート,またはその両方(例,3 wayのフォーリーカテーテル)がある。

    留置型カテーテルのバルーンには種々の容量があり,小児での使用を意図したバルーンは2.5~5mL,成人で使用されるバルーンは10~30mLである。一般に出血の管理には,より大きなバルーンおよびカテーテルが使用される;カテーテルを牽引して膀胱底に対してバルーンを引き寄せて血管を圧迫することで出血量を減少させるが,一方で虚血を引き起こす可能性がある。バルーンは真水のみで満たすことが推奨される。

    スタイレットは柔軟な金属製のガイドで,カテーテル内に挿入することで腰を強くさせ,狭窄または閉塞部位への挿入を容易にするものであるが,この手技の経験が豊富な医師のみが使用すべきである。

    カテーテルの材質は,使用目的に応じて選択される。プラスチック,ラテックス,またはポリ塩化ビニル製のカテーテルは,間欠的な処置に使用される。シリコン,ハイドロゲル,または銀合金コーティングを施した(細菌の定着を軽減するため)ポリマーのラテックス製カテーテルは,継続的な用途で使用される。シリコン製カテーテルは,ラテックスアレルギーをもつ患者に使用される。

    尿道カテーテル挿入

    尿道カテーテルは,医療従事者のほか,ときに患者自身が挿入することも可能である。前処置は必要なく,尿道留置の禁忌がなければ,尿道を通して膀胱内までカテーテルを挿入する。

    相対的禁忌は以下の通りである:

    厳格な無菌操作法により外尿道口を消毒液で入念に清浄化した後,カテーテルに無菌のゲル状潤滑剤を塗布して,尿道を通して愛護的に膀胱内まで挿入する。男性の尿道にカテーテルを挿入する前には,不快感を軽減するための補助として,リドカインゲルを注入してもよい。

    膀胱カテーテル挿入の合併症には,以下の全てが含まれる:

    • 出血または顕微鏡的血尿を伴う尿道または膀胱外傷(よくみられる)

    • UTI(よくみられる)

    • 偽尿道の形成

    • 瘢痕形成および狭窄

    • 膀胱穿孔(まれ)

    • 包皮切除を受けていない男性で包皮を元に戻せない場合の嵌頓包茎

    カテーテル関連UTIが発生すれば,合併症発生率,死亡率,および医療費が増大し,入院期間が延長する傾向がある。このようなUTIの発生率を最小限に抑えるために推奨される措置として,以下のものが挙げられる:

    • 尿道カテーテルの使用は医学的に見て明らかに必要な適応のみに限定する(例,患者の膀胱を空にするために医療従事者がベッドサイドを訪れる回数を減らすことのみを目的としては行わない)

    • できるだけ早くカテーテルを抜去する

    • カテーテル挿入は厳格な無菌操作で行う

    • 導尿システムの無菌性および閉鎖性を維持する

    恥骨上カテーテル挿入

    経皮的膀胱瘻造設術による恥骨上カテーテル挿入は,泌尿器科医またはその他の熟練した医師によって施行される。前処置は必要ない。一般的な適応としては,長期にわたり導尿が必要な場合や,膀胱カテーテル挿入が必要な状況で経尿道的にカテーテルを挿入できない,またはカテーテル挿入の禁忌がある場合などがある。

    禁忌としては以下のものがある:

    • 膀胱の位置を臨床的にも超音波検査でも同定できない

    • 膀胱が空である

    • 骨盤内または下腹部の癒着が疑われる(例,骨盤内または下腹部に対する手術または放射線療法の施行後)

    局所麻酔により恥骨上の腹部の感覚を消失させた後,スパイナル針を膀胱内へ刺入する;可能であれば超音波ガイド下で行う。次にカテーテルを特殊なトロカールを通して,またはスパイナル針に通したガイドワイヤーに沿わせて留置する。下腹部に対する手術または放射線療法の既往がある場合は,盲目的操作による挿入は禁忌である。合併症としては,UTI,腸管損傷,出血などがある。

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