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腎臓,膀胱,および前立腺の生検

執筆者:

Paul H. Chung

, MD, Sidney Kimmel Medical College, Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2020年 5月
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尿路の生検は,訓練を受けた専門医(腎臓専門医,泌尿器科医,またはIVR専門医)が行う必要がある。

腎生検

診断を目的とする生検の適応としては,原因不明の 腎炎 腎炎症候群の概要 腎炎症候群は,血尿および様々な程度のタンパク尿を認め,かつ尿沈渣の鏡検で通常は変形赤血球を,さらにしばしば赤血球円柱を認める場合として定義される。しばしば,浮腫,高血圧,血清クレアチニン値上昇,乏尿のうち1つ以上の要素が認められる。原因は原発性および続発性のいずれもある。診断は,病歴,身体診察,ときには 腎生検に基づく。治療および予後は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む または ネフローゼ症候群 ネフローゼ症候群の概要 ネフローゼ症候群では,糸球体疾患が原因で尿タンパク排泄量が3g/日を超え,これに浮腫および低アルブミン血症が伴う。小児でより多くみられ,原発性および続発性いずれの原因もある。診断は随時尿検体の尿タンパク/クレアチニン比測定または24時間蓄尿での尿タンパクの測定により,原因は病歴,身体診察,血清学的検査,腎生検に基づき診断される。予後および治療は原因によって異なる。 ( 糸球体疾患の概要も参照のこと。)... さらに読む 急性腎障害 急性腎障害(AKI) 急性腎障害は,数日間から数週間で腎機能が急速に低下する病態であり,これにより,尿量減少の有無にかかわらず,血中に窒素化合物が蓄積する(高窒素血症)。原因は重度の外傷,疾患,または手術による腎臓の灌流低下である場合が多いが,ときに急速進行性の内因性の腎疾患に起因する場合もある。症状としては,食欲不振,悪心,嘔吐などがある。無治療の場合,痙攣... さらに読む などがある。ときに,治療効果の判定を目的として生検が施行されることもある。相対的禁忌には,出血性素因やコントロール不良の 高血圧 高血圧 高血圧とは,安静時の収縮期血圧(130mmHg以上),拡張期血圧(80mmHg以上),またはその両方が高値で維持されている状態である。原因不明の高血圧(本態性高血圧)が最も多くを占める。原因が判明する高血圧(二次性高血圧)は通常,睡眠時無呼吸症候群,慢性腎臓病,原発性アルドステロン症,糖尿病,または肥満に起因する。高血圧は重症となるか長期... さらに読む 高血圧 などがある。ベンゾジアゼピン系薬剤による軽度の術前鎮静が必要になる場合がある。合併症はまれであるが,輸血や放射線学的または外科的介入を要する腎出血が発生することがある。

膀胱生検

膀胱生検は,特定の疾患の診断(例,膀胱癌,ときに 間質性膀胱炎 間質性膀胱炎 間質性膀胱炎は,疼痛(恥骨上部,骨盤,腹部),頻尿,尿失禁を伴う尿意切迫を引き起こす非感染性の膀胱炎である。診断は病歴および他の疾患の臨床での除外ならびに膀胱鏡および生検による。治療により,大半の患者が改善するが,治癒はまれである。多くの治療法があるが,具体的には食習慣の変更,膀胱訓練,ペントサン,鎮痛薬,膀胱内療法などがある。 ( 排尿の概要も参照のこと。) 間質性膀胱炎の発生率は不明であるが,従来考えられていたよりも多いようであり,... さらに読む または 住血吸虫症 住血吸虫症 住血吸虫症は,血管寄生吸虫である住血吸虫属(Schistosoma属)による感染症であり,汚染された淡水中での遊泳または歩行により経皮的に感染する。住血吸虫は消化管または泌尿生殖器系の脈管に寄生する。急性症状は皮膚炎で,その数週間後に発熱,悪寒,悪心,腹痛,下痢,倦怠感,および筋肉痛が起こる。慢性症状は種により異なるが,血性下痢(例,マンソン住血吸虫[S.... さらに読む )のほか,ときに治療効果の判定で適応となる。禁忌には,出血性素因や急性結核性膀胱炎などがある。術前の抗菌薬投与は,活動性の尿路感染症(UTI)がある場合にのみ必要となる。生検器具は膀胱鏡を通して膀胱内に挿入するが,硬性または軟性の器具を使用することができる。出血予防のため生検部位は焼灼する。治癒と凝血塊の排出を促進するため,導尿カテーテルを留置する。合併症としては,過度の出血,UTI,膀胱穿孔などがある。

前立腺生検

前立腺生検は通常, 前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特にがんが限局または局在する場合(通常は症状の発生前),非常に良好であり,前立腺癌で死亡する患者と比較してそれ以外の原因で死亡す... さらに読む の診断を目的として施行される。禁忌には,出血性素因, 急性前立腺炎 前立腺炎 前立腺炎とは,主に刺激性または閉塞性の泌尿器症状と会陰部痛の組合せとして出現する多様な一群の前立腺疾患を指す。一部の症例は前立腺の細菌感染が原因であり,より頻度の高い他の一群の症例では,非感染性の炎症因子,尿生殖隔膜筋の攣縮,またはその両方に起因するが,まだ十分に解明されていない。診断は臨床的に行い,前立腺マッサージの前後に採取した尿検体の鏡検および培養も併用する。原因が細菌性の場合,治療は抗菌薬による。原因が非細菌性の場合,治療は温坐... さらに読む UTI 尿路感染症 (UTI) に関する序論 尿路感染症(UTI)は,腎臓( 腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱( 膀胱炎),尿道( 尿道炎),および前立腺( 前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵さ... さらに読む などがある。前処置としては,生検1週間前からのアスピリン,抗血小板薬,および抗凝固薬の中止,術前の抗菌薬投与(通常はフルオロキノロン系薬剤),直腸内を空にするための浣腸などがある。患者を側臥位にし,触診または可能ならば経直腸的超音波検査(直腸内に挿入した超音波プローブで画像を取得し,生検針の刺入のガイドとする)によって前立腺の位置を同定する。針は典型的には超音波プローブを通して挿入するが,会陰部から挿入することもできる。通常は複数の検体(10~12)を採取する。可能であれば,MRI画像を超音波画像とデジタルで結合(融合)させることで,生検が必要な病変をよりよく同定できるようになる。

前立腺上の組織(会陰部または直腸)を麻酔し,バネ付きの生検針を前立腺に刺入して,通常は12カ所から組織を採取する。合併症としては以下のものがある:

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