米国における心内膜炎に対する抗菌薬レジメンの例*

米国における心内膜炎に対する抗菌薬レジメンの例*

種類

成人に使用する薬剤および用法・用量

ペニシリンアレルギーのある成人に使用する薬剤および用法・用量

ペニシリン感受性レンサ球菌(ベンジルペニシリン MIC 0.1μg/mL)

NVEに対して:ベンジルペニシリン1200万~1800万単位,1日1回,持続静注もしくは200万~300万単位,4時間毎を4週間または(ゲンタマイシン3mg/kg†,静注または筋注,1日1回と併用する場合は)2週間

PVEに対して,ベンジルペニシリン2400万単位,1日1回,持続静注もしくは400万単位,4時間毎を6週間または(ゲンタマイシン3mg/kg†[最大80mg],静注または筋注と併用する場合は)2週間

ペニシリンアナフィラキシーの既往がなければ,セフトリアキソン2g,1日1回,静注または筋注をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)または(ゲンタマイシン3mg/kg†,静注または筋注,1日1回と併用する場合は)2週間

または

バンコマイシン‡15mg/kg,静注,12時間毎をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

ペニシリン耐性レンサ球菌(ベンジルペニシリン MIC > 0.1μg/mL)

NVEに対して:ゲンタマイシン3mg/kg†,静注または筋注,1日1回,2週間 + ベンジルペニシリン 2400万単位,1日1回,持続静注または400万単位,4時間毎に4週間

NVEに対して:ゲンタマイシン3mg/kg†,1日1回,静注または筋注,2週間 + ベンジルペニシリン 2400万単位,1日1回,持続静注,または400万単位,4時間毎またはセフトリアキソン2g,1日1回,静注または筋注を6週間

バンコマイシン‡15mg/kg,静注,12時間毎をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

腸球菌

NVEおよびPVEに対して:アンピシリン2g,静注,4時間毎 + セフトリアキソン2g,静注,12時間毎を6週間

NVEおよびPVEに対して:バンコマイシン 15mg/kg,静注,12時間毎 + ゲンタマイシン3mg/kg,静注もしくは筋注,1日1回またはゲンタマイシン1mg/kg,静注もしくは筋注,8時間毎を6週間

または

NVEおよびPVEに対して:リネゾリド600mg,経口または静注,12時間毎を6~8週間

または

NVEおよびPVEに対して:ダプトマイシン10~12mg/kg,静注,1日1回を6~8週間

オキサシリン感受性ブドウ球菌

NVEに対して:オキサシリンまたはナフシリン(nafcillin)2g,静注,4時間毎を6週間

PVEに対して:オキサシリンまたはナフシリン(nafcillin)2g,静注,4時間毎を6~8週間 + ゲンタマイシン1mg/kg†,静注,8時間毎を2週間 + リファンピシン300mg,経口または静注,8時間毎を6~8週間

NVE:ペニシリンアナフィラキシーの既往がない場合は,セファゾリン2g,静注,8時間毎を6週間(PVEの場合は6~8週間)

または

バンコマイシン‡15 mg/kg,静注,12時間毎をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6~8週間)

または

右心系NVEに対して:ダプトマイシン6mg/kg,静注,1日1回を6週間

オキサシリン耐性ブドウ球菌

NVEに対して:バンコマイシン†15mg/kg,静注,12時間を単独で6週間

PVEに対して:バンコマイシン‡15mg/kg,静注,12時間毎を6~8週間 + ゲンタマイシン1mg/kg†,静注,8時間毎を2週間 + リファンピシン300mg,経口,8時間毎を6~8週間

または

右心系NVEに対して:ダプトマイシン6mg/kg,静注,1日1回を6週間

HACEK群§

セフトリアキソン2g,1日1回,静注または筋注をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

または

アンピシリン2g,静注,4時間毎をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

または

シプロフロキサシン1000mg,経口,1日1回または400mg,静注,12時間毎をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

ペニシリンアナフィラキシーの既往がなければ,セフトリアキソン2g,静注,1日1回をNVEの場合は4週間(PVEの場合は6週間)

非大腸菌群

感受性が証明されたβ-ラクタム系抗菌薬(例,セフトリアキソン2g,静注,12~24時間毎,またはセフタジジム2g,静注,8時間毎)+ アミノグリコシド系薬剤(例,ゲンタマイシン2mg/kg†,静注,8時間毎)を6週間

* 抗菌薬感受性は時間とともに変化するほか,施設間でも差がみられる。こうしたパターンに精通した専門家の助言が不可欠である。

† 肥満患者では,実際の体重ではなく理想体重に基づく。

‡ バンコマイシンを24時間当たり2gを超える用量で投与する場合は,血清中濃度をモニタリングしなければならない。

§ HACEK群:Haemophilus parainfluenzae(パラインフルエンザ菌),H. aphrophilusActinobacillus actinomycetemcomitansCardiobacterium hominisEikenella corrodensKingella kingae

MIC = 最小発育阻止濃度;NVE = 自己弁の感染性心内膜炎;PVE = 人工弁心内膜炎

Adapted from Baddour LM, Wilson WR, Bayer AS, et al: Infective endocarditis in adults: Diagnosis, antimicrobial therapy, and management of complications; A scientific statement for healthcare professionals from the American Heart Association.Circulation 132 (15):1435–1486, 2015.doi: 10.1161/CIR.0000000000000296

* 抗菌薬感受性は時間とともに変化するほか,施設間でも差がみられる。こうしたパターンに精通した専門家の助言が不可欠である。

† 肥満患者では,実際の体重ではなく理想体重に基づく。

‡ バンコマイシンを24時間当たり2gを超える用量で投与する場合は,血清中濃度をモニタリングしなければならない。

§ HACEK群:Haemophilus parainfluenzae(パラインフルエンザ菌),H. aphrophilusActinobacillus actinomycetemcomitansCardiobacterium hominisEikenella corrodensKingella kingae

MIC = 最小発育阻止濃度;NVE = 自己弁の感染性心内膜炎;PVE = 人工弁心内膜炎

Adapted from Baddour LM, Wilson WR, Bayer AS, et al: Infective endocarditis in adults: Diagnosis, antimicrobial therapy, and management of complications; A scientific statement for healthcare professionals from the American Heart Association.Circulation 132 (15):1435–1486, 2015.doi: 10.1161/CIR.0000000000000296

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