発疹を引き起こす主なウイルス

主要な臨床症候群

患者と分布

特異的治療法

特異的予防法*

麻疹ウイルス

麻疹

脳脊髄炎

中枢神経系障害(まれ)

全世界

ワクチン接種の減少により有病率が上昇している

なし

ワクチン

風疹ウイルス

風疹

妊娠中の感染による先天異常

遍在

なし

ワクチン

ヒトパルボウイルスB19

伝染性紅斑(リンゴ病)

発疹(頬の紅色の発疹は小児でより多くみられる),倦怠感,関節炎(多発性関節症は成人でより多くみられる)

胎児水腫(妊娠中の感染)

貧血(易感染性宿主または異常ヘモグロビン症患者における一過性の無形成発作)

散発的なアウトブレイク

静注免疫グロブリン療法(重度の貧血に対して)

なし

ヒトヘルペスウイルス6型

突発性発疹(小児ばら疹)

広範囲に蔓延

幼児が罹患する

なし

なし

水痘帯状疱疹ウイルス

水痘

ワクチン接種前は,ほぼ全ての小児に,ときに成人にもみられる

アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル

免疫グロブリン,ワクチン

帯状疱疹

成人によくみられる,潜伏ウイルスの再活性化に起因する

アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル

ワクチン

ポックスウイルス

天然痘(天然痘ウイルス)

自然発症例は根絶

シドホビル(cidofovir)†

曝露後4日以内に天然痘ワクチン

ワクチン

シドホビル(cidofovir)†

エムポックス(サル痘)

2022年の世界的なアウトブレイク

ヒトからヒトへの感染は,長時間に及ぶ濃厚接触を通じて起こる。

シドホビル(cidofovir),テコビリマト,ワクシニア免疫グロブリン

ワクチン

感染者との直接的な身体的接触を避ける

アルファウイルス(一部)

チクングニア熱(急性熱性疾患に続いて,より慢性的な多関節炎が続発する)

ヤブカ(Aedes属の蚊)により伝播

アフリカ,東南アジア,インド,欧州,アメリカ大陸

なし

なし

マヤロ病(デング様疾患)

蚊媒介性

南米,トリニダード,ハイチ

なし

なし

ロスリバーウイルス感染症(流行性多関節炎)

ヤブカ(Aedes属)

オーストラリア,パプアニューギニア,南太平洋

なし

なし

伝染性軟属腫ウイルス

伝染性軟属腫の丘疹

性器(成人)

皮膚の露出部(小児)

より重症(AIDS患者)

凍結療法,掻爬

なし

* 非特異的な予防法(例,感染患者ならびに媒介昆虫および媒介動物との接触回避,日常的な衛生処置)も推奨される。

† 動物試験に基づく。

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