生理的な加齢変化の抜粋

影響を受ける臓器または系

生理的変化

臨床像

身体組成

除脂肪体重

筋肉量

クレアチニン産生

骨量

体内総水分量

脂肪組織の割合(60歳まで,その後死亡まで

薬物濃度の変化(通常

筋力

脱水になりやすい

細胞

DNA損傷およびDNA修復能

酸化能

細胞老化の加速

線維化

リポフスチン蓄積

がんリスク

中枢神経系

ドパミン受容体数

αアドレナリン作動性反応

ムスカリン性副交感神経系反応

筋肉のこわばり,柔軟性の低下,平衡感覚の障害,自発運動の消失への傾向(例,筋緊張,腕振り)

高周波域での難聴

言語認識能力

内分泌系

インスリン耐性および耐糖能障害

↑糖尿病の発生率

閉経, エストロゲンおよびプロゲステロンの分泌

テストステロン分泌

成長ホルモン分泌

ビタミンDの吸収と活性化

甲状腺異常発生率

骨の脱灰

浸透圧刺激によるADH分泌

腟乾燥,性交痛

筋肉量

骨量

骨折リスク

皮膚の変化

水中毒になりやすい

水晶体の柔軟性

瞳孔反射時間(収縮,散大)

白内障の発生率

老眼

グレアおよび照明の変化への適応困難

視力

消化管

内臓血流量

通過時間

便秘および下痢になりやすい

心臓

内因性心拍数および最大心拍数

圧反射の鈍化(血圧低下に反応した心拍数の増加が少ない)

拡張期弛緩

房室伝導時間

心房性および心室性異所性収縮

失神しやすい

駆出率

心房細動の発生率

拡張機能障害および拡張性心不全の発生率

免疫系

T細胞機能

B細胞機能

感染症のほか,がんにも罹患しやすくなる可能性あり

予防接種や感染に対する抗体反応,しかし自己抗体

関節

軟骨組織の変性

線維化

コラーゲンの糖鎖付加および架橋形成

組織の弾性喪失

関節の硬直

変形性関節症になりやすい

腎臓

腎血流量

腎重量

糸球体濾過

尿細管分泌および再吸収

体液量負荷に対する排泄能

薬物有害作用のリスク増加を伴う薬物濃度の変化

就寝直前に自由水を摂取した場合,夜間頻尿になりやすい

肝臓

肝重量

肝血流量

CYP-450酵素系の活性

薬物濃度の変化

嗅覚

粘膜の菲薄化や毛細血管の脆弱化

味覚の結果食欲

鼻出血の可能性(わずか)

末梢神経系

圧反射応答

βアドレナリン作動性反応性および受容体数

シグナル伝達

ムスカリン性副交感神経系反応

αアドレナリン作動性反応保持

失神しやすい

β遮断薬に対する反応

抗コリン薬に対する過剰反応

呼吸器系

肺活量

肺の弾性(コンプライアンス)

残気量

FEV1

V/Q不均衡

通常は座っていることの多い人,または運動を高地で行う場合は,激しい運動時の息切れの可能性

肺炎による死亡リスク

肺疾患患者で重篤な合併症(例,呼吸不全)のリスク

血管系

エンドセリン依存性の血管拡張

末梢抵抗

高血圧になりやすい

= 低下;= 増加;FEV1 = 1秒量;V/Q = 換気血流。

Adapted from the Institute of Medicine: Pharmacokinetics and Drug Interactions in the Elderly Workshop.Washington DC, National Academy Press, 1997, pp. 8–9.

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