小児における咳嗽の主な原因

小児における咳嗽の主な原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ

急性

細菌性気管炎(まれ)

URI様の前駆症状,吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽,高熱,呼吸窮迫,重症感(toxic appearance),膿性分泌物

頸部X線(前後像および側面像)

場合により気管支鏡検査

細気管支炎

鼻漏,頻呼吸,呼気性喘鳴,断続性ラ音,陥没呼吸,鼻翼呼吸,ときに咳嗽後嘔吐

生後24カ月までの乳児;生後3~6カ月の乳児で最も頻度が高い

病歴聴取および身体診察

ときに胸部X線

ときにウイルス抗原迅速診断もしくはPCR検査またはウイルス培養のため鼻腔拭い液

COVID-19

発熱,鼻閉および鼻漏,咽頭痛,胸部圧迫感,頻呼吸,喘鳴,断続性ラ音,低酸素症

ウイルス抗原迅速診断またはPCR検査

ときに胸部X線

喉頭気管気管支炎/喉頭気管炎(クループ)

URI様の前駆症状,犬吠様咳嗽(夜間に悪化),吸気性喘鳴,鼻翼呼吸,陥没呼吸,頻呼吸

病歴聴取および身体診察

ときに頸部X線(前後像および側面像)

呼吸器に対する環境中の有害物質

タバコ煙,香水,または環境汚染物質への曝露

病歴聴取および身体診察

喉頭蓋炎(まれ)

突然の発症,高熱,易刺激性,著しい不安,吸気性喘鳴,呼吸窮迫,流涎,重症感(toxic appearance)

状態が安定しており臨床的疑いが少ない場合,頸部X線(側面像)

上記以外の場合,手術室で直達喉頭鏡検査

異物

咳嗽および/または窒息の突然の発症

最初は発熱を認めない

URIの前駆症状はない

小児の近くに小さい物やおもちゃが存在

胸部X線(吸気撮影および呼気撮影)

ときに気管支鏡検査

肺炎(ウイルス性,細菌性)

ウイルス性:URIの前駆症状,発熱,喘鳴,スタッカートまたは発作性咳嗽,ときに筋肉痛または胸膜性胸痛

ときに呼吸仕事量の増加,びまん性の断続性ラ音,類鼾音,または呼気性喘鳴も発現しうる

細菌性:発熱,重症感(ill appearance),胸痛,息切れ,ときに胃痛または嘔吐

局所的な断続性ラ音,類鼾音,呼吸音の減弱,やぎ声,および打診時の濁音などの局所硬化の徴候

病歴聴取および身体診察

ときに胸部X線

副鼻腔炎

寝始めまたは朝起きるときにみられる咳嗽

ときに鼻汁,鼻閉;鼻のいずれかの側の痛み;前頭部,上顎,歯,または両眼の間の痛み;頭痛および咽頭痛

病歴聴取および身体診察

ときにCT

上気道感染症

鼻漏;鼻粘膜の発赤および腫脹;ときに発熱および咽頭痛;shottyな頸部リンパ節腫脹(圧痛のない多数の小さいリンパ節)

病歴聴取および身体診察

慢性*

気道病変(気管軟化症,気管食道瘻)

気管軟化症:先天性の吸気性喘鳴または犬吠様咳嗽,ときに呼吸窮迫

気管食道瘻:羊水過多(食道閉鎖合併の場合)の既往,咳嗽または哺乳時呼吸窮迫,反復性肺炎

気管軟化症:気道X線透視検査および/または気管支鏡検査

気管食道瘻:胃内へカテーテルが通るかを試す(食道閉鎖を合併した気管食道瘻の診断に有用)

胸部X線

食道造影など嚥下造影検査

気管支鏡検査および内視鏡検査

喘息

運動,アレルゲン,気候の変動,またはURIに伴う間欠性の咳嗽エピソード

夜間の咳嗽

喘息の家族歴

湿疹またはアレルギー性鼻炎の既往

病歴聴取および身体診察

抗喘息薬の試験的使用

肺機能検査(実施可能な場合)

非定型肺炎(マイコプラズマ,クラミジア[Chlamydia])

緩徐な発症

頭痛,倦怠感,筋肉痛

耳痛,鼻炎,および咽頭痛も発現しうる

呼気性喘鳴および断続性ラ音も発現しうる

慢性の咳嗽(スタッカート)

胸部X線

PCR検査

肺の先天異常(例,先天性嚢胞性腺腫様形成異常)

肺の同じ部位での数回の肺炎エピソード

胸部X線

ときにCTまたはMRI

嚢胞性線維症

胎便性イレウス/胎便性腸閉塞の既往,反復性肺炎または喘鳴,発育不良(growth and weight faltering;かつてはfailure to thriveと呼ばれていた),悪臭便,ばち指または爪床のチアノーゼ

新生児スクリーニング

汗中塩化物イオン濃度の測定

直接配列決定法を用いた遺伝子変異解析による分子生物学的診断

異物

咳嗽および窒息の急性発症後,咳嗽が一定期間持続する既往

発熱の可能性

URIの前駆症状の既往がない

胸部X線(吸気撮影および呼気撮影)

気管支鏡検査

胃食道逆流

乳幼児:哺乳後の溢乳,哺乳時の易刺激性,背中のこわばりおよび反り返り(Sandifer症候群),発育不良,反復性喘鳴または肺炎の既往(乳児の胃食道逆流を参照)

年長児および青年:食後および横臥後の胸痛または胸やけ,夜間咳嗽,喘鳴,嗄声,口臭,呑酸(water brash),悪心,腹痛,逆流(胃食道逆流症を参照)

乳児:病歴聴取および身体診察

解剖学的構造の確認のため,ときに上部消化管検査

H2受容体拮抗薬またはプロトンポンプ阻害薬の試験的使用

場合により食道pHまたはインピーダンス検査

年長児:病歴聴取および身体診察

H2受容体拮抗薬またはプロトンポンプ阻害薬の試験的使用

場合により,内視鏡検査

百日咳またはパラ百日咳

軽度のURI症状を呈する1~2週間のカタル期の後に,発作性咳嗽,摂食困難,乳児では無呼吸エピソード,より年長の小児では吸気時の笛声(whoop),咳嗽後の嘔吐がみられる状態に進行

細菌培養およびPCR検査用鼻腔内容検体

後鼻漏を伴うアレルギー性鼻炎

頭痛,眼そう痒,咽頭痛,鼻甲介蒼白,敷石状(cobblestoning)の中咽頭後壁,アレルギー歴,夜間咳嗽

抗ヒスタミン薬および/またはコルチコステロイド点鼻薬の試験的使用

場合により,ロイコトリエン阻害薬の試験的使用

気道感染症後

呼吸器感染症の後から持続する咳嗽(スタッカート)の既往

病歴聴取および身体診察

原発性線毛機能不全症

繰り返す上気道感染症(中耳炎,副鼻腔炎)および下気道感染症(肺炎)の既往

胸部X線

副鼻腔のX線またはCT

胸部CT

線毛異常に対する,生きた組織(典型的には副鼻腔または気道粘膜)を用いた顕微鏡検査

心因性咳嗽

持続する犬吠様咳嗽で,授業中に顕著にみられ,遊んでいる間や夜間はみられない傾向がある

発熱や他の症状はない

病歴聴取および身体診察

結核

曝露歴または曝露のリスク

易感染状態

ときに発熱,悪寒,盗汗,リンパ節腫脹,体重減少

ツベルクリン反応検査(TST)またはインターフェロンγ遊離試験(IGRA)(特にBCG[カルメット-ゲラン桿菌]ワクチンの接種歴がある場合)

喀痰培養(または5歳未満の小児では早朝胃液培養)

胸部X線

*初診時に慢性咳嗽がみられる場合は,胸部X線の施行を考慮すべきである。

PCR = ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction);URI = upper respiratory infection(上気道感染症)。

*初診時に慢性咳嗽がみられる場合は,胸部X線の施行を考慮すべきである。

PCR = ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction);URI = upper respiratory infection(上気道感染症)。

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