オリゴ糖症および関連疾患

疾患(OMIM番号)

欠損タンパク質または酵素

備考

シアリドーシス(256550*)

ノイラミニダーゼ1(シアリダーゼ)

I型(cherry-red spot-myoclonus syndrome,軽症型)

発症:8~25歳

尿中代謝物:シアリルオリゴ糖増加

臨床的特徴:黄斑部のcherry-red spot,潜行性視力障害,白内障,進行性のミオクローヌスおよび運動失調,知能正常,深部腱反射亢進

治療:支持療法

II型(先天型,乳児型,若年型,および小児型)

発症:先天型では子宮内

乳児型では出生~生後12カ月

若年型および小児型では2~20歳

尿中代謝物:シアリルオリゴ糖増加

臨床的特徴:I型の特徴全てに加え,粗な顔貌,筋緊張低下,肝腫大,腹水,鼠径ヘルニア,発育遅滞,筋萎縮,喉頭軟化症,多発性異骨症

治療:支持療法

ガラクトシアリドーシス(ゴールドバーグ症候群,ノイラミニダーゼおよびβ-ガラクトシダーゼ欠損症の合併;256540*)

  1. 新生児型

  2. 乳幼児型

  3. 若年型/成人型

保護タンパク質/カテプシンA(PPCA)

発症:新生児型では,出生~生後3カ月

乳幼児型では,1歳未満

若年型/成人型では,青年期であるが非常に多様

尿中代謝物:シアルオリゴ糖上昇,ただし遊離シアル酸はなし

臨床的特徴:粗な顔貌,角膜混濁,黄斑部のcherry-red spot,知的障害,痙攣発作,多発性異骨症,難聴,血管腫,心臓弁膜症

治療:支持療法

シアロリピドーシス(リン脂質症;ムコリピドーシスIV型,Berman病;252650*)

発症:1歳未満

尿中代謝物:ムコ多糖なし

臨床的特徴:重症型(Berman病)および軽症型

発達遅滞,角膜混濁,視覚障害,斜視,筋緊張低下,深部腱反射亢進;放射線学的骨格異常,大頭症,臓器腫大はいずれもなし

治療:支持療法

マンノシドーシス

発症:I型では,生後3~12カ月

II型では,1~4歳

尿中代謝物:高マンノースオリゴ糖

臨床的特徴:粗な顔貌,大頭症,巨舌症,白内障,歯肉肥厚,軽微な肝脾腫,多発性異骨症,筋緊張低下,難聴,大腿骨弯曲,汎血球減少,反復性呼吸器感染症,免疫不全および自己免疫疾患,発達障害

治療:支持療法,骨髄または造血幹細胞移植を考慮

α-マンノシドーシス(248500*),I型(重症型)またはII型(軽症型)

α-D-マンノシダーゼ

β-マンノシドーシス(248510*)

β-D-マンノシダーゼ

発症:1~6歳

尿中代謝物:二糖類,マンノシル-(1-4)-N-アセチルグルコサミン,ヘパラン硫酸

臨床的特徴:粗な顔貌,難聴,言語遅滞,多動性,性器の被角血管腫,結膜血管の蛇行

治療:支持療法,骨髄または造血幹細胞移植を考慮

フコシドーシス(230000*)

  1. I型(重症乳児型)

  2. II型(軽症型)

α-L-フコシダーゼ

発症:I型では,生後3~18カ月

II型では,1~2歳

尿中代謝物:オリゴ糖

臨床的特徴:低身長,発育遅滞,粗な顔貌,巨舌症,心拡大,反復性呼吸器感染症,多発性異骨症,ヘルニア,肝脾腫,被角血管腫,無汗症および汗中塩化物イオン濃度上昇,発達障害,筋緊張低下その後筋緊張亢進,脳萎縮,痙攣発作,痙性四肢麻痺,空胞化リンパ球

大半の患者はイタリアまたは米国南西部出身

治療:支持療法,骨髄または造血幹細胞移植を考慮

アスパルチルグルコサミン尿症(208400*)

N-アスパルチルグルコサミニダーゼ

発症:2~6歳

尿中代謝物:アスパルチルグルコサミン

臨床的特徴:発育遅滞,小頭症,白内障,粗な顔貌,巨舌症,僧帽弁閉鎖不全症,肝腫大,下痢,ヘルニア,反復性呼吸器感染症,巨精巣症,軽度の多発性異骨症,びまん性体部被角血管腫,ざ瘡,発達障害,筋緊張低下,痙性,脳萎縮,痙攣発作,言語遅滞,嗄声

フィンランド人で高頻度

治療:支持療法,骨髄または造血幹細胞移植を考慮

ウィンチェスター(Winchester)症候群(277950*)

メタロプロテアーゼ2

発症:乳児期早期

尿中代謝物:なし

臨床的特徴:低身長,粗な顔貌,角膜混濁,歯肉増殖,関節拘縮,骨粗鬆症,脊柱後側弯症,脊椎圧迫,手根骨足根骨融解症,足小関節強直,びまん性皮膚肥厚,色素沈着,多毛症

治療:支持療法

シンドラー病

N-アセチル-ガラクトサミニダーゼ

I型(乳児重症型;609241*)

発症:生後8~15カ月

尿中代謝物:オリゴ糖およびO-結合型シアロペプチド

臨床的特徴:皮質盲,視神経萎縮,眼振,斜視,骨減少症,関節拘縮,筋萎縮,発達遅滞および退行,ミオクローヌス,痙攣発作,痙性,反射亢進,除皮質硬直,神経軸索ジストロフィー

治療:支持療法

II型(神崎病,成人発症型;609242*)

発症:成人期

尿中代謝物:オリゴ糖およびO-結合型シアロペプチド

臨床的特徴:粗な顔貌,難聴,結膜および網膜血管の蛇行,体部にびまん性に生じる被角血管腫,毛細血管拡張,リンパ浮腫,軽度の知的障害,末梢の軸索性神経障害

治療:支持療法

III型(中間型;609241*)

発症:小児期

尿中代謝物:オリゴ糖およびO-結合型シアロペプチド

臨床的特徴:I型とII型の中間;痙攣発作および中等度の精神運動制止から発語/言語発達遅滞を伴う軽度の自閉症的特徴まで多様

治療:支持療法

先天性N結合型糖鎖異常症(CDG),I型(ゴルジ体前段階での糖鎖付加障害)

発症:大半は乳児期または小児期

臨床的特徴(以下のうち一部または大半):発育不全,大耳を伴う前額突出,高口蓋または口蓋裂,斜視,網膜色素変性,心嚢液貯留,心筋症,肝腫大,嘔吐,下痢,肝線維化,原発性卵巣不全,腎嚢胞,ネフローゼ,近位尿細管症,脊柱後弯症,関節拘縮,異所性脂肪沈着,オレンジの皮様皮膚,筋力低下,筋緊張低下,脳卒中様発作,痙攣発作,オリーブ橋低形成,末梢神経障害,甲状腺機能低下症,高インスリン症,第XI因子欠損症,アンチトロンビンIII欠乏症,血小板草加症,IgAおよびIgG減少,白血球接着不全症(IIc型),低アルブミン血症,低コレステロール血症,血清トランスフェリンの等電点電気泳動を行った場合ジシアロトランスフェリンおよびアシアロトランスフェリンバンドの増加

治療:支持療法

CDG Ia型(神経単独型および神経多臓器型;212065*)

ホスホマンノミューターゼ2

CDG Ib型(602579*)

マンノース(Man)リン酸(P)イソメラーゼ

CDG Ic型(603147*)

ドリキル-P-Glc:Man(9)GlcNAc(2)-PP-ドリコールグルコシルトランスフェラーゼ

CDG Id型(601110*)

ドリキル-P-Man:Man(5)GlcNAc(2)-PP-ドリコールマンノシルトランスフェラーゼ

CDG Ie型(608799*)

ドリキル-P-マンノース合成酵素

CDG If型(609180*)

マンノース-P-ドリコール利用に関与するタンパク質

CDG Ig型(607143*)

ドリキル-P-マンノース:Man-7-GlcNAc-2-PP-ドリキル-α-6-マンノシルトランスフェラーゼ

CDG Ih型(608104*)

ドリキル-P-グルコース:Glc-1-Man-9-GlcNAc-2-PP-ドリキル-α-3-グルコシルトランスフェラーゼ

CDG Ii型(607906*)

α-1,3-マンノシルトランスフェラーゼ

CDG Ij型(608093*)

UDP-GlcNAc:ドリキル-リン酸 Nアセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ

CDG Ik型(608540*)

β-1,4-マンノシルトランスフェラーゼ

CDG Il型(608776*)

α-1,2-マンノシルトランスフェラーゼ

先天性N結合型糖鎖異常症,II型(ゴルジ体段階での糖鎖付加障害)

血清トランスフェリンの等電点電気泳動でモノシアロトランスフェリン,ジシアロトランスフェリン,トリシアロトランスフェリン,およびアシアロトランスフェリンバンドの増加がみられる以外はI型と同じ

IIb型では正常パターン

CDG IIa型(212066*)

マンノシル-α-1,6-グリコプロテイン-β-1,2-N-アセチルグルコシミニルトランスフェラーゼ

CDG IIb型(606056*)

グルコシダーゼI

CDG IIc型(Rambam-Hasharon症候群;266265*)

GDP-フコース輸送体1

CDG IId型(607091*)

β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ

CDG IIe型(608779*)

オリゴマーゴルジ複合体-7

*遺伝子,分子,および染色体上の位置に関する網羅的な情報については,Online Mendelian Inheritance in Man® (OMIM®) databaseを参照のこと。

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