歩行障害の治療

歩行障害の治療

一般的な障害

治療

備考

骨構造

胸椎圧迫骨折による脊柱後弯姿勢または悪い姿勢

胸椎伸展,肩甲回旋,顎引き運動

新規骨折を予防する骨粗鬆症治療

圧迫骨折はX線で診断でき,骨粗鬆症は骨密度検査で特定できる。

脚長差

ヒールリフト

通常,ヒールリフトによる矯正は100%ではない。

重度の内反膝または外反膝

矯正器具,装具,四頭筋の筋力強化

人工膝関節置換術基準を検討すべきである。

足の異常または疼痛

外反母趾(バニオン)

縦アーチ

矯正器具,足病学的ケア,注文靴

モノフィラメントナイロンを用いた足底神経障害の検査を常に行い,足底潰瘍のリスクを検出する。

関節可動域

股関節内旋制限

内転筋のストレッチ,外転筋の筋力強化

ストレッチにより内旋を増大させる試みは通常効果的ではないが,さらなる可動域制限は予防できる可能性がある。

股関節伸展制限

股関節屈筋のストレッチ,股関節伸筋の筋力強化

腹臥位,背中を反らす,股関節の伸展が多くの場合推奨される。

足関節背屈制限

腓腹部の筋肉のストレッチ

踵の高い靴の高さを低くする。

強直母趾(母趾の背屈制限)

足専門医または整形外科に紹介

矯正器具を考慮すべきである。

筋力

股関節伸展の筋力低下

椅子からの立ち上がり運動

椅子立ち上がりテストが診断に役立つことがある。

膝関節伸展の筋力低下

椅子からの立ち上がり運動,足関節用サンドバッグを用いた膝関節伸展,スクワット

椅子立ち上がりテストが診断に役立つことがある。

足関節底屈の筋力低下

踵上げ(体重を用いる)

踵上げ時の抵抗を高めるため,ウェイトベスト,リュックサック,または腰ベルトを着用してもよい;壁を利用して体を安定させなければならないことがある。

足関節背屈の筋力低下

筋力強化(例,つま先上げ),下垂足に対する短下肢装具

おもり用サンドバッグを中足骨におく。安全のために壁を背にして,踵で立つ(すなわち,つま先を床から上げる)。

股関節外転の筋力低下

床上に横臥位になり,足関節におもりをつけて股関節外転

感覚系

ロンベルク試験において閉眼時に,位置覚または平衡感覚の低下または障害

適切な履物

ビタミンB12値を確認すべきである。

Semmes-Weinsteinモノフィラメントにより測定した足底触覚の低下または障害

適切な履物

糖尿病およびアルコール乱用を評価し,疑いが何もなければ,神経伝導検査を考慮する。

浮動性めまいまたは回転性めまい

浮動性めまいと回転性めまい:治療を参照のこと

運動制御/平衡感覚

継ぎ足位または片脚立位の保持時間が5秒未満,または360°回転(左右とも)するのに10歩を超える歩数を要する,または回転時にふらつく。

静的および動的バランストレーニング,太極拳,またはこれらと同等のトレーニングを含むバランストレーニング

ビタミンDの補給(25μg[1000単位]1日1回)で,介護施設における患者の転倒および骨折のリスクが低減する。

前傾姿勢

動作緩慢

下肢の筋緊張亢進

パーキンソン徴候

運動制御/平衡感覚を維持または改善するための理学療法トレーニング

パーキンソン病の評価

CTまたはMRIにより,ラクナ梗塞,小脳の変化,および白質疾患を検出できる。

体力および心血管系の健康

起立性低血圧によるめまい

原因と考えられる薬剤がないかの検討,弾性ストッキング

浮動性めまいと回転性めまいおよび起立性低血圧を参照のこと。

疲労,息切れ,通常のペースでの歩行距離が300m未満の歩行困難

定期的なウォーキングプログラム

狭心症,心不全,肺疾患,および跛行の有無を評価すべきである。

6分間の歩行距離を測定する。

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