ピルビン酸が代謝できなくなると,乳酸アシドーシスおよび様々な中枢神経系異常が引き起こされる。
ピルビン酸は糖代謝における重要な基質の1つである。ピルビン酸代謝異常症は糖代謝異常症に含まれる。
遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。
ピルビン酸脱水素酵素欠損症
ピルビン酸脱水素酵素は,クレブス回路でアセチルCoAをピルビン酸から生成する反応に関与する多酵素複合体である。この欠損症によりピルビン酸値が上昇し,それにより乳酸濃度も上昇する。遺伝形式はX連鎖性または常染色体潜性(劣性)である。
臨床像は,重症度に差があるが,乳酸アシドーシス,中枢神経系形成異常,およびその他の生後変化(大脳皮質,脳幹,および基底核の嚢胞性病変,運動失調,精神運動制止など)がある。
ピルビン酸脱水素酵素欠損症の診断は,皮膚線維芽細胞の酵素分析,DNA検査,またはその両方によって確定される。(遺伝性代謝疾患が疑われる場合の検査も参照のこと。)
ピルビン酸脱水素酵素欠損症に明らかに効果的な治療法は存在しないが,一部の患者において低炭水化物食またはケトン食および食事でのチアミン補充が有益であった。
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症
ピルビン酸カルボキシラーゼは糖新生に重要な酵素であり,ピルビン酸からオキザロ酢酸への変換を触媒する。
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症には,A型(乳児型),B型(重症新生児型),C型(間欠/良性型)の3つの病型がある。
この欠損症は原発性のこともあれば,他の先天性代謝異常による二次性のこともある;いずれの型も遺伝形式は常染色体潜性(劣性)であり,乳酸アシドーシスを引き起こす。
原発性欠損症の発生率は出生250,000人当たり1例未満であるが,アメリカンインディアンの特定の集団ではより高い場合がある(1)。痙攣発作を伴う発達遅滞および発育不良が主な臨床像である。臨床検査値異常としては,高アンモニア血症,乳酸アシドーシス,ケトアシドーシス,血漿中のリジン,シトルリン,アラニン,およびプロリンの濃度上昇,αケトグルタル酸の排泄増加などがある。その他の症状としてB型では,肝腫大,錐体路徴候,異常運動などがみられる。C型では,神経発達が正常またはやや遅れ,発作性の代謝性アシドーシスがみられる。
二次性欠損症も臨床的に類似している可能性があり,さらに発育不良,痙攣発作,その他の有機酸尿症を伴う。
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症の診断は,培養皮膚線維芽細胞の酵素分析またはDNA解析によって確定される。
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症に対する効果的な治療法はないが,一部の患者では食事の管理およびチアミン補充により症状が緩和することがある。
A型では大半の患児が乳児期または小児期早期に死亡する。
B型では大半の患児が生後3カ月以内に死亡する。
ピルビン酸カルボキシラーゼ欠損症に関する参考文献
1.Wang D, De Vivo D.Pyruvate Carboxylase Deficiency.In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., eds. GeneReviews®.Seattle (WA): University of Washington, Seattle; June 2, 2009.
より詳細な情報
有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。
Online Mendelian Inheritance in Man (OMIM) database: Complete gene, molecular, and chromosomal location information



