小児における摂食の問題

執筆者:Stephen Brian Sulkes, MD, Golisano Children’s Hospital at Strong, University of Rochester School of Medicine and Dentistry
レビュー/改訂 2019年 12月
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    摂食の問題は,年齢相応の食欲の変動から,神経性やせ症神経性過食症過食性障害などの重篤でときに生命を脅かすこともある摂食障害まで多岐にわたる。摂食の問題は,過食および肥満につながることがある(青年期の肥満も参照)。

    幼児の親には,児が十分に食べていない,食べ過ぎている,不適切なものを食べている,特定の食べ物を拒否する,食事中に不適切な行動をとる(例,食べ物をこっそりペットに与える,食べ物を投げたり故意に落としたりする)などの心配事がしばしば生じる。

    評価項目には,問題の発生頻度,持続時間,および程度を含める。身長と体重を測定して,適切なチャートにプロットする。しばしば,児が正常なペースで成長していることを示すチャートを親に見せることで,摂食に関する親の懸念が軽減する。

    以下の場合は,重篤な摂食障害に対する評価を徹底的に行うべきである:

    • 小児が自身の外見や体重について根強い懸念を表明している

    • 体重が減少している

    • それまでの成長速度に比べて著しく速いペースで体重増加がみられるようになった

    ただし,摂食の問題の大半は,成長や発達に干渉するほど長期間継続することはない。小児が健康そうに見え,成長も許容範囲内に収まっている場合は,親を安心させた上で,摂食に関連した衝突や強制を最小限に抑えるように勧める。実際には,むしろ親の長期化した過度の懸念が,その後の摂食障害に寄与することがある。摂食の強制を試みても,摂取量が増加する可能性は低く,小児は食べ物を口の中に含んでおいて後から吐き出したり,自ら嘔吐することもある。親は家族とともに食卓に着きながら食事をふるまうべきであり,このときテレビやペットなどの注意を逸らすものは排除し,児の前に食べ物を置く際には感情をほとんど表さないようにする。食べ物は20~30分後には下げ,その際には何を食べ何を残したかについての言及は避けるようにする。投げたり故意に床に落としたりした食べ物の後始末には,児を参加させるようにする。これらの方法と並行して,間食を午前と午後の1回ずつに制限することにより,通常は食欲と摂取量と栄養所要量の間の関係を正常に戻すことができる。

    小児における行動上の問題の概要も参照のこと。)

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