陣痛および分娩中の胎児モニタリング

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
Reviewed ByOluwatosin Goje, MD, MSCR, Cleveland Clinic, Lerner College of Medicine of Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 3月
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分娩中は,胎児の状態をモニタリングしなければならない。主な方法は,胎児の心拍数パターンをモニタリングすることであり,通常は子宮収縮に関連する。これは一部の評価法では超音波検査と組み合わせて行う。

胎児モニタリングの方法

胎児心拍数(HR)モニタリングは,胎児心拍数を聴診するための胎児心拍聴診器を用いて,用手的におよび間欠的に行うことができる。しかしながら,米国では,電子的な胎児心拍数モニタリング(外測法や内測法による)がハイリスク妊娠管理の標準となっており,多くの医師が分娩中の全妊婦に対して使用している。低リスク分娩でモニタリング用電子機器をルーチンに使用することの価値はしばしば議論される。大規模臨床試験では電子的胎児モニタリングが全死亡率を減少させることは示されておらず,帝王切開の割合を上昇させることが示されており,おそらくこれは見かけ上の異常の多くが偽陽性であることによる(1)。したがって,電子的にモニタリングされている妊婦は,聴診によりモニタリングされている妊婦よりも帝王切開率が高い。

胎児心拍の用手的聴診を用いる場合には,一定のガイドラインに従い分娩中を通じて行わなければならず,1対1の看護ケアが必要となる。

  • 正常な分娩で低リスクの妊娠では,胎児の心拍数を各収縮後に,または分娩第1期中は少なくとも30分毎に,第2期中は15分毎にチェックしなければならない。

  • ハイリスク妊娠では,胎児心拍数を第1期中は15分毎に,第2期中は3~5分毎にチェックしなければならない。

遅発性一過性徐脈を調べるために収縮のピークから始め,少なくとも1~2分間聴取することが勧められる。定期的な聴診の方が,持続的な電子的モニタリングよりも,異常を示す偽陽性率や介入の発生率が低く,分娩中に妊婦とより多く触れ合いの機会がもてる。しかしながら,聴診の標準ガイドラインに従うことはしばしば困難で,費用対効果もよくないことがある。さらに,正確に行わなければ,聴診により異常を検出できない。

電子的な胎児心拍数モニタリングには以下のものがある:

  • 外測法:装置を母体の腹部に装着し,胎児心音と子宮収縮を記録する。

  • 内測法:この方法では破膜する必要がある。その後,リード線を子宮頸管を通じて挿入する;電極を胎児の頭皮に装着して心拍数をモニタリングし,子宮収縮の正確なタイミングを測定するために必要であれば,子宮腔へカテーテルを留置して子宮内圧を測定する。

通常,外測法および内測法によるモニタリングは同等に信頼できる。外測法は正常な陣痛の妊婦に使用する;内測法は,外測法によるモニタリングでは胎児のwell-beingや子宮収縮の強さに関する十分な情報が得られないときに使用する(例,外測法の装置が正しく機能しない場合)。

ほかにも,胎児のパルスオキシメトリーや分娩時の胎児のST部分およびT波の評価(胎児心電図でのST上昇または低下を調べる)などの胎児モニタリングの技術が開発されており,これらの大半が研究で用いられている。

胎児モニタリングの方法に関する参考文献

  1. 1.Alfirevic Z, Devane D, Gyte GM, Cuthbert A: Continuous cardiotocography (CTG) as a form of electronic fetal monitoring (EFM) for fetal assessment during labour. Cochrane Database Syst Rev 2(2):CD006066, 2017.Published 2017 Feb 3.doi:10.1002/14651858.CD006066.pub3

胎児心拍数モニタリングの解釈

主なパラメータは,胎児心拍数(HR)基線および胎児心拍数細変動(特に子宮収縮および胎動に反応してどのように変化するか)である。胎児心拍数の解釈は主観的になりうるため,特定のパラメータが定義されている(の表を参照)。

表&コラム
表&コラム

胎児心拍数にはいくつかのパターンがみられる;3段階(カテゴリー[1])に分類され,通常胎児の酸塩基平衡状態に相関がある:

  • カテゴリーI:正常

  • カテゴリーII:不確定

  • カテゴリーIII:異常

正常パターンは観察時点での胎児の正常な酸塩基平衡状態を強く予測する。このパターンでは以下の特徴が全てみられる:

  • 基線の心拍数が110~160/分

  • 胎動または収縮に伴う中等度の心拍数基線細変動(6~25拍)

  • 収縮中に遅発または変動一過性徐脈がみられない

正常パターンでは早発一過性徐脈および週数相応の一過性頻脈がみられる,またはみられない。

不確定パターンは正常または異常と明らかに分類されないあらゆるパターンである。多くのパターンは不確定に分類される。胎児がアシドーシスであるかどうかはパターンからは判断できない。不確定パターンでは,あらゆる悪化を可能な限り早期に認識するために厳重な胎児モニタリングが必要である。

異常パターンは通常,観察時点で胎児が代謝性アシドーシスであることを示す。このパターンは以下のうち1つにより特徴づけられる:

  • 心拍数基線細変動の欠如に加え,反復する遅発一過性徐脈

  • 心拍数基線細変動の欠如に加え,反復する変動一過性徐脈

  • 心拍数基線細変動の欠如に加え,徐脈(細変動のない110/分未満または100/分未満)

  • サイナソイダルパターン(1分間に3~5サイクルで5~40/分の固定した変動,正弦波に似る)

異常パターンは是正のために迅速な対応(例,酸素補充,体位変換,母体低血圧治療,オキシトシン中止)または急速遂娩の準備が必要である。

パターンは特定の時点における胎児の状態を反映する;パターンは変化しうるし,実際に変化する。

胎児モニタリングの解釈に関する参考文献

  1. 1.Macones GA, Hankins GD, Spong CY, Hauth J, Moore T: The 2008 National Institute of Child Health and Human Development workshop report on electronic fetal monitoring: update on definitions, interpretation, and research guidelines. Obstet Gynecol 112(3):661-666, 2008.doi:10.1097/AOG.0b013e3181841395

胎児評価のための検査

ノンストレステストは外測法による電子的モニタリングを用いて胎児心拍数と子宮収縮を記録するもので,心拍数と胎動(母親により報告される)を相互に関連づける;胎児を覚醒させるために音(例,音振動刺激装置)を用いることはあるが,検査の際に胎児にストレス因子を与えないことから,ノンストレスと呼ばれる。心拍数は胎児が動いているときやその他とびとびの間隔で増加するはずである。ノンストレステストは典型的には20分間(ときに40分間)行われる。20分間に15/分の一過性頻脈が2回みられる場合は,結果はreactive(reassuring)とみなされる。一過性頻脈がみられない場合はnonreactive(nonreassuring)とみなされる。遅発性一過性徐脈の存在は,低酸素血症,胎児アシドーシスの可能性,および介入の必要性を示唆する。

nonreassuringなノンストレステストでは通常その後にバイオフィジカルプロファイルを行う。バイオフィジカルプロファイルでは,超音波検査による羊水量,胎児の動き,筋緊張,および呼吸の測定をノンストレステストに加える。ノンストレステストおよびバイオフィジカルプロファイルは,合併症のある妊娠またはハイリスク妊娠(例,母体糖尿病,高血圧,以前の妊娠での死産,または胎児発育不全もしくは胎児異常が合併)のモニタリングにしばしば利用されている。

コントラクションストレステストオキシトシン負荷テスト)は現在ではまれにしか行われない。このテストでは,胎動および胎児心拍数をオキシトシンによって誘発された収縮中にモニタリングする(典型的に外側法による)。コントラクションストレステストを行う場合には病院で行わなければならない。

分娩中に問題(例,胎児心拍数低下,正常な胎児心拍数細変動の欠如)が発見された場合,子宮内胎児の蘇生術を行う;急速輸液を行ったり,妊婦を横臥位にしたりする。胎児の心拍数パターンが相応の時間が経っても改善せず,分娩の始まる気配がなければ,帝王切開による急速遂娩が必要である。

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