眼部帯状疱疹

(眼の帯状疱疹)

執筆者:Vatinee Y. Bunya, MD, MSCE, Scheie Eye Institute at the University of Pennsylvania
Reviewed BySunir J. Garg, MD, FACS, Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 7月
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眼部帯状疱疹は,水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の潜伏感染(帯状疱疹)が再活性化して眼部に現れたものである。症状と徴候は重度のことがあり,前頭部皮膚分節の片側性の発疹,ならびに前眼部およびまれに後眼部における全組織の有痛性の炎症などがある。診断は前眼部構造の特徴的な外観に加え,三叉神経第1枝(V1)の支配領域において同側に発生する帯状疱疹の皮膚炎に基づく。治療は,抗ウイルス薬の経口投与,散瞳薬,およびコルチコステロイドの局所投与による。

一次感染後,VZVは感覚神経節に潜伏する。VZV特異的T細胞性免疫によってVZVは潜伏状態に維持される。ウイルスの再活性化は,加齢,疾患,または免疫抑制により免疫が低下した場合に生じる。前額部の帯状疱疹で鼻毛様体神経が侵されている患者では(鼻の先端の病変によって示唆される),鼻の先端に病変がない患者と比べて,眼に病変が及ぶリスクが3倍高い(1)。全体では,患者の2分の1で眼球に病変が及ぶ(2)。水痘帯状疱疹ウイルスは感染力が強く,潰瘍化した皮膚病変への直接接触または空気中のエアロゾルを介して伝播することがある。

参考文献

  1. 1.Zaal MJ, Völker-Dieben HJ, D'Amaro J: Prognostic value of Hutchinson's sign in acute herpes zoster ophthalmicus.Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 241(3):187-191, 2003.doi: 10.1007/s00417-002-0609-1

  2. 2.Liesegang TJ: Herpes zoster ophthalmicus natural history, risk factors, clinical presentation, and morbidity.Ophthalmology 115(2 Suppl):S3-12, 2008.doi: 10.1016/j.ophtha.2007.10.009

眼部帯状疱疹の症状と徴候

前駆症状として前頭部の疼痛またはピリピリ感がみられることがある。急性期には,前頭部の有痛性発疹に加えてみられる症状と徴候として,重度の眼痛;著明な眼瞼浮腫;結膜,上強膜,および角膜周囲の結膜充血;角膜浮腫;および羞明などがありうる。

合併症

角膜炎および/またはぶどう膜炎は重度である場合があり,瘢痕化が続発する。後期続発症―緑内障,白内障,慢性または反復性ぶどう膜炎,角膜の瘢痕化,角膜血管新生,および知覚鈍麻―の頻度が高く,視力を脅かす可能性がある。後に帯状疱疹後神経痛が発生することがある。患者は上強膜炎(視力障害のリスクを伴わない)および/または網膜炎(重度の視力障害のリスクを伴う)を発症することがある。

眼部帯状疱疹の診断

  • 前頭部または眼瞼の帯状疱疹の発疹および眼所見

診断は,前頭部,眼瞼,もしくは鼻の先に典型的な帯状疱疹の急性発疹,または特徴的な疼痛に加え,以前の帯状疱疹の発疹の徴候(例,萎縮して色素減少を起こした瘢痕)のいずれかに基づく。皮膚所見はともに片側性である(すなわち,正中線を超えることはない)。まだ眼に病変が明らかに及んでいなくとも,この領域の小水疱性または水疱性病変は,眼に病変が及ぶかどうかを判断するため眼科へのコンサルテーションを行うべきである。初回評価における皮膚の培養および免疫学的検査もしくはPCR検査,または一連の血清学的検査は,病変が非定型的で診断が確定しない場合にのみ行う。

眼部帯状疱疹の治療

  • 経口抗ウイルス薬(例,アシクロビル,ファムシクロビル,バラシクロビル)

  • ときにコルチコステロイドの局所投与

初期治療として,アシクロビル,ファムシクロビル,またはバラシクロビルを投与することにより眼合併症が減少する。ぶどう膜炎または角膜炎の患者には,コルチコステロイドの局所投与(例,プレドニゾロン酢酸エステル)が必要である。1%アトロピンまたは0.25%スコポラミン1滴を1日3回点眼することにより瞳孔を散大させるべきである。眼圧をモニタリングし,正常値を大きく上回って上昇する場合は治療しなければならない。

全身状態が良好な60歳以上の患者に対し,帯状疱疹後神経痛を予防する目的で,短期間高用量コルチコステロイドを経口投与することには依然議論がある。

神経障害性疼痛に対する薬剤(例,ガバペンチンまたは三環系抗うつ薬)が帯状疱疹後神経痛の症状緩和に役立つ可能性がある。

眼部帯状疱疹の予防

組換え帯状疱疹ワクチンは,帯状疱疹の既往または従来の弱毒生ワクチンの接種歴にかかわらず,50歳以上の免疫能が正常な成人に推奨される。この組換えワクチンで帯状疱疹を発症する可能性は,50~69歳の成人で約97%(1),70歳以上の成人で90%減少する(2)。

予防に関する参考文献

  1. 1.Lal H, Cunningham AL, Godeaux O, et al: Efficacy of an adjuvanted herpes zoster subunit vaccine in older adults.N Engl J Med 372(22):2087-2096, 2015.doi: 10.1056/NEJMoa1501184

  2. 2.Cunningham AL, Lal H, Kovac M, et al: Efficacy of the herpes zoster subunit vaccine in adults 70 years of age or older.N Engl J Med375(11):1019-1032,2016.doi: 10.1056/NEJMoa1603800

要点

  • V1領域で水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化した症例の約半数で眼が侵される。

  • 角膜炎かつ/またはぶどう膜炎は重度で,合併症を生じうる。

  • 典型的な帯状疱疹の発疹の発現は,通常診断に有用である。

  • 治療は,抗ウイルス薬の経口投与,ならびに通常はコルチコステロイドの局所投与および散瞳による。

  • 50歳以上の免疫能が正常な全ての成人に組換え帯状疱疹ワクチンを接種する。

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