喉頭癌

執筆者:Bradley A. Schiff, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine
Reviewed ByLawrence R. Lustig, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital
レビュー/改訂 修正済み 2024年 9月
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喉頭癌の90%が扁平上皮癌である。喫煙,過度の飲酒,不良な社会経済的状況,および男性かつ60歳以上であることは,リスクを高める。嗄声が早期に発生するため,声帯腫瘍では早期診断が一般的である。しかし,声門上腫瘍(声帯より上方)および声門下腫瘍(声帯より下方)は,より長期間無症状のままであることがあるため,進行した病期で出現することが多い。診断は喉頭鏡検査および生検に基づく。早期腫瘍の治療は手術または放射線による。進行した病期の腫瘍は,しばしば化学療法および放射線療法で治療する。手術は救済治療のために,または喉頭外進展もしくは軟骨破壊を伴う病変に対して行われる。喉頭全摘出術が施行される場合,発声能力の回復が必要になる。

頭頸部腫瘍の概要も参照のこと。)

扁平上皮癌は喉頭で最も一般的な悪性腫瘍である。米国では,男性で4倍多く,社会経済的状況が不良な人々に多い。95%を超える患者が喫煙者であり,15 pack-yearの喫煙でリスクは30倍増加する。2024年の喉頭癌の新規症例数は12,650例と推定されているが,年間の新規発生数は減少しており,特に男性で顕著であり,これは喫煙習慣の変化に起因している可能性が最も高い。2024年の年間死亡数は3880例と推定されている(1)。

診断時点で49%の患者は限局性の病変のみを有し,28%は局所病変と所属リンパ節転移を,16%は遠隔転移を有しており,7%は病期診断を受けない(2)。声門上癌および声門下癌では声門癌よりもリンパ節転移の頻度が高いが,これは声門ではリンパ流出が極めて少ないことと,声門癌の方が早期に症状を引き起こすことが理由である。遠隔転移は肺および肝臓で最もよく生じる。

一般的な原発部位は,声帯(声門)および声門上の喉頭である。最も頻度が低い部位は声門下の喉頭であり,原発性喉頭癌のわずか1%が発生する。疣状癌は扁平上皮癌のまれな亜型であり,通常は声門部に生じ,標準的な扁平上皮癌と比べて生存率が良好である。

総論の参考文献

  1. 1.Siegel RL, Giaquinto AN, Jemal A.Cancer statistics, 2024 [published correction appears in CA Cancer J Clin. 2024 Mar-Apr;74(2):203. doi: 10.3322/caac.21830]. CA Cancer J Clin 2024;74(1):12-49.doi:10.3322/caac.21820

  2. 2.National Cancer Institute: Surveillance, Epidemiology, and End Results Program: Cancer Stat Facts: Laryngeal Cancer.Laryngeal Cancer — Cancer Stat Facts Accessed July 30, 2024.

喉頭癌の症状と徴候

喉頭癌の症状と徴候は,侵された喉頭の部位により異なる。

声門上癌の患者では,しばしば嚥下困難がみられるほか,その他の一般的な症状としては気道閉塞,耳痛,頸部腫瘤などがある。声門上癌では,嗄声は進行後によくみられる。このような症状がみられる患者は直達喉頭鏡検査目的で直ちに紹介すべきである。

声門癌では,嗄声は早期からよくみられる。

声門下癌の患者では,しばしば気道閉塞が認められ,嗄声は進行後によくみられる。

喉頭癌の診断

  • 喉頭鏡検査

  • 内視鏡検査および生検

  • 病期分類のための画像検査

2~3週間を超える嗄声がある患者は全て,頭頸部専門医による喉頭の診察を受けるべきである。喉頭を評価するためにミラーを使用する医師もいるが,ほとんどの場合,軟性鏡による診察が行われる。発見された全ての病変にはさらなる評価(通常は手術目的の内視鏡検査および生検による)が必要であり,併存するがんを確認するために上気道および上部消化管の評価を同時に行う。2つ目の同時性原発腫瘍の発生率は10%にもなる可能性がある(1)。

癌腫と確定診断された患者には,典型的には頸部造影CTと胸部X線または胸部CTを施行する。大半の医師は,診断時に頸部および胸部のPETも施行する。

診断に関する参考文献

  1. 1.de Vries N, Snow GB.Multiple primary tumours in laryngeal cancer. J Laryngol Otol 1986;100(8):915-918.doi:10.1017/s0022215100100313

喉頭癌の病期分類

臨床病期分類のために,喉頭は声門上,声門,および声門下の3領域に分けられる(1)。喉頭癌の病期は,原発巣の大きさおよび部位(T), 頸部リンパ節転移の数および大きさ(N),ならびに遠隔転移の有無(M)に従って分類されている。N分類はHPV関連がんとHPV非関連がんで異なる。病期診断には通常,CT,MRI,またはその両方のほか,しばしばPETによる画像検査が必要である。

臨床病期分類(cTNM)は,手術前に行われた身体診察および検査の結果に基づく。病理学的病期分類(pTNM)は,原発腫瘍の病理学的特徴および手術時に発見された転移陽性リンパ節の数に基づく。

頸部リンパ節転移癌では,節外進展は「N」カテゴリーに組み込まれている。節外進展の臨床診断は,身体診察時に肉眼的な節外進展の所見を認めるとともに,画像検査でその所見を確認することに基づいて行う。病理学的な節外進展は,リンパ節内の腫瘍がリンパ節被膜を越えて周囲の結合組織内へと進展している組織学的所見を認める場合(関連する間質反応の有無は問わない)と定義されている。

病期分類に関する参考文献

  1. 1. Amin MB, Edge S, Greene F, Byrd DR, et al: American Joint Committee on Cancer (AJCC) Cancer Staging Manual, 8th edition.New York, Springer, 2017; AJCC Cancer Staging Form Supplement, 2018.

喉頭癌の治療

  • 早期例(T1およびT2):手術または放射線療法

  • 中等度進行例(T3):放射線療法およびときに化学療法

  • 進行例(T4):手術(その後放射線療法およびときに化学療法を行うことが多い)またはときに化学療法および放射線療法

治療のアプローチは,解剖学的な位置(すなわち,声門上,声門,声門下)と病期によって変わる(1)。

声門上癌

早期声門上癌は,放射線療法または喉頭部分切除術で効果的に治療できる。レーザー切除が早期の声門上扁平上皮癌に対してかなりの成功を収めており,手術後の機能的変化を最小限に抑える。進行しているが声帯が侵されていない場合は,音声および声門括約筋を温存するために声門上の喉頭部分切除を行いうる。声帯も侵されている場合,手術を選択するなら,喉頭亜全摘術(supracricoid laryngectomy)または喉頭全摘出術が必要となる。

大半の進行期声門上癌はまず化学療法および放射線療法で治療する。声門上部はリンパ管のネットワークが豊富であるため,声門上癌では全例で頸部の治療に手術,放射線療法,またはその両方が必要になる。

声門癌

早期声門癌の治療は,レーザー切除,放射線療法,またはときに開放下喉頭手術による。内視鏡下レーザー切除および放射線療法では通常,正常な音声と治療後の機能が温存され,治癒率は同程度である。早期声門癌の治療に手術と放射線療法のどちらを用いるかは通常,声門内の病変の位置,患者の希望,および治療施設の選好に依存する。

声帯の可動性消失または舌への進展で定義される中等度進行声門癌については,大半の患者が化学療法と放射線療法の併用で治療されている。喉頭外への進展または軟骨への浸潤を認める患者の場合,喉頭摘出術により最良の腫瘍学的結果が得られる;喉頭摘出術は一般的には全摘出術であるが,特定の基準を満たす症例では内視鏡下レーザー切除術または開放下の喉頭部分切除術を用いることが可能である。喉頭全摘出術は,救済となる状況でも一般的に用いられるが,ときにそうした状況で内視鏡下切除または開放手術による喉頭部分切除術が用いられる場合がある。

声門下癌

早期声門下癌は,内視鏡下切除による治療が可能なことはまれであるため,放射線が治療の中心となる。より進行した声門下病変または転移を伴う病変に対しては,喉頭外への進展または広範な軟骨浸潤がある場合(この場合は喉頭全摘出術で最良の転帰が得られる)を除いて,化学放射線療法が標準治療である。

リハビリテーション

外科的または非外科的治療のいずれかに続いてリハビリテーションが必要になることがある。化学療法および放射線療法後には重大な嚥下の問題がよくみられ,食道の拡張,嚥下リハビリ療法,または重症例において咽頭の外科的置換もしくは胃瘻経管栄養を必要とする可能性がある。嚥下は手術によっても影響を受け,同様に嚥下リハビリ療法または食道の拡張が必要になることがある。

一方,発声は手術でより著明な影響を受ける。喉頭全摘出後,患者は以下の方法により新たな音声を作り出す必要がある:

  • 食道発声

  • 気管食道瘻

  • 電気喉頭

3つの全ての方法において,咽頭,口蓋,舌,歯,および口唇によって音が発話へと構音される。

食道発声では,発声するために吸気中に空気を食道に取り込み,咽頭食道移行部を介して徐々に空気を出す。

気管食道瘻では,発音を容易にするために気管と食道の間に一方向弁を留置する。この弁は呼気の間に食道へ空気を送り込み発声する。患者は身体的なリハビリテーション,言語療法,ならびにこの弁の管理および使用についての適切な訓練を受け,食物,液体,および分泌物の誤嚥の可能性に対して注意する必要がある。

電気喉頭は,首に押しつけて発声する電池式の音源である。電気喉頭は多くの患者にとって大きな社会的不名誉感をもたらすが,ほとんどまたは全く訓練を受けずに直ちに機能する利点を有する。

治療に関する参考文献

  1. 1.National Cancer Institute: Laryngeal Cancer Treatment (PDQ®)–Health Professional Version.Updated February 2024

喉頭癌の予後

喉頭癌患者全体での5年相対生存率は61%である(1)。早期声門癌の5年生存率は85~95%である(2)。所属リンパ節転移を呈する患者の5年相対生存率は48%,遠隔転移を呈する患者の5年相対生存率は34%である(2)。

予後に関する参考文献

  1. 1.National Cancer Institute: Surveillance, Epidemiology, and End Results Program: Cancer Stat Facts: Laryngeal Cancer.Laryngeal Cancer — Cancer Stat Facts Accessed July 30, 2024.

  2. 2.Chen JJ, Stessin A, Christos P, et al: Differences in survival outcome between stage I and stage II glottic cancer: A SEER-based analysis. Laryngoscope 125(9):2093-2098, 2015.doi:10.1002/lary.25338

要点

  • 嗄声は,声門癌では早期によくみられるが,声門上癌および声門下癌では後期の症状である。

  • 2~3週間を超える嗄声がある患者は全て,頭頸部専門医により喉頭を診察すべきである。

  • 癌腫と確定診断された患者には,典型的には頸部造影CTのほか,進行期ではしばしばPET/CTも行う。

  • 早期(T1およびT2)の声門上癌,声門癌,および声門下癌は,手術または放射線療法で治療する。

  • 中等度に進行した(T3)声門上癌,声門癌,および声門下癌は,放射線療法にときに化学療法を併用して治療する。

  • 最も進行し(T4),喉頭外に進展した声門上癌,声門癌,および声門下癌は,手術とその後の術後化学療法および放射線療法で治療する。

  • 極めて浸潤度の低い一部のT4例には,化学療法および放射線療法による一次治療を考慮することができる。

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