外傷性鼓膜穿孔

執筆者:Taha A. Jan, MD, Vanderbilt University Medical Center
Reviewed ByLawrence R. Lustig, MD, Columbia University Medical Center and New York Presbyterian Hospital
レビュー/改訂 修正済み 2024年 1月
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外傷性鼓膜穿孔は,疼痛,出血,難聴,耳鳴,および回転性めまいを引き起こす可能性がある。診断は耳鏡検査に基づく。治療はしばしば不要である。感染の予防または治療のために抗菌薬が必要になる場合がある。2カ月以上続く穿孔,耳小骨連鎖の離断,または内耳の損傷を治療するために,手術が必要になる場合もある。

鼓膜穿孔の外傷性の原因としては以下のものがある:

  • 意図的な(例,綿棒)または偶然による外耳道への物の挿入

  • 爆発または耳への平手打ちにより引き起こされる振盪

  • 頭部外傷(頭蓋底骨折の有無によらず)

  • 側頭骨骨折

  • 突発的な陰圧(例,外耳道の強い吸引)

  • 圧外傷(例,飛行機移動やスキューバダイビングの最中)

  • 洗浄または異物もしくは耳垢除去中の器具操作による医原性の穿孔

鼓膜の穿通性損傷は,耳小骨連鎖の脱臼,アブミ骨底の骨折,耳小骨の骨片転位,出血,卵円窓もしくは正円窓からの外リンパ瘻による中耳腔への外リンパの漏出,または顔面神経損傷を引き起こすことがある。

外傷性鼓膜穿孔の症状と徴候

外傷性鼓膜穿孔は,突然かつ重度の疼痛を引き起こし,ときに続けて耳からの出血,伝音難聴耳鳴がみられることもある。耳小骨連鎖の離断または内耳の損傷があれば,難聴がより高度となる。回転性めまいは内耳の損傷を示唆する。特に中耳に水が浸入した場合,膿性の耳漏が24~48時間以内に始まることがある。

外傷性鼓膜穿孔の診断

  • 耳鏡検査

  • 聴力検査

穿孔は通常,耳鏡検査で明らかになる。外耳道を塞いでいる血液は低圧で慎重に吸引する。洗浄および気密耳鏡検査は避ける。極めて小さい穿孔では,確定診断のために耳の顕微鏡検査または中耳のインピーダンス検査が必要になる場合がある(例,穿孔が閉じない場合)。外傷に起因する難聴と治療に起因する難聴との混同を避けるため,可能であれば,治療の前後に聴力検査を行う。

著明な難聴または重度の回転性めまいがある患者は,できるだけ早く耳鼻咽喉科医の評価を受ける。損傷の評価および修復のために精査が必要になる場合がある。大きな鼓膜欠損がある患者も,位置のずれた鼓膜片を元の位置に戻す必要がある場合があるため,評価すべきである。

外傷性鼓膜穿孔の治療

  • 耳の乾燥を保つ予防策

  • 汚染された損傷に対する抗菌薬の外用

  • ときに外科手術

多くの場合,耳の乾燥を保つ予防策を継続する以外に特異的治療は必要ない。耳の乾燥を保つ予防策としては,入浴中およびシャワー浴中に外耳道を塞ぐこと(例,ワセリンを塗布した綿球を使用する)や,水泳を回避することなどがある。ルーチンの抗菌薬点耳は不要である。ただし,汚れた損傷内で穿孔を通して汚染物が入り込んでいる可能性がある場合には,抗菌薬の点耳による予防が必要である。

大半の穿孔は自然に閉じるが,穿孔が2カ月以上続く場合は,手術の適応となる。持続性の伝音難聴は耳小骨連鎖の離断を示唆し,外科的な手術による修復が必要になる。

耳に感染が起きた場合は,アモキシシリンを500mg,経口,8時間毎,7日間で投与することができるが,典型的にはフルオロキノロン系薬剤(シプロフロキサシンまたはオフロキサシン)の点耳薬のみで十分である。アミノグリコシド系薬剤(例,フラジオマイシン,トブラマイシン)またはポリミキシンBを含有する点耳薬は,聴器毒性を起こす可能性があるため,鼓膜穿孔がある患者や鼓膜チューブが留置されている患者に処方してはならない。

要点

  • 穿孔の多くは小さく,自然に治癒する。

  • 治癒中は耳を乾燥した状態に保つよう患者を指導する;汚染が有意であるか感染が生じた場合を除き,抗菌薬の外用または全身投与は不要である。

  • 耳小骨の損傷と2カ月以上続く穿孔は外科的に修復する。

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