副甲状腺機能の概要

執筆者:James L. Lewis III, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham
レビュー/改訂 2021年 3月
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    副甲状腺は典型的には4つある。その名前から示唆されるように,甲状腺の近くに位置するが,数や,特にその位置はかなり多様である。これらの豆粒大の腺は,体内のカルシウム濃度を維持する上で極めて重要な役割を果たしている。(高カルシウム血症および低カルシウム血症も参照のこと。)

    副甲状腺細胞は,副甲状腺ホルモン(PTH)と呼ばれるポリペプチドホルモンを産生,貯蔵,分泌する。PTHにはいくつかの作用があるが,おそらく最も重要な作用は以下のものである:

    • 血清カルシウム濃度の上昇

    副甲状腺細胞は血清カルシウム濃度の低下を感知し,これに反応してあらかじめ合成されたPTHを循環血液中に放出する。

    PTHは以下の機序を介して血清カルシウム濃度を数分以内に上昇させる:

    • 腎臓および腸管からのカルシウム吸収を増進させる

    • 骨吸収を刺激することにより,カルシウムおよびリンを骨から迅速に動員する

    腎臓からのカルシウム排泄は一般にナトリウム排泄と並行しており,近位尿細管でのナトリウム輸送を支配するものと同じ多数の因子に影響される。しかし,PTHはナトリウムとは無関係に遠位尿細管でのカルシウム再吸収を増加させる。

    PTHには以下の働きもある:

    • 腎臓でのリンの再吸収を減少させ,それにより腎臓からのリンの排泄を促す

    腎臓からのリンの排泄は,PTHに反応してカルシウム濃度が上昇するにつれて,血漿中でのカルシウム濃度とリン濃度の積が過剰になることを防いでいる。また,PTHはビタミンDを刺激して最も活性の高いカルシトリオール(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)へ変換することによって血清カルシウム値を上昇させる。この型のビタミンDは食物中カルシウムの腸管吸収率を高める。カルシウム吸収の増加にもかかわらず,長期にわたりPTH分泌増加が続くと,骨芽細胞機能の抑制と破骨細胞活性の促進により,一般的には全体として骨吸収が進行する。PTHおよびビタミンDは,いずれも骨成長や骨リモデリングの重要な調節因子として機能する(ビタミンDの欠乏症および依存症も参照)。

    肝臓でインタクトPTHのペプチドがアミノ末端とカルボキシ末端の断片に切断されることで,PTHは循環血液中から速やかに除去される。これらの断片はその後腎臓から排泄される。これらの断片に対するラジオイムノアッセイは,原発性副甲状腺機能亢進症の診断および腎疾患に続発する副甲状腺機能亢進症のモニタリングに利用できる最初の検査であったが,PTH分解速度はカルシウム濃度によって変化し,進行した慢性腎臓病があると腎排泄が低下する可能性があるため,現在ではインタクトPTH分子を測定する第2世代のアッセイが用いられている。PTHは尿中のサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)を増加させる。偽性副甲状腺機能低下症の診断では,腎性cAMPの排泄を測定する。

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