手関節の評価

執筆者:Alexandra Villa-Forte, MD, MPH, Cleveland Clinic
レビュー/改訂 2020年 2月
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手関節の評価としては,身体診察のほか,ときに関節穿刺を行う。(関節症状を有する患者の評価も参照のこと。)

手関節の身体診察

手関節を視診して,肉眼的な変形,発赤,および腫脹(ガングリオンによる局所腫脹を含む)がないか確認するとともに,愛護的に触診して,熱感がないか確認し,微妙な腫脹を検出する。所見を健側と比較してもよい。

骨,関節,および軟部組織を触診して,圧痛がないか確認する。タバコ窩(尺骨の長母指伸筋腱と橈骨の長母指外転筋腱および短母指伸筋腱の間にあるくぼみ)の圧痛は,舟状骨損傷を示唆する。タバコ窩は,患者にヒッチハイカーのように母指を伸展させることで最も良好に観察できる。

伸展,屈曲,橈側屈曲,および尺側屈曲を含めて,完全な可動域運動を試みる。伸展および屈曲は,患者にまず両手の手掌を合わせた状態で,続いて手背を合わせた状態で肘を挙上させることにより,両側で比較することができる。

症状がそれほど重度でなければ,腱障害と靱帯の弛緩を調べる負荷試験を行うことができる。第1伸筋腱区画の腱鞘滑膜炎であるde Quervain症候群を検索するために,Finkelsteinテストを行う。このテストでは,患者に母指を握り込むように拳を作らせた後,愛護的に他動的な尺側屈曲を行い,疼痛が誘発されれば陽性である。遠位橈尺関節の安定性を評価するために,検者が片手で尺骨遠位部を,反対の手で橈骨遠位部を把持し,それぞれを上下反対に牽引する。

手関節の関節穿刺

刺入部は,Lister結節の遠位,長母指伸筋腱の尺側とし,軸方向に牽引し,20~30度の屈曲位とし,手を尺側屈曲させることにより関節腔への進入を容易にする。患者に能動的に手関節および母指を伸展させれば,長母指伸筋腱をより容易に同定できる。25~30G針を使用して,刺入部皮下に局所麻酔薬を注入して膨疹を作る。1インチ(2.54cm)の22G針で関節を吸引する。皮膚には垂直に刺入し,針先を手関節掌側に向けて,シリンジのプランジャーを押し戻す圧を感じながら進めていく。関節内に進入すると,関節液がシリンジに入ってくる。

手関節の関節穿刺

橈骨手根関節から関節液を吸引する。長母指伸筋腱の同定を容易にするために,患者に能動的に手関節および母指を伸展させるべきである。関節を穿刺するために,手関節を屈曲し,尺側に約20~30度偏位させる。手に牽引をかける。刺入部は,Lister結節のすぐ遠位,長母指伸筋腱の尺側とする。

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