大気汚染関連疾患

執筆者:Carrie A. Redlich, MD, MPH, Yale Occupational and Environmental Medicine Program Yale School of Medicine;
Efia S. James, MD, MPH, Bergen New Bridge Medical Center;Brian Linde, MD, MPH, Stanford University
Reviewed ByRichard K. Albert, MD, Department of Medicine, University of Colorado Denver - Anschutz Medical
レビュー/改訂 2023年 10月 | 修正済み 2023年 11月
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大気汚染関連疾患とは,空気中の有害汚染物質によって引き起こされる疾患と,既存の疾患がそのような汚染物質によって増悪するものを指す。

大気汚染はいくつかの健康への悪影響に大きく寄与している。大気汚染は,肺機能に悪影響を及ぼしたり,喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の増悪を誘発したり,肺癌のリスクを高めたりする可能性がある。大気汚染はまた,急性心血管イベント(例,心筋梗塞)および脳卒中,ならびに冠動脈疾患の発生リスクを増大させる。交通量の多い地域の住民は,汚染に関連する健康上の影響のリスクが高い。

汚染は建物の内外の空気に影響を及ぼす可能性がある。屋内空気の汚染と屋外の大気汚染の原因は異なる可能性がある。

環境性および職業性肺疾患の概要も参照のこと。)

大気汚染の主な構成要素には,以下のものがある:

  • 二酸化窒素(化石燃料の燃焼による)

  • オゾン(日光が二酸化窒素と炭化水素に与える影響による)

  • 一酸化炭素

  • 粒子状の大気汚染物質

  • 硫黄酸化物

屋外の大気汚染は,屋内空気の汚染の重要な寄与因子の1つである。さらに,屋内空気の汚染の重要な発生源としては,環境タバコ煙,屋内での調理(ガスコンロを含む),建設や改装の作業などがある。バイオマス燃料(例,木材,動物の排泄物,作物)に依存している国では,調理や暖房のためにバイオマス燃料の燃焼が重要な汚染源の1つとなっている。

米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は,ヒトの健康または環境に害を及ぼす可能性があるいわゆる基準大気汚染物質(窒素酸化物,オゾン,硫黄酸化物,一酸化炭素,鉛,粒子状物質)に対して大気質基準を設定している。EPAの基準では,一酸化炭素と鉛を除く全ての汚染物質が気道過敏性を引き起こすとされている。気道過敏性を引き起こす物質への長期曝露により一般集団,特に小児で,呼吸器感染や呼吸器症状が増加する可能性があり,また肺機能が低下することもある。

スモッグの主成分であるオゾンは,強力な呼吸器刺激物質であり,強力な酸化性物質である。オゾン濃度は夏ならびに午前の遅い時間帯および午後の早い時間帯に最も高くなる。短期間の曝露は,呼吸困難,胸痛,および気道反応性を引き起こす可能性がある。オゾン濃度の高い日中に屋外活動に頻繁に参加する小児は,喘息を発症する可能性がより高い。長期間オゾンに曝露すると,わずかであるが恒久的な肺機能の低下を生じる。

硫黄含有量の高い化石燃料が燃焼して生じる硫黄酸化物は,溶解性の高い酸性のエアロゾルを発生させる可能性があり,これは上気道に沈着する可能性が高い。硫黄酸化物は気道炎症を引き起こす可能性があり,気管支収縮を誘発しうるだけでなく,慢性気管支炎のリスクを増大させる可能性もある。

窒素酸化物は主に自動車の排気ガスを発生源とし,呼吸器刺激および喘息と関連している。

一酸化炭素は,化石燃料の不完全燃焼の産物であり,ヘモグロビンに結合することによって組織への酸素供給を妨げる。一酸化炭素の濃度が屋外で非常に高くなる可能性は低い。

大気中の鉛濃度は,自動車用のガソリンからが除去されたことで,大幅に低下した。

粒子状の大気汚染物質は,化石燃料(特にディーゼル)の燃焼に由来する複合混合物である。山火事の煙も粒子状の大気汚染物質の重要な発生源であり,火事の発生源から数百マイル離れた場所にいる住民にも影響を及ぼす可能性がある。このような粒子には局所性および全身性の炎症作用があり,呼吸器系および心血管系の両方に影響が及ぶことと一致する。小さな粒子であるPM2.5(直径2.5μm未満の粒子状物質)は,より大きな粒子と比べて単位質量当たりの炎症反応が強い。粒子状大気汚染物質は全死亡率,特に心血管系および呼吸器系の疾患による死亡率を高めることが広く認識されている。

山火事の煙は,粒子状物質の重要な発生源であることに加え,二酸化炭素,水蒸気,一酸化炭素,炭化水素,窒素酸化物,および微量ミネラルも含有している。

大気汚染のデータからは,物質を制御する工学的プロセスによって産生されるさらに小さい,直径0.1μm(100nm)未満の粒子(すなわち,ナノ粒子)や偶発的に発生する超微粒子が与えうる健康上の影響に関する懸念がもち上がっている。特定のナノ粒子および超微粒子は,動物モデルにおいて酸化ストレス,気道炎症,および毒性を誘発することがあり,喘息患者の呼吸器症状の増加と関連付けられている。

大気汚染関連疾患の予防

世界的に,大気汚染は主要な死因となっている(1)。急性および慢性の両方のリスクを低減する上で,屋外の大気汚染物質への曝露を予防または低減することが中心的な対策となる。

患者には,米国のairnow.govなどの空気質に関する情報源について教育を行うべきであり,地域の空気質を定期的に確認し,空気質に関する警報で示された推奨事項に従って活動を修正するよう奨励すべきである。

リスク低減の例としては,空気質が悪い日には屋外での激しい運動を減らしたり,HEPA(high-efficiency particulate air)フィルターシステムが備わった屋内空間で過ごしたりすることなどがある(2)。

喫煙や調理といった屋内の発生源への曝露の低減および換気の最適化も推奨される。

予防に関する参考文献

  1. 1.Fuller R, Landrigan PJ, Balakrishnan K, et al.Pollution and health: a progress update [published correction appears in Lancet Planet Health 2022 Jun 14]. Lancet Planet Health 2022;6(6):e535-e547.doi:10.1016/S2542-5196(22)00090-0

  2. 2.Sorensen C, Lehmann E, Holder C, et al.Reducing the health impacts of ambient air pollution BMJ 2022; 379 :e069487.doi:10.1136/bmj-2021-069487

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