反芻症

執筆者:Jonathan Gotfried, MD, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
レビュー/改訂 2020年 3月
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反芻症では,少量の食物(ほとんどの場合,食後15~30分の時点)が胃から逆流し(通常,不随意に),これを再び咀嚼し,ほとんどの場合,再び嚥下する。

患者は悪心または腹痛を訴えない。

反芻症は乳児でよくみられる。患者自身が報告することはまれであるので,成人における発生率は不明である。

反芻症の病因

アカラシアまたはツェンカー憩室の患者では,悪心を伴わずに未消化食物の逆流がみられることがある。このような食道閉塞の状態がない患者の大部分では,病態生理はほとんど分かっていない。反芻動物でみられる逆蠕動はヒトでは報告されていない。この疾患はおそらく学習された不適応習慣で,摂食障害の一部の可能性がある。患者は下部食道括約筋を開放し,横隔膜の律動的な収縮と弛緩により胃内圧を上昇させ,これにより胃内容物を食道および咽喉に押し出すことを習得する。

反芻症の症状と徴候

悪心,疼痛,嚥下困難は起こらない。ストレス下にある患者は,反芻症を隠すことにあまり気を使わない場合がある。その行為を初めて見た他人が患者を医者に紹介することがある。まれに,食物の逆流および吐出により体重が減少する。

反芻症の診断

  • 臨床的評価

  • ときに内視鏡検査,食道運動機能検査,またはその両方

反芻症の診断は通常,観察による。心理社会的病歴の聴取により,基礎にある精神的ストレスが明らかにされることがある。機械的閉塞を引き起こす疾患またはツェンカー憩室を除外するため,内視鏡検査または上部消化管造影を行う必要がある。運動障害を同定するために,食道内圧検査,ならびに胃内容排出および前庭部-十二指腸の運動性を評価するための検査を行ってもよい。

反芻症の治療

  • 行動療法

反芻症の治療は対症的である。意欲のある患者は,行動療法(例,弛緩,バイオフィードバック,横隔膜呼吸の訓練[胸の筋肉の代わりに横隔膜を使って呼吸する])に反応することがある。

バクロフェンが役立つ場合があるが,長期の安全性および有効性データは限られている。精神科へのコンサルテーションが役立つことがある。

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