統合失調症とはどのような病気ですか?
統合失調症は、現実とのつながりが失われる、深刻な心の病気です(精神病ともいいます)。統合失調症の人は、幻覚(実際には存在しないものを見たり聞いたりすること)を経験したり、真実ではない異常なものごとを信じこんだりします。
統合失調症になると、異常な行動や変な行動をするようになるだけでなく、ふつうの生活を送れなくなります。
仕事やほかの人との関係に問題をかかえたり、自分の世話をするのが難しくなったりします。
もし統合失調症を治療しないと、その人は仕事を失ったり、家族や友だちとのつながりをなくしたり、ホームレスになったりするかもしれません。
統合失調症はふつう、男性では20代の前半から半ばに始まり、女性ではそれより少し高い年齢で始まり、子どもの統合失調症はめったにありません。
統合失調症は家族の中で遺伝するため、親や兄弟姉妹に統合失調症の人がいる場合、その人はこの病気になる可能性がほかの人より高いです。
治療法としては、精神病の薬、精神科の医師との話、家族や友だちからの助けなどがあります。
薬を定期的に飲むことが、症状を軽くして、ふつうの生活を送れるようにするのに、とても役立ちます。
統合失調症の原因は何ですか?
医師たちは、統合失調症は脳の発達に問題があることが原因で起こると考えています。
そうした脳の問題を引き起こしている正確な原因は、医師たちにも分かっていません。しかし、次のことに当てはまる場合には、統合失調症が起こりやすくなります:
家族にこの病気の人がいる(この病気は家族の中で遺伝します)
生まれる前や生まれた後に、特定の感染症にかかっていた、酸素が十分に送られなかった、生まれたときの体重が軽かったなどの医学的な問題があった
親の育て方がよくなかったことや、つらい子ども時代を過ごしたことは、統合失調症の原因にはなりません。しかし、すでにこの病気の危険性がある人では、悪いことやストレスのかかることが、統合失調症のきっかけになることがあります。
統合失調症にはどのような症状がありますか?
統合失調症は、急に(数日から数週間のうちに)始まることもあれば、ゆっくり(何年かかけて)明らかになることもあります。
統合失調症の人には、たいてい、次の症状が現れます:
妄想
幻覚
妄想とは、真実ではないことがらを信じこむことです。統合失調症の妄想は、よくある勘違いのようなものではありません。ほかの人が真実ではないと思うことがらを信じている人はたくさんいます。しかし、統合失調症の人は、それがまちがいであることや、明らかに現実的ではないことを示す確かな証拠があったとしても、その考えを信じて疑いません。たとえば、次のようなことを信じることがあります:
本や新聞に書かれている内容や歌の歌詞は、自分について語られた話だ
ほかの人に自分の心を読み取られる、自分の考えが他の人に伝わってしまう
自分はだれかに追われている
自分はキリストや大統領のような有名人だ
幻覚は、実際には存在しないものを聞いたり、見たり、味わったり、体で感じたりすることです。最もよくある幻覚の形は、声が聞こえることです。その声はたいてい、その人に関する意地の悪い言葉であったり、命令であったりします。
統合失調症のほかの症状としては、次のものがあります:
感情をほとんど、またはまったく見せない
質問されても1つか2つの言葉だけで答えるなど、ほとんど話をしない
やっていたことに関心がなくなる
人との関係に関心がなくなる
考えがまとまらない
とりとめのない話をする
何かに注意をはらったり、何かをおぼえたりするのに苦労する
統合失調症は、ただ変わった思考や行動をすることではありません。統合失調症の症状はとても重いため、家庭や職場での人との関係に問題が起きます。
統合失調症の人のおよそ5人に1人が自殺をしようとし、さらに多くの人が自殺を考えます。
統合失調症の人は、感情を爆発させることがあり、こわく見えることもありますが、暴力をふるう可能性は、ほかの人と比べてほんの少し高いだけです。
医師はどのようにして、ある人が統合失調症かどうかを判断しますか?
統合失調症には検査がありません。医師は、その人の症状から統合失調症を診断します。そのためには、症状が次のことに当てはまる必要があります:
少なくとも6カ月間は続いている
仕事、学校、または人との関係に問題を引き起こしている
医師はまた、その行動を引き起こしていて、ちがう種類の治療が必要かもしれない、ほかの医学的な問題や薬の影響がないかを確かめるために、検査をすることもあります。
医師は統合失調症をどのように治療しますか?
治療を始めるのが早いほど、ふつうは治療の結果がよくなります。次のような治療法があります:
症状を治療するための薬
精神科の医師と定期的に話をする
その人が仕事、買い物、自分の世話、家事をし、人とうまく付き合っていく手助けをするための、リハビリやサポートプログラム
統合失調症を理解して対処する手助けをするためのカウンセリング
場合により、入院して受ける治療