HIVとは何ですか?
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、体の免疫の働きに異常を起こすウイルスです。HIVに感染している人は、ほかの感染症や病気にかかりやすくなります。
HIVに感染している小さな子どもは、ふつう、生まれるときに母親からのウイルスに感染します。
医師は血液検査をしてHIVを診断します。
治療をしないと、HIVに感染している子どもはエイズ(後天性免疫不全症候群)になることがあります。
HIV感染症を治せる治療法はありませんが、薬を使うことで、ウイルスの働きを大はばにおくらせることができます。
HIVの薬(抗レトロウイルス薬といいます)を使っている子どもは、亡くならずに大人になれます。
HIVに感染している母親は、妊娠中や出産のときに抗レトロウイルス薬を飲み、出産後は生まれた赤ちゃんに抗レトロウイルス薬を使うことで、ふつうは、赤ちゃんがHIVに感染するのを予防することができます。
エイズとはどのような病気ですか?
エイズとは、後天性免疫不全症候群のことです。これは、HIV感染症が最もひどくなった病気です。免疫の働きがさらに弱くなり、感染症から身を守ることができなくなります。エイズの人は、エイズではない人ならまずかからない、めずらしい感染症にかかることがあります。
HIV感染症は、次のことに当てはまる場合にエイズとみなされます。
HIVに感染していない子どもなら、まずかかることのない、深刻な感染症にかかっている
血液検査で免疫の働きがとても弱いことが分かっている
HIVの薬を定期的に飲んでいる子どもの場合、エイズになることはほとんどありません。
子どもはどのようにしてHIVに感染しますか?
HIVに感染している小さな子どもは、ほとんどの場合、HIVに感染している母親から生まれる前か、生まれてくるときにウイルスに感染します。このウイルスは母乳の中に出てくるため、母乳をあげることで、ウイルスが感染する可能性があります。
大きな子どもや10代の若者の場合は、次のことによって感染することがあります。
HIVに感染している人との性行為
HIVに感染している人の血液にふれること
HIVに感染している人が使った注射針を使い回すこと
献血された血液は、HIVに対する検査が行われているため、アメリカ、カナダ、西ヨーロッパなどでは、輸血による感染はほとんど起こっていません。
HIVは、次のものや行動ではうつりません:
食べもの
水
家の中の物をさわったり、いっしょに使ったりすること
家、仕事場、学校などで、感染した人にふれたり、キスしたり、その人の近くにいたりすること
子どもがHIVに感染するとどのような症状がありますか?
HIVに感染した子どもは、最初は健康そうに見えます。時間がたつにつれて、かぜ、耳の感染症、下痢など、よくある病気にかかる回数が増え、程度がひどくなっていきます。現れる症状は、HIVの薬による治療を受けているかどうかで変わります。HIVの薬は抗レトロウイルス薬といいます。
子どもが抗レトロウイルス薬による治療を受けない場合、次のようになる可能性があります。
成長や発達がおくれる(たとえば、歩き出しや話し始めが遅くなったり、いつまでもできない)
治まらない下痢
貧血(赤血球の数が少なくなった状態)
脾臓や肝臓が腫れる
口の真菌感染症(鵞口瘡)によくかかる
そのほかの感染症にかかる
体重が減る
抗レトロウイルス薬を使っていない子どもは、やがてエイズになります。
子どもが抗レトロウイルス薬による治療を受けている場合、次のようになる可能性があります。
HIV感染症の治療を受けた子どもは、年齢が上がるにつれて、次のような、長い間続く問題をかかえることがあります。
医師はどのようにして、子どもがHIVに感染しているかどうかを判断しますか?
医師は、母親がHIVに感染しているか、HIVに感染している危険性がある場合、赤ちゃんや小さな子どもにHIVの血液検査をします。医師たちは、妊娠しているすべての女の人に、HIVの検査を受けるようにすすめます。
赤ちゃんには、生まれたときに検査をします。しかし、HIVに感染している母親から生まれた赤ちゃんは、HIVに感染していないことを確かめるために、その後の6カ月間でさらに何回か血液検査を受ける必要があります。
医師は子どものHIV感染をどのように治療しますか?
医師はHIVに感染している子どもを、次の方法で治療します。
抗レトロウイルス薬
場合により、一部の感染症を予防するための抗菌薬
抗レトロウイルス薬は必ず、2つ以上の薬を使います。HIVに感染している子どもは、ふつう3つの薬を飲みます。年長の子どもの場合は、それらの薬を混ぜて1つにまとめることもあります。薬を正しい時間に正しい量で、規則正しく飲むことがとても大切です。薬を決められたとおりに飲まないと、HIVがその薬に耐性をもってしまう可能性があります。耐性をもつとは、その薬がHIVに効かなくなることを意味します。HIVが1つの薬に対して耐性をもった場合、医師は別の薬を試します。
医師は3~4カ月ごとに血液検査をして、次の項目をはかります。
白血球の数
血液の中にいるHIVの量
これらの血液検査は、治療が効いているかどうかを医師が判断するのに役立ちます。医師はまた、ウイルスが薬への耐性をもったかどうかを確かめるための検査と、薬の副作用が起きていないか確かめるための検査もします。
HIVに感染している子どものほぼ全員は、決められた子ども向けの予防接種を受けるべきです。
HIVに感染している子どもは、健康面で問題がなければ、できるだけ健康な子どもと同じ活動に参加させるのがよいです。ほかの子どもにHIVを感染させる可能性は、とても低いです。
子どもがHIVに感染するのを防ぐには、どうすればいいですか?
あなたが妊娠していて、HIVに感染しているなら、あなたは次のようにすることで、赤ちゃんにこの感染症がうつる可能性を下げることができます。
抗レトロウイルス薬を飲む、特に妊娠期間の中盤と後半(最後の6カ月間)
抗レトロウイルス薬をすでに飲んでいる場合は、定期的にのみ続ける
陣痛が来て赤ちゃんが生まれるときに、特別な抗レトロウイルス薬を静脈から注射してもらい、さらに、赤ちゃんがHIVに感染しにくくするため、生まれてから6週間、赤ちゃんにもこの薬を使う
血液中のHIVの量が多い場合は、経腟分娩の代わりに、帝王切開をしてもらう
粉ミルクを作るのに安全な水が手に入るところに住んでいるなら、母乳の代わりに粉ミルクを赤ちゃんに飲ませる
子どもが通っている託児所や学校に、血がついた物をきれいにするときに、次のような安全対策をしているかどうかを確認しましょう:
ラテックス製の手ぶくろをつける
手ぶくろをはずした後に手を洗う
血がついた面をきれいにして、水で100倍にうすめた漂白剤で消毒する
血にさわらない
子どもがHIVに感染しているかどうかは、スタッフや親が知らない場合もあるため、以上のような広く行われる予防策を、すべての子どもに対して行うことが大切です。家族の中にHIVに感染している人がいる場合は、家庭の中でも、これらの予防策に従う必要があります。



