高地へ行く予定がありますか? 高山病について旅行者が知っておくべき4つのこと

コラム25年9月3日 Andrew M. Luks, MD, University of Washington

ハイキングや登山、スキーをする人の間では、数えきれないほどの高山病が起こっています。あなたは装備と行程の準備を整え、目的地に到着、外に出て楽しむ準備ができました。しかし数時間もすると(場合によってはそれ以下でも)、疲労といらだちを感じ始め、頭痛とともに少し吐き気もするようになります。

これらの症状は、高地へ移動してからあまり時間がたっていないことを考えると、明らかに高山病の徴候です。高山病は高地での酸素不足が原因で起こるもので、登山者やレクリエーション目的のハイカー、スキーヤーなど、高地に赴く人に発生します。

高地(一般的には2,400メートル以上、場合によってはそれ以下)での活動を計画している人は、高山病になる可能性を考慮すべきです。以下に高山病について知っておくべき4つのことを示します。

1.高山病の3つのカテゴリー

一般的に、高山病は関連する3つの病態に分類されます。1つ目の病態は急性高山病(AMS)で、3つの中で最も軽く、最もよくみられるものです。通常、高度を上げてから6~10時間以内に症状が現れ、多くの場合、頭痛のほかに、ふらつき感、食欲不振、吐き気と嘔吐、疲労、脱力、怒りっぽさなどがみられます。

2つ目の病態は高地脳浮腫(HACE)で、この病態はまれですが、脳が水分によって浮腫を起こし、死に至る可能性があります。高地脳浮腫になると、頭痛や錯乱、不安定で協調のとれない歩行(運動失調)がみられます。

3つ目の病態は高地肺水腫(HAPE)で、これは2,400メートルを超える高さまで急に上った場合、通常その24~96時間後に肺に液体がたまることが原因で起きるもので、呼吸困難や血中酸素濃度の低下を引き起こすこともあります。高地脳浮腫は急性高山病の症状がみられない人でも発症する可能性があります。

高地脳浮腫と高地肺水腫は、迅速な対応と治療を必要とする重度の病態で、多くの場合,より低い高度への移動を必要とします。

2.症状の原因として急性高山病を見逃さないこと

急性高山病の症状の多くは、旅行中に比較的よくみられます。長時間のフライトやドライブの後に、頭痛やイライラ、疲労に悩まされる人はたくさんいます。しかし、高地にいる場合はその原因が急性高山病かもしれないことを覚えておきましょう。そして,より深刻な症状がないか注意してください。安静にして水を飲み、市販の頭痛薬を飲んでも気分がよくならない場合は、医療専門職に相談してより低い高度に移動する必要があるかもしれません。

脱水により急性高山病が起こると言う人もいます。これは本当ではありませんが、標高が高くなるにつれ、脱水が起こりやすくなります。水分を十分に摂取するのは良い考えです。脱水は急性高山病のように疲労感やふらつきをもたらすことがあるため、十分な水分を摂取しても気分がよくならない場合は、やはり医療専門職に相談するべきかもしれません。

3.高度には絶対に勝てない

高山病に関する最大の誤解の1つは、体を鍛えていればリスクを下げられるというものです。それは本当ではありません。さらに言うと、喘息や高血圧などの他の疾患がある人が急性高山病になりやすいということもありません。人間の耐性というものは人それぞれ違うものであり、高度の違いに人の体がどのように対処できるかは、その高度に曝されてみるまで分かりません。

また一方で、高地での身体運動は重労働です。体を鍛えていても高山病を予防できるわけではありませんが、高地での厳しい活動に欠かせない重要なポイントでもあります。

高地に移動したり高地で活動したりする場合は、次のことを覚えておいてください。高度には絶対に勝てません。スキーであのコースを滑ろう,次はあの山に登ろうなどと,あなたがどれだけ強い決意をもっていたとしても,またどれだけ楽しみにしていたとしても,高度は容赦してくれません。高山病の症状がある場合は、いったん立ち止まって低い場所へ移動する必要があります。無理に高度を上げることはリスクになります。

4.安全を守るにはしっかりとした計画から

誰でも旅行を最大限に楽しみたいと思っています。しかし、あまりにも急に標高を上げることは高山病の大きなリスクとなります。より高い標高に適応するための時間を行程に組み入れ、自分自身や仲間が新しい環境に慣れるための時間を作るようにしましょう。スキーやハイキングをすぐに始めたくなるかもしれませんが、初日はのんびり過ごして、全員がその標高で調子が良いことをしっかりと確認するのが,多くの場合,良い選択です。

大人数のグループで旅行を計画する場合は、人それぞれ適応の仕方が違うということを覚えておいてください。これまでに高地に旅行したことがあるかどうかをきいて、無理のない行動計画を立ててください。そして決して忘れてはならないのは、高度には絶対に勝てないということです。高山病の疑いがある場合は、もっと酸素がある低い場所へ移動してください。

高山病についてさらに知るためには、「MSDマニュアル」または「やさしくわかる病気事典」の該当するページをご覧ください。