耳だれの主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

診断のアプローチ

急性の耳だれ(持続期間が6週間未満)

鼓膜の穿孔を伴う急性中耳炎

激しい耳の痛み、濃く白っぽい耳だれが出始めると大きく軽減する

医師の診察のみ

慢性中耳炎(急性の再燃)

鼓膜の穿孔や真珠腫(中耳にできる皮膚細胞の良性の増殖性病変)と、過去の耳だれの病歴

医師による診察の際に鼓膜が異常に見える

ときに医師の診察のみ

ときに側頭骨の高分解能CT検査

激しい頭部損傷または最近の脳神経外科手術を原因とする、髄液の漏出

最近の明らかな頭部損傷または脳神経外科手術

液体は透明なものから血液まである

頭蓋底を含む頭部CT検査やガドリニウム造影剤を用いたMRI検査などの画像検査

外耳炎(感染性またはアレルギー性)

感染性の場合:しばしば水泳またはけがの後にみられ、激しい痛みがあり耳を引っ張ると強くなる

アレルギー性の場合:しばしば点耳薬の使用後にみられ、感染性の原因の場合と比べて、かゆみと赤みがより強く、痛みが弱い

一般的には、耳たぶ(外耳道から耳だれが漏れ出た部分)に発疹がみられる

両者を伴う場合:外耳道が非常に赤くなり、腫れ、組織片で満たされるが、鼓膜の見た目は正常

医師の診察のみ

慢性の耳だれ(持続期間が6週間以上)

外耳道のがん

耳だれに血が混じることが多く、痛みは軽い

ときに外耳道に増殖性の病変が見えることがある

一般的には高齢者にみられる

耳の組織の採取と検査(生検)

通常はCTまたはMRI検査

慢性中耳炎

耳の感染の病歴と、一般的には鼓膜の穿孔や真珠腫

外耳炎と比べて痛みは小さい

医師による診察の際に鼓膜が異常に見える

ときに医師の診察のみ

通常は耳だれのサンプルの培養検査

真珠腫が疑われる場合、MRI検査

異物

通常は小児にみられる

排液が悪臭を放ち、膿で満たされている(膿性)

腫れや耳だれで見えなくなっていない限り、しばしば診察の際に異物が見える

医師の診察のみ

乳様突起炎

しばしば発熱、治療していないまたは治癒していない中耳炎の病歴

乳様突起部の赤みと圧痛

通常は医師の診察のみ

ときにCT検査

壊死性外耳道炎

通常は免疫不全状態または糖尿病の患者

慢性の激しい痛み

耳の周辺の腫れと圧痛、外耳道の異常な組織

ときに、罹患した側の顔面筋の筋力低下

CTまたはMRI検査

通常は培養検査

*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。