乗り物酔い

(動揺病、波酔い)

完全なレビュー: 2025年 3月 執筆者:Adedamola A. Ogunniyi, MD, Harbor-UCLA Medical Center | 査読者Diane M. Birnbaumer, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA
最終更新日: 2025年 3月
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やさしくわかる病気事典

乗り物酔い(車酔い、船酔い、列車酔い、飛行機酔いなどとも呼ばれる)とは、乗り物で移動する際の揺れによって起こる一連の症状(特に吐き気)のことです。

  • 車などで移動する際に乗り物酔いになると、吐き気とめまいを感じます。冷や汗が出て過呼吸(過換気)の状態になることもあります。

  • 医師は、症状と、その症状が起きたときの状況に基づいて診断を行います。

  • 乗り物酔いを予防する方法としては、視線を一定方向に保つ、頭部をできるだけ動かさないようにする、新鮮な空気を入れる、乗車中は文章を読むのを控える、乗車前の喫煙や飲酒を控えるなどのほか、場合により経口薬や経皮パッチ剤を使用します。

  • 薄いクラッカーを食べたり、ジンジャーエールを少量飲むことで吐き気を軽減できる場合もありますが、いったん嘔吐が起こると、オンダンセトロンやグラニセトロンなどの薬剤が必要になることもあります。

乗り物酔いは、乗車中の揺れが大きすぎるなど、内耳の平衡感覚を制御する部分(半規管など)が過剰に刺激されたときに起こります。また、乗り物酔いは、眼、半規管、筋紡錘(体の姿勢に関する情報を脳に伝える、筋肉や関節の中の末端神経)など、動きを感じるさまざまな器官から脳が受け取る情報に矛盾がみられるときにも起こります。例えば、船に乗っているときに起こる船酔いは、船が揺れているときに静止しているもの(例えば壁など)を見ていると起こりやすいです。この時、船が揺れているのに壁は動かずに静止しているという点で、脳が受け取る情報に矛盾が生じています。

また、体が動かない状態で激しく動くものを見ているときも、脳に送られる情報に矛盾が生じます。この種の情報の矛盾は、例えば、カメラで撮影した手ぶれのある動画を見ているときや、コンピュータゲームをプレイしているときなどに発生します。乗り物酔いはまた、車に乗って移動しているときや、公園や遊園地などの乗り物に乗っているときにも起こることがあります。宇宙飛行士も乗り物酔いになることがあります。

危険因子

他の人と比べて乗り物酔いになりやすい人もいます。乗り物酔いは、例えば、男性より女性、大人より2~12歳の小児でよく起こります。また、片頭痛の傾向がある人、内耳炎(内耳に影響を及ぼす症状)のある人、妊娠している人、あるいはホルモン避妊薬を服用している人でもよくみられます。精神的に恐怖心や不安感を感じていたり、あるいは車内の換気が悪いと、乗り物酔いになりやすくなります。遺伝的要因によって乗り物酔いになりやすい場合もあります。

乗り物酔いの症状は加齢とともに軽減することがあり、50歳を過ぎてから新たに乗り物酔いが発症することはまれです。乗り物酔いは2歳未満の乳児でもまれです。

乗り物酔いの症状

乗り物酔いの症状は比較的急に始まることがあります。典型的な症状としては、吐き気嘔吐、腹部の漠然とした不快感などがあります。顔色が青白くなって、急に冷や汗をかき始めることもあります。めまいや頭痛、疲労感が生じたり、眠くなったり、集中力が失われることもあります。その他の症状(しばしば嘔吐の前兆となります)としては、唾液の分泌量が増加する、口を開けて空気を大量に吸い込もうとする(空気嚥下症)、呼吸が異常に速く深くなる(過換気)などがあります。過換気になると意識が遠のくこともあります。

吐き気と嘔吐は脱力感をもたらします。嘔吐が長引くと血圧低下や脱水が起きることがあります。しかし、乗り物から降りるか、乗り物が停止すれば、通常は症状が徐々に治まります。船旅など長期間の旅行では、通常は体が揺れに慣れることで症状が徐々に軽くなります(最近の船には揺れを抑えるスタビライザーが備えられています)。

乗り物酔いの診断

  • 医師による評価

乗り物酔いの診断は、症状の内容とそれが発生した状況に基づいて行います。

乗り物酔いの予防と治療

  • 薬剤を用いない予防法および治療法

  • 予防薬(スコポラミンや抗ヒスタミン薬など)

  • 制吐薬(オンダンセトロンやグラニセトロンなど)

できるだけ揺れを感じないようにするための方法として、以下のものがあります。

  • できるだけ遠くのものを見るようににする(例えば、船に乗っている間は水平線をみるようにするなど)

  • 揺れを感じにくい席を選ぶ(車なら前列の席、飛行機なら翼の近く、船なら前方/中央部の客室や上甲板など)

  • できるだけ頭や体を動かさない

  • イスの背を倒して前を向いて座る

  • 本などを読むのを控える

  • 眠る

乗り物酔いになりにくくするための方法としては、以下のものがあります。

  • 窓を開ける、換気口を設ける、船の甲板に出るなどして新鮮な空気を吸う

  • 飲酒しない(飲酒は吐き気を悪化させます)

  • 大量に食べることは控え、脂肪分が少なくさっぱりした、デンプン質の豊富な食べものを少量だけとり、匂いや味の強いものは食べない

  • これらの療法の大半は効果が証明されているわけではありませんが、効果があると考える人もいます。

  • 禁煙する

乗り物酔いになりやすい人は、症状を予防するため、移動の前にかかりつけ医にお勧めの市販薬を聞いておくか、もしくは処方薬を入手しておくとよいでしょう。乗り物酔い用の薬剤は、症状が現れてからではあまり効果がないことがあるため、乗り物酔いの症状が出る前に早めに服用しておくとよいです。この種の薬剤としては、スコポラミン(経皮パッチ剤または錠剤)、シクリジン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、メクリジン、プロメタジン(ときにカフェインと組み合わせる)などがあります。

これらの薬剤はすべて眠気を引き起こすことがあります。また、乳幼児では精神の興奮を引き起こす可能性があるため、医師の指導による場合を除き、乳幼児にこれらの薬剤を使用してはいけません。車の運転など、注意力や集中力を保つ必要がある人も、これらの薬剤を使用してはいけません。これらの薬剤は、アルコール、睡眠補助薬、鎮静薬など、眠気や注意力低下を引き起こす飲み物や薬剤と一緒に服用してはいけません。

乗り物酔いの症状が現れた場合には、薄いクラッカーなどのさっぱりした食べ物やジンジャーエールなどの炭酸飲料以外の飲食を控えると、症状の悪化を防ぐことができます。嘔吐には、オンダンセトロンやグラニセトロンなどの制吐薬が使用できます(ときに注射での投与や、経皮パッチによる投与も可能です)。

乗り物酔いを引き起こしている刺激に体を慣れさせること(適応)は、乗り物酔いに特に有用な対策です。乗り物酔いを引き起こす刺激に頻繁にさらされるほど、その刺激に対して体が反応する可能性は低くなります。ただし、体の反応はそれぞれの刺激のタイプにより異なるため、例えば大型船の揺れには慣れている人も小型船では船酔いを起こすことがあります。

乗り物酔いの治療や予防のために、指圧と同じ刺激や電気的な刺激を与えるリストバンドを着用したり、ショウガ(一度に1グラム未満)を食べたりするなどの代替療法を試す人もいます。これらの療法の大半は効果が証明されているわけではありませんが、効果があると考える人もいます。

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