肩のけが

執筆者:Paul L. Liebert, MD, Tomah Memorial Hospital, Tomah, WI
レビュー/改訂 修正済み 2023年 11月
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最もよくみられる肩のけがは、肩腱板損傷です。(上腕骨の骨折については、上腕の骨折を参照のこと。また、スポーツ外傷の概要も参照のこと。)

肩関節かたかんせつ解剖学かいぼうがくてき構造こうぞう

肩の解剖図
肩(正面図)
肩(正面図)
肩(背面図)
肩(背面図)

肩関節は球状の部分が受け皿に収まった球関節です(股関節も同様です)。上腕骨の上端に位置する球状の部分(上腕骨頭)が肩甲骨のくぼみに収まり、そうした球関節の構造によって、腕をあらゆる方向に動かすことができます。肩腱板は、肩甲骨に上腕骨頭をつなぎとめる筋肉で構成されています。肩腱板は肩関節を強化し、上腕の回転を補助します。

関節唇は肩関節のくぼみを縁取っている強い結合組織です。この組織によって、球状の上腕骨頭がくぼみの中にしっかりと保持されます。

肩のけがを負った人では、しばしば身体診察の結果に基づいて診断されます。しかし、X線検査やMRI検査が必要になる場合もあります。

肩のけがの多くは、安静とその後のリハビリテーション運動で回復します。イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が、短期間(最長72時間)の痛み止めとして使用されることもあります。痛みが72時間以上続く場合は、専門医の診察を受けて、追加の治療(例えば、コルチコステロイドの注射や手術)が必要かどうかを判断してもらうとよいでしょう。

肩の筋肉を強化する運動
腹臥位での肩関節の伸展
腹臥位での肩関節の伸展

1.うつ伏せになり、患側の腕をベッドの端から降ろし、母指の先を床に向ける。

2.肘を伸ばしたまま、肩甲骨を下方と後方に寄せながら、腕を体幹の高さまで上げる。

3.元の位置に戻す。

4.以上の動作10回を1セットとし、3セット行う。

5.余裕があれば、重量を少し追加する。

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Courtesy of Tomah Memorial Hospital, Department of Physical Therapy, Tomah, WI; Elizabeth C.K.Bender, MSPT, ATC, CSCS; and Whitney Gnewikow, DPT, ATC.

横臥位での肩関節の外旋
横臥位での肩関節の外旋

1.健側を下にして横たわり、患側の腕と体で枕を挟む。

2.患側の肘を90度に曲げる。

3.肩甲骨を脊椎側に寄せて、降ろす。

4.前腕を肩関節から外旋させて、手背を天井に向ける。

5.ゆっくり元の位置に戻し、同じ動きを繰り返す。

6.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

7.余裕があれば、重量を少し追加する。

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腹臥位での肩関節の水平外転
腹臥位での肩関節の水平外転

1.うつ伏せになり、患側の腕をベッドの端から降ろし、母指の先を床に向ける。

2.肩甲骨を脊椎側に寄せて、降ろす。

3.腕を肩の高さまで持ち上げる。

4.腕を床に向けて降ろし、同じ動作を繰り返す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.特記事項

a.腕を持ち上げる際に、肩甲骨を動かさないようにする。

b.常に母指が天井の方に向かうようにする。

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Courtesy of Tomah Memorial Hospital, Department of Physical Therapy, Tomah, WI; Elizabeth C.K.Bender, MSPT, ATC, CSCS; and Whitney Gnewikow, DPT, ATC.

腹臥位での肩関節の水平外転と外旋
腹臥位での肩関節の水平外転と外旋

1.うつ伏せになり、患側の腕をベッドの端から出して、母指が体に向いている状態で肘を90度に曲げる。

2.肩甲骨を脊椎側に寄せて、降ろす。

3.前腕を上方に回す。

4.元の位置に戻し、同じ動きを繰り返す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.特記事項

a.前腕を持ち上げる際に、肩甲骨を動かさないようにする。

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肩関節の立位スキャプション
肩関節の立位スキャプション

1.体側に沿って肘関節をまっすぐに、母指を上に保つ。

2.腕を前方に約30度動かす。

3.そのまま、痛みのない範囲で腕を上げ、保持する。

4.元の位置に戻す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.余裕があれば、重量を少し追加する。

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立位での肩関節の抵抗付き外旋
立位での肩関節の抵抗付き外旋

1.安定した物体に腰の高さで伸縮性のあるバンドの一方の端を取り付ける。

2.患側の肘と体幹の間に枕や巻いたタオルを挟む。

3.患側の手でバンドをつかみ、肘を90度に曲げて母指を上に向ける。

4.腕を外旋し、ゆっくりと元の位置に戻す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.特記事項

a.最初はバンドの抵抗を最小限にする。

b.腕を体の側方に保持し、肘を90度に保つ。

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立位での肩関節の抵抗付き内旋
立位での肩関節の抵抗付き内旋

1.安定した物体に腰の高さで伸縮性のあるバンドの一方の端を取り付ける。

2.患側の肘と体幹の間に枕や巻いたタオルを挟む。

3.患側の手でバンドをつかみ、肘を90度に曲げて母指を上に向ける。

4.腕を内旋し(手を内側へと引き寄せ)、ゆっくりと元の位置に戻す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.特記事項

a.最初はバンドの抵抗を最小限にする。

b.腕を体の側方に保持し、肘を90度に保つ。

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抵抗付きベントオーバー・ロー
抵抗付きベントオーバー・ロー

1.患側の手で重りを持つ。

2.股関節と膝関節を少し曲げ、対側の手をテーブルやベッドに置いて上体を支える。

3.肘を90度に曲げて、肩甲骨を引いて(寄せて)肘を肩の高さに上げる。

4.元の位置に戻す。

5.10回を1セットとし、3セットを1日1回行う。

6.特記事項

a.最初は1~2ポンド(0.5~1kg)の重り(スープ缶程度)から始める。

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