小児における高血圧の薬物治療

執筆者:Bruce A. Kaiser, MD, Nemours/Alfred I. DuPont Hospital for Children
レビュー/改訂 2021年 12月
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    高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなっている状態のことです。小児の高血圧では、血圧を低下させるために薬剤が必要になる場合があります。

    小児における高血圧も参照のこと。)

    13歳未満の小児では、高値とみなされる値が性別、年齢、および身長によって異なります。そのため、すべての小児にとって高血圧を明確に規定する血圧の値は存在しません。それよりも、性別、年齢、身長が同じである小児のうちの90%の血圧の値と同じかそれより高い場合に、高値血圧と診断されます。

    青年(13歳以上)では、血圧は成人と同様に以下のように分類されます。

    • 正常血圧:収縮期血圧が120未満かつ拡張期血圧が80未満

    • 正常高値血圧:収縮期血圧が120~129かつ拡張期血圧が80未満

    • I度(軽症)高血圧:130/80~139/89

    • II度高血圧:140/90以上

    以下のいずれかに該当する場合は、一般的には直ちに薬物治療(および生活習慣の改善)を開始します。

    • 高血圧が、重症度にかかわらず、症状を引き起こしている

    • I度高血圧により臓器の機能障害や損傷が生じている

    • II度高血圧がある

    • 高血圧の重症度にかかわらず、小児に慢性腎臓病、糖尿病、または心疾患がある

    軽度の高血圧で、生活習慣の改善から約6カ月が経過してもコントロールされない場合は、薬物療法が必要になります。

    高血圧の治療に使用される薬剤は降圧薬と呼ばれています。親、患児、医師が十分なコミュニケーションをとり、起こりうる副作用も含めた薬物治療プログラムについて話し合うことで、治療効果が高まります。降圧薬はいずれも副作用を引き起こす可能性があるため、親は注意を払うべきです。もし副作用が起こったら、親または本人がすぐに主治医に報告すべきで、そうすれば医師は、薬剤の投与量を調節したり、別の薬剤に変えたりするなどの対策を講じます。

    医師は一般的に降圧薬の経口投与を低用量から開始し、最大投与量に達するか副作用が生じるまで、血圧を低下させるために必要に応じて用量を増やします。それでも血圧が高すぎる場合は、2つ目の薬剤を併用するか、薬剤を変更することがあります。

    降圧薬には多くの種類があります。分類は以下の通りです。

    降圧薬の種類によって作用機序が異なるため、治療には多くの選択肢があります。高血圧の患者がこれらの薬剤を複数処方されることは珍しくありません。

    アドレナリン遮断薬

    アドレナリン遮断薬には、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬(アテノロール)、アルファ-ベータ遮断薬(ラベタロール)、アルファ作動薬(クロニジン)、末梢作用性アドレナリン遮断薬があります。これらの薬剤は、血圧を上昇させることによって、ストレスに素早く反応する自律神経系の一部である交感神経の働きを遮断します。

    ベータ遮断薬は最も使用されているアドレナリン遮断薬です。

    アルファ遮断薬は、高血圧の主要な治療薬としてはもはや使用されていません。

    アルファ作動薬は、他の降圧薬と比べて眠気、疲労、および抑うつを引き起こす可能性が高いため、現在ではほとんど使用されていません。クロニジンはパッチ剤として使用できます。

    アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

    ACE阻害薬には、細動脈(腎臓および心臓の小型血管)を拡張させることで血圧を低下させる作用があります。この薬剤は、アンジオテンシンII(体内で作られる化学物質で細動脈を収縮させる)の生成を阻止することによって、細動脈を拡張させます。具体的には、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換するアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害します(図「血圧の制御」を参照)。

    アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)

    アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、ACE阻害薬と同様のメカニズムで血圧を低下させます。この薬剤は細動脈を収縮させるアンジオテンシンIIの作用を直接的に遮断します。ARBは、より直接的なメカニズムで血圧を低下させるため、副作用が比較的少なくて済みます。

    カルシウム拮抗薬

    カルシウム拮抗薬は、まったく異なる仕組みで細動脈を拡張させます。この薬剤には短時間作用型と長時間作用型があります。短時間作用型のカルシウム拮抗薬は高血圧には使用しません。

    サイアザイド系利尿薬

    サイアザイド系利尿薬(クロルタリドンなど)は、高血圧の治療で最初に使用されることの多い薬剤です。利尿薬には血管を広げる働き(拡張作用)があります。また、腎臓がナトリウムと水分を排出するのを促し、体内の液体量を減らすことで血圧を低下させます。

    サイアザイド系利尿薬はカリウムを尿中に排出するため、ときにカリウムのサプリメントを一緒に服用することが必要になる場合もあります。

    血管拡張薬

    血管拡張薬は、さらに異なる仕組みで血管を拡張させます。この種の薬が単独で使用されることはほとんどなありません。どちらかといえば、血管拡張薬は他の薬剤だけでは十分に血圧が下がらなかった場合に2番目か3番目の薬剤として追加される薬剤です。

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