水痘・帯状疱疹ウイルスは水ぼうそう(水痘)や帯状疱疹を引き起こします。水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種であるため、帯状疱疹もヘルペスと呼ばれることがあります。
水ぼうそうが治った後も、帯状疱疹ウイルスは体内に残ります。このウイルスは何年も経過してから再活性化して帯状疱疹を発症させることがあります。帯状疱疹は痛みのある発疹で、通常は体の一部にだけ現れます。この発疹は数週間で消失しますが、重度の慢性的痛みを引き起こす帯状疱疹後神経痛は数ヵ月から数年続くことがあります。
帯状疱疹と、その最も一般的な合併症である帯状疱疹後神経痛を予防する唯一の方法は、帯状疱疹ワクチンを接種することです。
水ぼうそうワクチンに関する情報は、水痘ワクチンを参照してください。
(免疫化の基礎知識も参照)
ワクチンの種類
帯状疱疹ワクチンは組み換え型ワクチンであり、ウイルスの非感染性の成分(タンパク質など)のみを含有しています。このワクチンには、研究室で製造され、他の物質と再結合した無害な種類の帯状疱疹ウイルスのタンパク質が含まれています。その後感染した場合に、体内の免疫系はタンパク質を認識し、これと闘うことができるようになります(能動免疫化を参照)。
このワクチンに生ウイルスは含まれていないため、帯状疱疹を引き起こすことはありません。
帯状疱疹ワクチンの用量および推奨事項
帯状疱疹ワクチンは筋肉内に注射します。
このワクチンを接種すべき人
帯状疱疹ワクチンは、成人用の定期予防接種に組み込まれています。2~6ヵ月の間隔をおいて2回に分けて接種します。
このワクチンは、過去に帯状疱疹にかかったことがあるか、または米国では使用されていない古い帯状疱疹生ワクチンを接種したことがあるかにかかわらず、50歳以上の人に推奨されています。このワクチンは、病気や治療によって免疫機能が低下しているか、または低下することが予定されている19歳以上の人にも推奨されています。(CDC:19歳以上の成人に推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Adults Aged 19 Years and Older, United States, 2025]も参照。)
このワクチンを接種すべきでない人
前回このワクチンを接種したときに、またはこのワクチンのいずれかの成分に対して、生命を脅かす重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー反応など)を起こしたことがある人は、このワクチンを接種するべきではありません。
現在帯状疱疹を起こしている人は、このワクチンを接種すべきではありません。
妊婦や授乳婦(母乳)は、このワクチンが自分に適しているかどうかについて医療従事者に相談するのが良いでしょう。
一時的な病気がある場合、通常ワクチンは病気が消散してから投与します(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。
詳しい情報
帯状疱疹ワクチンの最も一般的な副作用には、注射部位の痛み、ヒリヒリとした痛み、発赤、腫れの他、頭痛、疲労感、筋肉痛、震え、発熱、消化器の不調が挙げられます。
副作用の詳細については、添付文書を参照してください。帯状疱疹生ワクチンは米国では接種できません。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。
米国疾病予防管理センター(CDC):組み換え型帯状疱疹ワクチン情報提供文書(Recombinant zoster vaccine information statement)
欧州疾病予防管理センター(ECDC):帯状疱疹(Herpes Zoster):推奨される予防接種(Recommended vaccinations)
