ロタウイルスワクチンは、嘔吐、下痢、さらに長引く場合は、脱水や臓器の損傷を引き起こす消化管の炎症である胃腸炎から乳児を守るのに役立つワクチンです。
(免疫化の基礎知識も参照)
ワクチンの種類
米国では、RV5とRV1の2種類のロタウイルスワクチンを 接種することができます。
両ワクチンは弱毒化生ワクチンであり、病原性が弱められ(弱毒化)てはいますが、生きたままのロタウイルスを含有しています。ウイルスは弱毒化されているため、胃腸炎を起こすことはありませんが、免疫系に強い反応を誘発します(能動免疫化を参照)。
ロタウイルスワクチンの用量および推奨事項
ロタウイルスワクチンは、乳児の口に滴下して接種します。
このワクチンを接種すべき人
ロタウイルスワクチンは小児期の定期予防接種に組み込まれています。使用するワクチンに応じて次の時期に2回または3回接種します。生後2ヵ月に1回、生後4ヵ月に1回、または生後2ヵ月に1回、生後4ヵ月に1回、生後6ヵ月に1回接種します。(CDC:出生から6歳までに推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Birth Through 6 Years, United States, 2025]を参照。)
このワクチンを接種すべきでない人
前回このワクチンを接種したとき、またはこのワクチンの成分に対して重篤なアレルギー反応を起こしたことがある乳児は、このロタウイルスワクチンを接種するべきではありません。
特定の条件によって、ワクチンを接種するかどうかと接種を受ける時期が変わる場合があります(CDC:ワクチン接種を受けるべきでない人[CDC: Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。例えば、免疫機能が低下している乳児、重症複合免疫不全症を患っている乳児、腸重積症(腸の一部が別の部分に滑り込む病気)がある乳児には、ロタウイルスワクチンを接種するべきではありません。
乳児に一時的な病気がある場合、通常ワクチンは病気が消散してから投与します。
ロタウイルスワクチンの副作用
副作用には、軽度の一時的な下痢や嘔吐などがあります。乳児に苛立ちがみられることがあります。
かつて使用されていた古いタイプのロタウイルスワクチンでは、腸重積症のリスクが高くなっていました。腸重積では、スライドさせて伸ばす望遠鏡のように、腸の一部が別の部分にすべり込み、腸が詰まってしまいます。古いワクチンは米国の市場では販売できなくなりました。新しいワクチンの接種を推奨どおりに接種すると、腸重積症のリスクは高まる可能性はありますが、ほんのわずかです。
副作用の詳細については、添付文書を参照してください。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。
米国疾病予防管理センター(CDC):ロタワクチン情報提供文書(Rotavirus vaccine information statement)
欧州疾病予防管理センター(ECDC):ロタウイルス感染症(Rotavirus Infection):推奨される予防接種(Recommended vaccinations)



