インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンは、肺炎や髄膜炎など、Hibによる細菌感染症の予防に役立ちます。この種の感染症は小児では重篤化することがあります。ワクチンの接種により、小児の重い感染症の発生率は99%低下しています。また、この種の感染症は、免疫系が正常で脾臓(ひぞう)が機能している成人に発生することはまれです。
(免疫化の基礎知識も参照)
ワクチンの種類
数種類のワクチン製剤が開発されています。
すべてのHibワクチンは多糖体結合型ワクチンであり、感染を引き起こさない細菌の成分と、別の細菌由来の特定のタンパク質成分を含有しています。これらの成分は無害であるため、Hib感染症を引き起こすことはありませんが、免疫系に強い反応を誘発します(能動免疫化を参照)。
Hib、B型肝炎、不活化ポリオウイルス、ジフテリア・破傷風・百日咳(DTaP)などを含む混合ワクチンも存在します。
インフルエンザ菌b型ワクチンの用量および推奨事項
Hibワクチンはすべて筋肉内に注射します。
このワクチンを接種すべき人
Hibワクチンは小児期の定期予防接種に組み込まれています。どの製剤を使うかにより、接種は生後2ヵ月と4ヵ月の2回、または2ヵ月と4ヵ月と6ヵ月の3回のいずれかで行います。いずれの場合も、追加接種は生後12~15ヵ月に行います(合計3回または4回の接種)。(CDC:出生から6歳までに推奨される予防接種、米国、2025年版(Recommended Immunizations for Birth Through 6 Years, United States, 2025)を参照)。例えば、化学療法、放射線療法、幹細胞移植を受ける予定の小児やHIV感染症の小児には、追加投与が必要になることもあります。
小児は全員ワクチン接種を受けるようにします。
Hibワクチンは、この感染症のリスクが高い以下の人々にも推奨されています。
(CDC:19歳以上の成人に推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Adults Aged 19 Years and Older, United States, 2025]も参照。)
このワクチンを接種すべきでない人
Hibワクチンのいずれかの成分に対して生命を脅かす重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー反応など)を起こしたことがある人は、このワクチンを接種するべきではありません。
生後6週未満の乳児は、Hibワクチンの接種を受けるべきではありません。
一時的な病気がある場合、通常ワクチンは病気が消散してから投与します(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。
インフルエンザ菌b型ワクチンの副作用
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。
米国疾病予防管理センター(CDC):インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン情報提供文書(Haemophilus Influenzae type b [Hib] vaccine information statement)
欧州疾病予防管理センター(ECDC):インフルエンザ菌b型感染症(Haemophilus Influenzae Type B Infection):推奨される予防接種(Recommended vaccinations)
