rVSV-ZEBOVは、ザイールエボラウイルス Zaire ebolavirusによって引き起こされるエボラウイルス感染症の予防のために米国食品医薬品局（FDA）が米国での使用を承認している唯一のワクチンです。ザイールエボラウイルス Zaire ebolavirusに対してのみ予防効果があり、これ以外の種のエボラウイルスやマールブルグウイルスに対しては、効果がありません。
別のワクチンであるAd26.ZEBOV/MVA-BN-Filoは、2つのワクチンを組み合わせたものです。このワクチンは、米国での使用は承認されていませんが、コンゴ民主共和国でのエボラウイルスの流行時に使用されました。
（予防接種の概要も参照のこと。）
エボラワクチンの接種
rVSV-ZEBOVは、18歳以上の人に筋肉内への1回の注射で接種されます。
このワクチンは、以下のことを行っているためにエボラウイルスへの職業曝露のリスクが高い米国の18歳以上の人に推奨されています。
エボラウイルス感染症の流行への対応
米国連邦政府指定のエボラ治療センターでの医療従事者としての勤務
エボラウイルスの生ウイルスを取り扱う米国のバイオセーフティーレベル4施設における研究室職員またはその他のスタッフとしての勤務
Laboratory Response Network施設における研究室職員またはその他のスタッフとしての勤務
このワクチンは、エボラウイルス感染症が流行している地域に迅速に届けられるように、スイスにも備蓄されています。
Ad26.ZEBOV/MVA-BN-Filoは、ザイールエボラウイルス Zaire ebolavirusによって引き起こされるエボラウイルス感染症を予防するために、1歳以上の人に筋肉内への注射で2回接種されます。
エボラウイルスワクチンの副反応
3つのワクチンのいずれについても、最もよくみられる副反応は、注射部位の痛みと腫れ、筋肉や関節の痛み、頭痛、疲労です。
rVSV-ZEBOVでは、その他の一般的な副反応として、注射部位の発赤、発熱、吐き気、関節痛、発疹、異常発汗があります。
Ad26.ZEBOV/MVA-BN-Filoでは、その他の一般的な副反応として、注射部位の熱感や、悪寒などがあります。1～17歳の小児で報告されている最も一般的な副反応は以下のものです。
注射部位の痛み
疲労
身体活動の減少
食欲減退
易怒性
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
米国疾病予防管理センター（CDC）：エボラ（エボラウイルス感染症）：エボラの予防とワクチンに関する情報（Ebola (Ebola Virus Disease): Information about Ebola prevention and vaccines）
