下垂体の大まかな説明

執筆者:John D. Carmichael, MD, Keck School of Medicine of the University of Southern California
Reviewed ByGlenn D. Braunstein, MD, Cedars-Sinai Medical Center
レビュー/改訂 2025年 6月 | 修正済み 2025年 7月
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やさしくわかる病気事典

下垂体はエンドウマメ大の腺で、脳基底部の骨でできた構造(トルコ鞍[あん])の内部に収まっています。トルコ鞍は下垂体を保護していて、下垂体が大きくなる余地はほとんどありません。

下垂体は他の多くの内分泌腺の働きを制御しているため、内分泌中枢とも呼ばれます。また、下垂体は脳内でそのすぐ上に位置している視床下部に大部分を制御されています。視床下部や下垂体は、下垂体に制御されている腺(標的器官)がつくるホルモン濃度を感知して、標的器官が必要とする刺激の強さを決定します。

下垂体とその標的器官

下垂体は2つの部位で構成されています。

  • 前葉(全重量の80%を占める)

  • 後葉

この両葉は血管や神経細胞の突起(神経線維または軸索)で、視床下部とつながっています。視床下部は血管を通してホルモンを分泌し、それによって前葉を制御しています。後葉は視床下部からの神経信号によって制御されています。

下垂体で作られるホルモンは、すべてが常に作り続けられているわけではありません。その多くは1~3時間毎に一気に分泌されるため、ホルモンが働いている時間と働いていない時間が交互に繰り返されます。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、成長ホルモン、プロラクチンのような一部のホルモンは概日リズムで変動します。1日のうちにみられるこれらのホルモン量の増減は予測でき、通常は目覚める直前が最高量で、眠りにつく直前が最低量になります。その他のホルモンは別の因子に従って変動します。例えば、女性の生殖機能を制御する黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの量は、月経周期で変化します。

前葉のホルモン

下垂体の前葉は次の6つの主なホルモンを作り、それらを分泌します。

  • 副腎皮質刺激ホルモンACTHコルチコトロピンとも呼ばれ、コルチゾールやその他のホルモンを作るように副腎を刺激する)

  • 卵胞刺激ホルモン黄体形成ホルモン(両者はゴナドトロピンとも呼ばれ、精子を形成するように精巣を刺激したり、卵胞を発育させるように卵巣を刺激したりする。またテストステロンエストロゲンといった性ホルモンを作るように生殖器官を刺激する)

  • 成長ホルモン(体の成長と発達を調節して、筋肉形成を促し脂肪組織を減らすことで体形に重要な影響を与える)

  • プロラクチン(乳汁をつくるように乳房の乳腺を刺激する)

  • 甲状腺刺激ホルモン(甲状腺ホルモンをつくるように甲状腺を刺激する)

さらに前葉は、ほかに皮膚を黒くするホルモン(ベータメラノサイト刺激ホルモン)や、痛みの感覚を抑え(エンケファリンとエンドルフィン)、免疫系の制御を助けるホルモン(エンドルフィン)など数種類のホルモンもつくります。

後葉のホルモン

下垂体の後葉では、以下の2つのホルモンだけが作られます。

  • バソプレシン

  • オキシトシン

バソプレシン(抗利尿ホルモンとも呼ばれます)は、腎臓が排出する水分量を調節するため、体内の水分バランスの維持に重要です。

オキシトシンは、出産時に子宮を収縮させ、出産直後の過剰な出血を防ぎます。また、オキシトシンには乳房の乳腺を収縮させて、授乳中の女性の乳首へ乳汁を送り出す(催乳)働きもあります。男女ともに、オキシトシンにはいくつかの役割があります。

下垂体機能不全

下垂体の機能不全にはいくつかの種類があり、これらの原因は通常、良性の腫瘍(腺腫)です。腫瘍は1種類以上の下垂体ホルモンを過剰につくったり、正常な下垂体細胞を圧迫することで1種類以上の下垂体ホルモンの生産不足を引き起こしたりする場合があります。

またホルモン生産の阻害の有無にかかわらず、腫瘍が下垂体を腫大させることもあります。場合によっては、下垂体腫瘍により1種類のホルモンが過剰に作られると同時に、その腫瘍の圧力により別のホルモンの生産が低下します。

ときに、過剰な髄液で下垂体周囲が満たされて下垂体が圧迫されることがあり、結果、トルコ鞍空洞症候群という病態になります。この圧力によって、下垂体ホルモンが過剰になったり、不足したりします。

下垂体ホルモンの極端な不足あるいは過剰によって、様々な症状が起こります。

下垂体ホルモンが過剰に産生されると、次のような病気が引き起こされます。

下垂体ホルモンが不足すると次のような病気が引き起こされます。

下垂体の機能を診断するために、いくつかの検査が行われます。画像検査(最も一般的にはMRI検査)では、下垂体の腫大(例えば、下垂体腫瘍の場合)や萎縮(例えば、下垂体機能低下症の場合)が明らかになります。通常はこうしたスキャンで、下垂体の腫瘍の有無が判断されます。

下垂体ホルモンの濃度は通常、簡単な血液検査で測定されます。医師は個々の患者の症状に応じて、どの下垂体ホルモンを測定するかを選択します。下垂体ホルモンの種類によっては、1日の間で、あるいは体の要求によって濃度が大きく変化するため、測定値の解釈が難しい場合があります。このようなホルモンでは、任意の時刻に血液検査を行っても役に立つ情報は得られません。

このようなホルモンの濃度を測定する場合、正常であればホルモン生産に影響を及ぼす物質を先に投与することがあります。例えば、インスリンを注射するとACTH、成長ホルモン、プロラクチンが増加します。多くの場合、成長ホルモン濃度を直接測定する代わりに、インスリン様成長因子1(IGF-1)という別のホルモンを測定します。成長ホルモンの値は一気に上昇し、すぐに降下しますが、IGF-1値は1日に作られる成長ホルモンの量を反映するからです。以上のような理由から、下垂体ホルモンの血液検査の結果を判断するのは簡単ではありません。

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