ピロリン酸カルシウム沈着症

(偽痛風、CPP結晶誘発性関節炎)

執筆者:Sarah F. Keller, MD, MA, Cleveland Clinic, Department of Rheumatic and Immunologic Diseases
Reviewed ByBrian F. Mandell, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2025年 7月
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ピロリン酸カルシウム沈着症(CPPD)(以前は偽痛風またはCPP結晶誘発性関節炎と呼ばれていました)は、関節の軟骨にピロリン酸カルシウムの結晶が沈着することで起きる病気で、痛風に似た、痛みを伴う間欠的な関節炎の発作や、関節リウマチに似た慢性の関節炎を引き起こします。

  • 結晶が、関節液や関節の軟骨に蓄積して、様々な程度の炎症や組織の損傷を起こします。

  • 偽痛風の診断は、関節液中にピロリン酸カルシウムの結晶が見つかると確定します。

  • 治療には炎症による痛みと腫れを緩和するための薬を用いますが、いずれも関節内のピロリン酸カルシウムの結晶沈着を減少させるものではありません。

CPP結晶誘発性関節炎は、通常は高齢者にみられ、男女差はありません。

ピロリン酸カルシウム沈着症の原因

一部の人にピロリン酸カルシウムの結晶が形成される理由は不明です。結晶は、以下に当てはまる人で発生します。

しかし、ピロリン酸カルシウム沈着症の患者の多くでは、これらの状態のいずれもみられません。まれに遺伝性の場合があります。

ピロリン酸カルシウムの結晶は、理由は不明ですが、変形性関節症に侵された関節に出現することがよくあります。しかし、関節へのピロリン酸カルシウムの結晶沈着は症状を引き起こさない場合もあります。

ピロリン酸カルシウム沈着症の症状

ピロリン酸カルシウム沈着症の症状は様々です。一部の患者では、痛風に似た、痛みを伴う関節の炎症(関節炎)の発作が、通常は膝、手首、その他の比較的大きな関節に起こります。別の患者では、腕や脚の関節に長引く慢性の痛みやこわばりがあり、関節リウマチ変形性関節症と似ていることがあります。

痛風発作に比べて、ピロリン酸カルシウム沈着症による発作は強度が多様で、持続時間が長くなる傾向があり、しばしば治療が難しくなります。痛風と同様に、ピロリン酸カルシウム沈着症の発作では発熱することもあります。なかには、大量の結晶が沈着しているにもかかわらず、発作と発作の間は痛みを感じない人や、常に痛みがない人もいます。

結晶が関節の近くの組織に蓄積することが多い痛風と異なり、ピロリン酸カルシウム沈着症の患者では結晶の固いかたまり(痛風結節)ができることはまれです。

PPピロリン酸カルシウム沈着症の診断

  • 関節液の顕微鏡検査

  • ときにX線検査または超音波検査

ピロリン酸カルシウム沈着症は、関節炎がある高齢者で、特に関節に腫れ、熱感、痛みが断続的にみられる場合に疑われます。医師は、炎症を起こしている関節から、関節液のサンプルを針で採取(関節穿刺)して診断を確定します。関節液にはピロリン酸カルシウムの結晶が認められます。これは、特別な偏光顕微鏡を用いることで、尿酸結晶(痛風を引き起こす結晶)と見分けることが可能です。

X線検査では、関節の軟骨の中に結晶のかたまりが認められることがあり、その場合はこの病気が示唆されます。関節の超音波検査によって関節の軟骨に結晶が認められることがあり、ピロリン酸カルシウム沈着症の診断が強く示唆されます。

ピロリン酸カルシウム沈着症の治療

  • 関節液の排出とステロイド(グルココルチコイドまたはコルチコステロイドと呼ばれることもあります)の注射

  • 炎症による痛みと腫れを緩和する薬

  • 理学療法

急性ピロリン酸カルシウム沈着症の治療は、急性痛風の場合と同様です。通常、治療により急性発作を止めて、新たな発作を予防することが可能ですが、すでに損傷した関節の変化を元に戻すことはできません。過剰な関節液を排出させ、ステロイドを関節に注射して炎症と痛みを軽減することができます。

ピロリン酸カルシウム沈着症の治療には内服薬が役に立ちます。ほとんどの場合、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が急性発作の痛みと炎症を速やかに止めるために用いられます。

コルヒチン(表「」を参照)は、発作の回数を減らすために、低用量(通常は1錠か2錠)を毎日、経口投与されることがあります。

ステロイドの経口薬は、急性ピロリン酸カルシウム関節炎の発作の治療に効果的であり、NSAIDやコルヒチンを服用すべきでない一部の患者で特に有用です。

ステロイド、NSAID、コルヒチンの副作用に患者が耐えられない場合は、免疫系の働きと炎症を抑制する薬(アナキンラ[anakinra]の連日の注射など)が効果的なことがあります。

痛風とは異なり、ピロリン酸カルシウム沈着症に対する特別で効果的な長期の治療はありません。しかし、理学療法(筋力強化訓練や関節可動域の運動など)が関節機能の維持に役立つことがあります。

ピロリン酸カルシウム沈着症の予後

多くの場合、炎症を起こした関節は、何の問題も残すことなく治癒します。しかし、一部の患者では徐々に慢性関節炎や永続的な関節の損傷が起こり、なかには関節がひどく破壊されるために、神経病性関節症(シャルコー関節)と混同されてしまうことがあります。

痛風とは異なり、慢性ピロリン酸カルシウム沈着症の治療は、ピロリン酸カルシウムの結晶を効果的に除去または減少させる治療法がないため難しくなります。特に若い人では、頻繁に発作が起こる場合、しばしば基礎疾患についての評価が行われます。

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